【dev-info】 2025年10月14日号(国連、文民を対象とした空爆が行われているとミャンマー政府を非難 他)

2025年10月28日発行

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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス

-(dev-info)-

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り

「国際協力におけるAI ──導入しているのは”なに”か」春木由美(東京在住)

 

【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

第80回世界銀行・IMF年次総会が開催されました。加藤財務大臣が総務演説を行いました(記事

欧州連合(EU)とWHOは、サブサハラ・アフリカにおけるデジタル保健システムの推進に向けて協力します(記事

国連安保理は、ハイチに対する制裁の延長を可決しました(記事

英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家が、タンザニアの選挙についてコメントしています(記事)他

 

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

 

タイトル:国際協力におけるAI ──導入しているのは”なに”か

執筆:春木由美(東京在住)

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最近、「AI」というワードを日常的に聞くようになりました。私の職場でも、企画書やミーティングの議事録において「AI」が頻繁に並びはじめ、開発分野にもこの波が来たのかと感じています。ただ、一度、立ち止まって考えてみたくなります。私たちが導入しようとしている「AI」とは、本当にAIなのでしょうか。そして、開発分野において、AIは魔法の杖になり得るのでしょうか。

いまAIと呼ばれているものの中には、実際にはデジタル化(DX)の延長に過ぎないケースも多くあります。紙の台帳をExcelに置き換えたり、申請手続きをオンライン化したり。もちろんそれ自体も大きな前進ですが、それは「情報を扱う仕組みを整える」ことであって、「判断を行う仕組みを取り入れる」こととは異なります。

また、私たちは、AIという言葉に「なんでも助けてくれる存在」のようなイメージを重ねがちです。でも実際は、どれだけ複雑なアルゴリズムでも、入力されるデータが不完全であれば、「不思議なExcel職人」が出来上がるだけかもしれません。

私はAIを取り巻く議論に関わるとき、いつも三つのことを心に留めています。

ひとつ目は、「手段と目的のすり替え」が起きていないかということ。AIを使うこと自体が目的になってしまうと、現地には使われない技術や、動かないアプリだけが残ることがあります。

ふたつ目は、「データ構造の信頼性」です。AIに判断を委ねるには、土台となるデータが正確でなければなりません。感覚値や不揃いな集計データで構築されたモデルが出す答えには、注意が必要です。

そして三つ目は、「人の責任が消えていないか」という視点です。「AIが言っていたから」という理由で意思決定が、国造りの文脈でなされてしまうことは、あってはならないと思っています。最終的に判断し、責任を持つのは、いつだって人間であるべきです。

私たちがAIを導入しようとするとき、それは技術そのものではなく、「未来に備えるという意思」を導入しようとしているのではないでしょうか。その意思には、コードや計算だけでなく、誠実さや信頼、そして問い続ける姿勢も含まれているはずです。

「AIを入れる」その前に、私たちは何を、誰のために、どう届けようとしているのか。あらためて立ち止まり、考えてみる時間があってもいいのではないかと思っています。

 

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【2】 開発フォーラム新着情報チェック

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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください

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– 日本関連 –

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  • 第80回世界銀行・IMF年次総会が開催されました。加藤財務大臣が総務演説を行いました(記事)。
  • セネガル共和国との間で、2件の無償資金協力(「セネガル日本職業訓練センター・ジャムニャージョ分校建設計画:供与限度額:34.64億円」、「経済社会開発計画農業関連機材の供与:供与額:2.40億円」)に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
  • ラオス人民民主共和国との間で、ラオスに対する無償資金協力「南部地域における不発弾除去の加速化を通じた地域開発計画(フェーズ3)」(供与限度額6.73億円)に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
  • トーゴ共和国との間で、供与額4.02億円の無償資金協力「経済社会開発計画(治安対策用車両)」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
  • メキシコ合衆国における洪水被害に対して、国際協力機構(JICA)が供与した緊急援助物資が、同国に引き渡されました(記事)。
  • 外務省国際機関人事センターは空席情報を更新しました(記事)。
  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

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– バイ・ドナー関連 –

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  • 英国は、2024年4月から2025年3月までのシリアに対する人道支援の詳細を公開しています(記事)。
  • クーパー英国外務・英連邦・開発相は、タイムズ紙に寄稿し、ロシアへの経済的圧力の強化を訴えています(記事)。
  • 欧州連合(EU)とWHOは、サブサハラ・アフリカにおけるデジタル保健システムの推進に向けて協力します(記事)。
  • 世銀・IMF年次総会にあわせ、G7開発大臣会合が開催されました。議長によるサマリーが公開されています(記事)。
  • カナダ政府はG7開発大臣会合を主催し、世界銀行グループおよびIMF年次総会に参加しました(記事)。

