From Paris/パリDAC通信第27号


2004年11月16日

開発援助における評価の方向性

今回は、11月9-10日に開かれたDAC開発評価ネットワーク(EVALUNET)の議論をご紹介いたします。

今回のEVALUNETの議論では、(1)国レベルでの開発成果の評価方法、(2)評価活動におけるパートナー国の役割、という主に二つのテーマが、現在の開発援助の評価における大きな課題であることが読み取れました。

(1)については、IMF、世銀のPRSP評価の結果、DFIDを始めとした20カ国以上が参加して行っている一般財政支援評価、世銀の国別評価に対する審査等の結果が発表され、開発成果において国におけるインパクトの調査の必要性が確認されました。

議論の結果、EVALUNETとしては、これら各フォーラムで行われている経験を基に、「一国におけるODAのインパクト調査」を立ち上げる方向で検討を進めることになりました。この調査では、ある一国における開発成果に対するODAのvalue-
added、ネガティブなインパクト、また、ODAを更に効果的にするための要因等を評価する予定です。

いずれにしても、このような評価は、ODA以外の要素(貿易、投資等の政策一貫性の議論)も関連する大きなタスクになることは確実なので、EVALUNETのネットワークを越え、DAC全体、OECD全体で議論を行っていく予定です。

(2)に関しては、開発援助におけるパートナー国のオーナーシップが一般的にも重視されている中、評価における彼らの役割について議論を行っており、今後具体的な協力方法に関する議論が展開される予定です。この議論には、パートナー側の評価に関する能力向上も含まれています。


(パリDAC通信担当 寺門雅代)


バックナンバー
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2004年10月15日第25回『ニカラグア通信:現場から見た調和化・アラインメント
2004年10月1日第24回「DACアウトリーチ戦略−対外協力関係の今後−
2004年8月10日第23回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その2 開発成果マネジメント)−」
2004年7月28日第22回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その1)−」
2004年7月12日第21回「ODAでCO2排出権を買えるのか?」
2004年6月12日第20号MDGsへの貢献はどう図るべきか?
2004年5月30日第19号「対フランス援助審査」

2004年5月18日第18号「OECD閣僚理事会(5/13-14)」
2004年5月4日第17号 「援助量と援助効果の向上」

2004年4月18日16号「DACハイレベル会合 報告」
2004年4月6日15号「DACハイレベル会合(4/15-16)・予告編」

2004年3月14号


2003年12月13号
2003年10/11月12号
2003年7月21日11号

2003年7月7日10号
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2003年3月31日第3号
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