From Paris/パリDAC通信第14号


2004年3月
調和化・アライメント

国連改革が叫ばれて久しいですが、そういえばその背景の一つは、各関係機関の活動の重複でした。いや、国連だけでなくても、活動が重複してリソースの無駄につながっているような国際組織の名前が意外に多く思い浮かびます。そのような中、昨今、国際機関はそれぞれの存在価値を見つめ、自分たちの比較優位のあるアジェンダを国際舞台に打ち出すことにより生き残りを図ろうという動きがいくつも見うけられます。

では、皆さんはDACの場合、その存在価値は何だと思いますか?私は、「DACは何をやっているところか」と聞かれたとき一番目に思いつく答えとして「二国間援助を行うドナーが集まって、開発援助を効果的に行えるような手法や相互の調整方法につき話し合うこと」といいますが、まさにこれがDACの存在価値だと思っております。そして、実際に昨今のDACでの重要アジェンダをみていると上記の解にそった活動、(もうお気づきの方は多いでしょうが)すなわち、「援助効果の向上、そしてそのための調和化・アライメント」が「DACアジェンダ」として主流化しています。

前置きが長くなりましたが、今月のパリDAC通信では、その「調和化・アライメント 」について、ここ二ヶ月に開催されたDACの関連の会合について簡単に書きたいと思います。

DAC援助効果作業部会 調和化・アライメントタスクチーム会合 (2月24、25日)

調和化に関するローマ宣言採択後、ちょうど一年を迎えたこの会合では、調和化とは何かという概念論争ではなく、現場で調和化がどこまで進み、何が今後の課題か、という点を現場の情報を集めつつ議論を行うというステージに到達していました。

具体的に述べると、調和化・アライメントの進捗をモニターするために、指標を作成し、3つのパイロット国でその実用性につき議論、その後11カ国で実際に指標測定を行うという試みを行っています。今回の会合では、最初の3つのパイロット国での議論と平行して、途上国の参加者から調和化の進捗や課題につき話し合いを行いました。

ベトナムやタンザニアなどでは、途上国政府が調和化を実施するための担当をおいたりと進捗がある一方、途上国側及び現地ドナーのキャパシティ不足、時間制限(調和化には時間がかかる)、実用的な情報の不足等計13つの課題が挙げられました。中でも、会合の中である途上国代表の発言、「ローマ宣言へのコミットはあるものの、実際に現場での調和化の実施にコミットがあるか疑問」が印象的。これを受けた会合の議長は、ドナー本部を通じた現場へのコミュニケーション強化をドナー側の今後の課題として対応を促しました。DACとしても真摯に受け止めて取り組む必要がありそうです。

指標については、引き続き検討を行った上で、2,3ヶ月で11カ国での実施につなげるというタイムフレームで作業を進めていますが、これに対しても途上国側から意見を出すための時間が必要という声があり、DACとしては、来年予定されているパリ・ハイレベルフォーラムに対する報告のための作業と、途上国の参加を確保するという考えの間に挟まれる状況が続きそうです。(調和化関連サイト:www.aidharmonization.org (世銀を中心に作成))

(パリDAC通信 寺門)

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