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– 国際機関関連 –

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  • 国際開発金融機関(MDBs)代表グループは2025年に議長を務める欧州評議会開発銀行の下で会合を開き、共同行動の進展状況を確認するとともに、同グループの今後の取り組みの優先分野を策定しました(記事)。
  • 経済協力開発機構(OECD)は、科学、テクノロジー、イノベーションアウトルック2025 年度版(OECD Science, Technology and Innovation Outlook 2025)を発表しました(記事)。
  • 第112回世界銀行・IMF合同開発委員会が開催され、議長声明が公開されています(記事)。
  • 国際通貨基金(IMF)は、同サイト上で、ゲオルギエバ専務理事の「不確実性の世界におけるレジリエンス」のスピーチを公開しています(記事)。
  • IMFは、アジア大洋州地域の地域経済見通し2005年度版を発表しました(記事)。
  • アジア開発銀行の神田総裁と日本の金融庁長官は、アジア・太平洋地域における金融セクターの発展強化に向けた協力協定に署名しました(記事)。
  • アジア開発銀行は、開発途上加盟国への貸出能力を向上させるため、世界銀行と30億ドルのソブリン(公共部門)向けエクスポージャー交換協定(EEA)に署名しました(記事)。
  • アフリカ開発銀行は、ベニン共和国の77の都市の経済改革、民間支援、デジタル変革等をサポートするための1億1700万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
  • アフリカ開発銀行は、企業支援、科学技術開発支援を通してケニアの若者を支援する7300万ドルのプロジェクトを承知いたしました(記事)。
  • 米州開発銀行と韓国は、ラテンアメリカ、カリブ海地域のイノベーション促進、デジタル変革、持続的発展を支援する協力パッケージを立ち上げました(記事)。
  • 米州開発銀行は、バハマの電化促進を目的とした9000万ドルのプロジェクトを承知いたしました(記事)。
  • UNCTADは、途上国が抱える債務額は310億ドルにものぼっていると警告しています(記事)。
  • 国連安保理は、ハイチに対する制裁の延長を可決しました(記事)。
  • UNDPとオックスフォード大は、世界の貧困者の8割は気候変動に脆弱な地域に居住していると分析した報告書を出版しました(記事)。
  • 国連は、国際協力予算の削減によりPKO予算も深刻な影響を受けていると報告しています(記事)。
  • WFPは、深刻な予算不足により世界で1400万人が今年中に食糧不足に陥る恐れがあると訴えています(記事)。
  • 国連は、ウクライナでロシアが国連の車列をドローンで攻撃したと強く非難しています(記事)。
  • 国連は、ガザの復興のために700億ドルの資金が必要だと報告しています(記事)。
  • UNDRRは、今世紀の自然災害によるコストは全盛期の倍程度になっていると分析した報告書を出版しました(記事)。
  • 国連諸機関は、スーダンで3千万人が緊急の人道支援を必要としており、そのうち半分は子供であると報告しています(記事)。
  • UNEPは、衛星を用いたメタンガスの監視システムのデータを分析した結果を公表し、温室効果ガスに対する取り組みが不十分であると明らかにしています(記事)。
  • 国連は、平和構築における女性の関与がまだ限定的に過ぎないことを分析した報告書を出版しました(記事)。
  • UNICEFは、地震に見舞われたアフガニスタンで20万人を超える子供達が水を媒介とした感染症に罹患するリスクに晒されていると報告しています(記事)。

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– シンクタンク・NGO関連 –

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  • 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家が、タンザニアの選挙についてコメントしています(記事)。
  • ODIは、EUの戦略的アジェンダと援助のあり方をテーマにしたイベントを開催します。本イベントでは、ODIヨーロッパの報告書「2025年における開発の必要性」の発表も行われます(記事)。
  • 英サセックス大学IDSの国際税務開発センターは、アフリカ税務行政フォーラムおよびウガンダ歳入庁と共同で、ウガンダのエンテベにて「富裕層の納税コンプライアンス強化」をテーマとするワークショップを開催しました(記事)。
  • Save the Childrenは、紛争により6300万人の子供が飢餓に陥っていると報告しています(記事)。
  • 世界経済フォーラムが主催した2025年都市変革サミットは、気候変動、不平等、技術的混乱によって形作られる新時代に向け、世界経済成長の原動力の再構築を確認し、閉幕しました(記事)。
  • JETROアジア経済研究所は、英文学術出版を担う職員(編集職)を募集しています(記事)。
  • APEC年次首脳会合を控え、ブルッキングス研究所は同首脳会合の目的と、米国やその他の参加国にとって何が重要なのかについて語ります(記事)。

 

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