From Paris/パリDAC通信第24号


2004年10月1日
「DACアウトリーチ戦略」
−対外協力関係の今後−

今回は、最近DACにて議論が開始されたアウトリーチ戦略についてのご紹介です。
  DACでは、今年5月のOECD閣僚理事会にてOECD拡大・アウトリーチ戦略が採択された流れで、DACとしてのアウトリーチ戦略を作成するための議論を開始しました。DACのアウトリーチ、つまり対外協力関係の構築やメンバー拡大等、のターゲットは、OECDの他の委員会よりも幅が広く、主に以下が想定されていますが、簡単に現状、今後の展望(筆者の私見含む)についても述べさせていただきます(ご意見等ございましたらお気軽に投稿いただければと思います)。今後、DACの議論の進捗に応じて、何度かに分けてご報告させていただきたいと思います。

1)DAC以外のドナー
  本グループは、@OECDメンバーではあるが、DACメンバーではない国(例 韓国、チェコ:例として韓国の技術協力機関KOICAのサイトご参照)、A非OECD加盟国のうちEU新規加盟国(例 ポーランド)、Bその他(例 中国、インド、タイ)に分けて議論されている。
これらは、DACと同じ、「ドナー」としての関係ということで、特に@については最終的にはDACへの加盟も想定されているが、近い将来の具体的な協力方法としては、統計分野での協力、援助審査の実施等が考えられる。
Bのグループについては、イラン、アフガン復興支援の例に象徴されるとおり、これらによる援助は増加傾向にあるものの、これまで具体的な情報交換や協力を行った実績は少なく、今回の議論でも重要な位置を占めているとも言える。まず、DACが積極的に取り組んでいる調和化・アラインメント分野での協力は重要であり、例えば「ある一国でDACドナーが途上国側の手続きコスト削減を意図して被援助国との相談の下国家計画に支援をalignさせている中、こうした新ドナーがそれと相反するような支援を行うことによる弊害等をどのように解消すべきか」、という点につき議論が行われる必要がある。また、別の視点として、Bのグループは、比較的最近の自国の開発経験を基に援助を行う視点をもっていると言え、DACとしても途上国のオーナーシップを涵養・尊重する支援を目指す中で参考となる経験が多いと考えられる。このような認識に基づき、DACでは、南南協力において実績の多い、UNDP(http://tcdc.undp.org/default.asp)と協力しつつ、Bのグループを対象とした会合を2月に開催する予定。南南協力は、我が国でも積極的に取り組んでいる分野のため、議論への貢献が期待される(参考:外務省による本件支援評価報告書)。

2)国際機関
IMF、世銀、UNDPがDACのオブザーバーとして現在各会合での議論に参加している。また、下部機構では調和化・アラインメント、開発成果マネジメント、調達キャパビル等の分野での具体的な作業やラウンドテーブルでの議論を通じ、DACの目指す援助協調を実現する形で協力を行っている。
今後更なる具体的な協力・議論が必要と思われる分野として、調和化・アラインメントについては、現場での更なる協力関係強化、また援助におけるマルチとバイドナーの協力関係等に関する一般的な議論の展開が考えられる。

3)途上国
DACのアジェンダを実用性の高いのもにし、現場での実施を確保するために、パイロット国等の指定により、途上国を一部の下部機構に招致して議論を実施(例 調和化・アラインメントの進捗状況に関する調査においては調査項目策定段階から途上国へのコンサルテーションが行われた)。
途上国側の真の声を聞く、という意味では現場で実際にどのように彼らのオーナーシップを尊重した支援ができるか、というドナー側の支援の仕方に関する議論が更に必要と思われる。

4)NGO等
一部のDAC下部機構に参加しているが、恒常的な協力関係についてはあまり議論が行われていない。協力の重要性に鑑み、2005年3月のパリ援助効果に関するハイレベルフォーラム(仮称)にはNGOが招致される予定。


(パリDAC通信担当 寺門雅代)


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2004年7月28日第22回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その1)−」
2004年7月12日第21回「ODAでCO2排出権を買えるのか?」
2004年6月12日第20号MDGsへの貢献はどう図るべきか?
2004年5月30日第19号「対フランス援助審査」

2004年5月18日第18号「OECD閣僚理事会(5/13-14)」
2004年5月4日第17号 「援助量と援助効果の向上」

2004年4月18日16号「DACハイレベル会合 報告」
2004年4月6日15号「DACハイレベル会合(4/15-16)・予告編」

2004年3月14号


2003年12月13号
2003年10/11月12号
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