From Paris/パリDAC通信第70号


2008年4月28日
パリDAC通信(2007年のODAは減少〜DAC事務局による2007年ODA額速報値公表)


DAC事務局が公表した2007年ODA額速報値によると、2007年ODA額は前年比8.4%の減少、一方で債務削減を除くと小幅の増加となりました。

■減少の大きな要因は債務削減の減少

DACメンバー22カ国のODA額合計は約1037億ドルであり、実質ベースで8.4%の減少となりました。この減少は、2005年及び2006年のODA額が、主にナイジェリア及びイラク向け債務削減により例外的に大きかったことから予想の範囲内であり、債務削減を除くと2.4%の小幅な増加となりました。

■日本はネット値で第5位、グロス値で第3位に転落

日本のODAは、前年比31.3%減の約77億ドル(約9060億円)であり、DACメンバー中第5位(2006年は第3位)、グロス値ベースでも前年比20.7%減の約136億ドル(約1兆5995億円)で第3位(2006年は第2位)となりました。また日本のODAの国民所得比(ODA/GNI比)は0.17%で第20位(2006年は第18位)です。

★ODA額(ネット)上位5カ国
第1位:米 (約217.5億ドル)
第2位:独 (約122.7億ドル)
第3位:仏 (約99.4億ドル)
第4位:英 (約99.2億ドル)
第5位:日 (約76.9億ドル)

★ODA額(グロス)上位5カ国
第1位:米 (約226億ドル)
第2位:独 (約138億ドル)
第3位:日 (約136億ドル)
第4位:英 (約118億ドル)
第5位:仏 (約116億ドル)

■2010年に向けた援助増額見通しの達成に大きな課題

DAC事務局は、ドナーは2010年に向けた援助増額見通しの達成への軌道には乗っておらず、また債務削減分を除いたサブサハラ向けODA額は実質ベースで10%の増加であったものの、グレンイーグルスサミットでのアフリカ向け倍増計画についてドナーは大きな課題に直面していることは明らかであると分析しています。

詳細はhttp://www.oecd.org/document/8/0,3343,en_2649_33721_40381960_1_1_1_1,00.htmlをご覧ください。なお、2007年ODA額確定値は本年末に公表される予定です。

(パリDAC通信担当:吉田 徹)


バックナンバー

2008年
4月14日第69回「「DACの役割を見直す
3月31日第68回「「アクラHLFの採択文書はAAA
3月3日第67回「「対外援助」ドナーとしての中国
2月18日第66回「さようならマニングDAC議長〜2007年DAC議長報告書
2月4日第65回「アクラハイレベルフォーラムの概要
1月21日第64回「「パリ宣言」第2回モニタリング調査の開始
1月7日第63回「謹賀新年:2006年ODA額と2010年ODA額シミュレーション

2007年
12月21日第62回「気候変動への適応とODA
12月13日第61回「DACにおける「能力開発」の議論の開始
11月12日第60回「急速に存在感を増しつつある「新興のドナー」(OECDの拡大とハイリゲンダム・プロセス)
10月30日第59回「「パリ宣言」:開発成果のためのマネジメントに向けた取り組みとは
10月22日第58回「急速に存在感を増しつつあるBRICs等の「新興のドナー」
9月26日第57回「増えるODAとその配分
8月7日第56回「2008年援助効果向上アクラハイレベルフォーラム

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12月26日第55回「対オランダ援助審査からみたDAC −その4−
11月26日第54回「対オランダ援助審査からみたDAC −その3 「優等生」オランダから学べ!?−
10月19日第53回「対オランダ援助審査からみたDAC − その2 「援助審査」はお手盛り審査?−
10月19日第52回「対オランダ援助審査からみたDAC −その1−
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2月21日第47回「OECDの開発に対する取組み強化(その2)− 投資分野での取組み−
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2005年

12月11日第44回「質問:ブルガリアに派遣されている青年海外協力隊の費用は、『ODA』でしょうか?
       (「DACリスト」改訂)
11月28日第43回「スケールアップに関する議論

11月1日第42回「ODA増額のためにODAを使う?」− ODAに占める開発教育・広報費の割合−
9月18日第41回「OECD/DAC事務局による2010年におけるODA量のシミュレーションと最近のDAC内外におけるホットトピック
9月6日第40回「9月国連総会(首脳会合:World Summit)とOECD/DAC
8月22日第39回「援助効果ハイレベルフォーラム・フォローアップ(その2)
7月22日第38回「パリ援助効果ハイレベルフォーラムフォローアップ
6月27日第37回「オバケODA」を退治せよ?
5月28日第36回「開発援助サポーター倍増作戦−DAC諸国における広報−
5月14日第35回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告とそのフォローアップ(その4 開発成果マネジメント)
4月18日第34回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その3 能力開発)
3月19日第33回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その2 パリ宣言と我が国の対応 )
3月4日第32号「パリ援助効果ハイレベルフォーラム
2月5日第31号「Forum on Partnership for More Effective Development Co-operation
1月23日第30号「脆弱な国家(fragile states)における援助効果向上に関するシニアレベルフォーラム
1月11日第29号「DACアウトリーチ戦略(その2)

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11月16日第27号「開発援助における評価の方向性
10月29日第26回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その4 調達キャパビル)−
10月15日第25回『ニカラグア通信:現場から見た調和化・アラインメント
10月1日第24回「DACアウトリーチ戦略−対外協力関係の今後−
8月10日第23回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その2 開発成果マネジメント)−」
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5月18日第18号「OECD閣僚理事会(5/13-14)」
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