From Paris/パリDAC通信第66号


2008年2月18日
パリDAC通信(さようならマニングDAC議長〜2007年DAC議長報告書)


マニング議長による最後となる2007年DAC議長報告書が公表されました。

1.援助の額

●マニング議長在任中の2002年から2006年にかけて援助の額は575億ドルから778億ドルへと急増した。

●増加分のほとんどはイラク向けであり、2005、2006年にはイラクは援助の最大の受取国であった。

●また増加分の内訳は、債務救済、人道援助がほとんどであり、それ以外の援助は横ばいであった。

2.援助の配分

●LDC及びOLIC諸国、またサブサハラアフリカ諸国向け援助は大きく増加した。

●一方で中所得国や紛争後時間が経過した国への援助は急減した。

●また緊急援助や人道援助の割合は増加した。

3.援助の効果向上

●アンタイド化の割合は増加したが、報告されていないものも多い。

●援助のアライメント、調和化に対するドナーの取組には大きな格差がある。

●技術協力については、定義をより明確にし、能力開発へと結びつける必要がある。

●アクターの多さから保健セクターは援助効果向上の取組が特に重要である。

●被援助国主体の戦略、ドナーの多様な活動、インパクト評価が重要である。

●人権、ジェンダー、環境分野においてもアライメント、調和化を推進する必要がある。

4.援助審査からの12の教訓

マニング議長在任中の22の援助審査から、有効な援助実施体制について12の教訓がまとめられています。

5.まとめ

●被援助国、特にサブサハラアフリカ諸国では財政収入が増え、社会セクターへの支出が増加している。

●絶対貧困層10億人未満達成、乳幼児死亡者数1000万人以下達成、サブサハラアフリカにおける就学者の36%の増加、アフリカにおけるはしかによる児童の死亡の91%減といった有望な徴候が現れている。

●ただし、依然として多くの貧困国にとっては、ミレニアム開発目標達成は長い道のりである。

マニング議長の退任を受け、1月にドイチャー新議長が就任しました。

(DAC議長報告の詳細はこちらをご覧ください。http://www.oecd.org/document/32/0,3343,en_2649_33721_40056608_1_1_1_1,00.html

(パリDAC通信担当:吉田 徹)


バックナンバー

2008年
2月4日第65回「「アクラハイレベルフォーラムの概要
1月21日第64回「「パリ宣言」第2回モニタリング調査の開始
1月7日第63回「謹賀新年:2006年ODA額と2010年ODA額シミュレーション

2007年
12月21日第62回「気候変動への適応とODA
12月13日第61回「DACにおける「能力開発」の議論の開始
11月12日第60回「急速に存在感を増しつつある「新興のドナー」(OECDの拡大とハイリゲンダム・プロセス)
10月30日第59回「「パリ宣言」:開発成果のためのマネジメントに向けた取り組みとは
10月22日第58回「急速に存在感を増しつつあるBRICs等の「新興のドナー」
9月26日第57回「増えるODAとその配分
8月7日第56回「2008年援助効果向上アクラハイレベルフォーラム

2006年

12月26日第55回「対オランダ援助審査からみたDAC −その4−
11月26日第54回「対オランダ援助審査からみたDAC −その3 「優等生」オランダから学べ!?−
10月19日第53回「対オランダ援助審査からみたDAC − その2 「援助審査」はお手盛り審査?−
10月19日第52回「対オランダ援助審査からみたDAC −その1−
8月5日第51回「協力求む!?「パリ宣言」モニタリング調査の開始
6月13日第50回「続・一般財政支援の効果はいかに?

5月28日第49回「OECD閣僚理事会
5月15日第48回「一般財政支援の効果はいかに?
2月21日第47回「OECDの開発に対する取組み強化(その2)− 投資分野での取組み−
2月7日第46回「OECDの開発に対する取組み強化
1月25日第45回「スケールアップに関する議論−続編−(第2回 DAC・世銀スケールアップ会合)

2005年

12月11日第44回「質問:ブルガリアに派遣されている青年海外協力隊の費用は、『ODA』でしょうか?
       (「DACリスト」改訂)
11月28日第43回「スケールアップに関する議論

11月1日第42回「ODA増額のためにODAを使う?」− ODAに占める開発教育・広報費の割合−
9月18日第41回「OECD/DAC事務局による2010年におけるODA量のシミュレーションと最近のDAC内外におけるホットトピック
9月6日第40回「9月国連総会(首脳会合:World Summit)とOECD/DAC
8月22日第39回「援助効果ハイレベルフォーラム・フォローアップ(その2)
7月22日第38回「パリ援助効果ハイレベルフォーラムフォローアップ
6月27日第37回「オバケODA」を退治せよ?
5月28日第36回「開発援助サポーター倍増作戦−DAC諸国における広報−
5月14日第35回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告とそのフォローアップ(その4 開発成果マネジメント)
4月18日第34回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その3 能力開発)
3月19日第33回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その2 パリ宣言と我が国の対応 )
3月4日第32号「パリ援助効果ハイレベルフォーラム
2月5日第31号「Forum on Partnership for More Effective Development Co-operation
1月23日第30号「脆弱な国家(fragile states)における援助効果向上に関するシニアレベルフォーラム
1月11日第29号「DACアウトリーチ戦略(その2)

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11月16日第27号「開発援助における評価の方向性
10月29日第26回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その4 調達キャパビル)−
10月15日第25回『ニカラグア通信:現場から見た調和化・アラインメント
10月1日第24回「DACアウトリーチ戦略−対外協力関係の今後−
8月10日第23回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その2 開発成果マネジメント)−」
7月28日第22回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その1)−」
7月12日第21回「ODAでCO2排出権を買えるのか?」
6月12日第20号MDGsへの貢献はどう図るべきか?
5月30日第19号「対フランス援助審査」

5月18日第18号「OECD閣僚理事会(5/13-14)」
5月4日第17号 「援助量と援助効果の向上」

4月18日16号「DACハイレベル会合 報告」
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