2025年4月29日発行 http://www.devforum.jp/
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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス dev-info
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
「28カ国の同僚と共に歩んだ15年」 山中瑞樹(世界銀行/ワシントンDC)
【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
- 経済協力開発機構(OECD)は、2024年のOECD開発援助委員会(DAC)メンバーのODA実績(暫定値、贈与相当額計上方式)を公表しました(記事)。
- オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、ラオス、ブルネイの間で、ASEAN-オーストラリア-ニュージーランド自由貿易地域(AANZFTA)が発効しました(記事)。
- WFPは、ガザ支援のための食料が底をついたと報告しています(記事)。
- OCHAは、大地震から数週間たったミャンマーで現在も支援を必要としている世帯が数千あると報告しています(記事)。
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
「28カ国の同僚と共に歩んだ15年」 山中瑞樹(世界銀行/ワシントンDC)
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私事ながら、今年のはじめで、世界銀行での16年目を迎えた。短期コンサルタントとしてこの仕事を始めた当初、今の自分の姿を想像することはできなかった。大きな目標やビジョンを抱いて進む人々には遠く及ばないが、自分なりに歩みを止めずここまで来られたことは、少しだけ誇らしく思う。
先月、世界銀行東京事務所のキャリアセミナーで話をする機会を得た。どんな話から始めようか考えているうちに、ふと、15年間で何カ国の人々と共に働いてきたのか気になり、調べてみることにした。国名をAからZまで辿り、その国出身の同僚がいたかどうか、記憶をたぐり寄せる。懐かしい顔や名前が次々と思い出され、各国一回ずつ数えていくと、28カ国に達した。ついでに、出張で訪れた国も重複なしで数えると10カ国。出張先のワークショップに参加した国々は100カ国にも及ぶ。15年間でこの数字、多いと感じるか少ないと感じるかは、皆さんの経験次第だろう。
私にとって、この職場で働くことの最大の魅力は、言語も、文化も、肌の色も、生活習慣も異なる多様な国の人々が、同じ目的を持って協働していることだ。バックグラウンドは実に多様で、日本にいたら想像もつかないような経験を経てここに至っている人もいる。自分の人生がとてもちっぽけに感じることもあるが、平和で安定した社会できちんと教育を受けて育ったことは、世界では決して平凡なことではない。感謝の念が湧くし、同時に、日本で育った自分だからこそできる貢献は何だろうと考えさせられる。そうした思いを、キャリアセミナーに参加してくれた若者たちにも少しでも伝えられたなら幸いだ。
今、国際的な開発支援という分野は強い向かい風にさらされている。世界の実情に合わせて、必要な軌道修正はいつでもすべきだ。しかし同時に、国際的な協調のない地球社会が住み良い世界であるはずもない。思いもよらないニュースが報じられるたびに、基本に立ち返り、もう一度頭を整理しながら、これから自分たちに何ができるのか、悩む日々が続きそうだ。
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【2】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘こちら までご連絡ください。
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– 日本関連 –
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- 経済協力開発機構(OECD)は、2024年のOECD開発援助委員会(DAC)メンバーのODA実績(暫定値、贈与相当額計上方式)を公表しました。日本のODA実績は、米ドルベースで、167億7,167万ドル(前年比14.4%減。円ベースでは前年比7.8%減の2兆5,399億円)となりました。日本の実績は、米国、ドイツ、英国に次ぐ第4位(昨年は第3位)。また、DACメンバーのうち、EUを除く32か国のODA実績合計は2,121億ドル(前年は2,237億ドル)。また、日本のODAの対国民総所得(GNI)比の値は0.39%(前年は0.44%)で、DACメンバー中、第13位となりました(記事)。
- ケニア共和国の共和国財務・経済計画との間で、供与限度額を2億5,800万円とする無償資金協力「人材育成奨学計画」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
- 国際移住機関(IOM)在バングラデシュ事務所との間で、供与額5.02億円の対バングラデシュ無償資金協力「コックスバザール県及びバシャンチャール島におけるミャンマーからの避難民及びホストコミュニティのための生活環境改善計画(IOM連携)」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
- 国際協力機構(JICA)は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)及び国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による選考結果を踏まえ、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)における環境、カーボンニュートラル、生物資源、防災及び感染症領域の2025年度新規採択案件について12件を条件付きで決定しました(記事)。
- JICAは、コンゴ民主共和国政府との間で、技術協力プロジェクト「コンゴ盆地における熱帯泥炭地生態系モニタリングおよび管理能力強化プロジェクト」に関する討議議事録に署名しました(記事)。
- 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
- 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。
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– バイ・ドナー関連 –
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- 英国とパレスチナ自治政府は、長期和平に向けた取り組み継続のため関係を強化します(記事)。
- 英仏独の外相は、イスラエルによる50日以上にわたるガザへの援助封鎖に関する共同声明を発表しました(記事)。
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欧州連合(EU)などの支援により建設されたロゴネ橋が開通しました。これによりカメルーン極北地域のヤグアとチャドのボンゴールが結ばれ、470万人以上の人々が裨益すると期待されています(記事)。
●欧州委員会(EC)とIFCは、世界中の民間セクターへの投資、雇用創出、経済成長を支援するための保証契約に調印しました(記事)。
- 米国は、コンゴ民主共和国、フランス共和国、カタール国、ルワンダ共和国、トーゴ共和国の政府によってコンゴ民主共和国東部の和平支援努力に関する共同声明を発出しました(記事)。
- オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、ラオス、ブルネイの間で、ASEAN-オーストラリア-ニュージーランド自由貿易地域(AANZFTA)が発効しました。本協定は、残りのASEAN加盟国がそれぞれの国内手続きを完了したことを通知してから60日後に発効する予定です(記事)。
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– 国際機関関連 –
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- 第111回世銀・IMF合同開発委員会議長声明が公開されています(記事)。
- 国際通貨基金(IMF)は、「世界経済見通し(WEO)改訂版」の最新版を発表し、世界経済成長は減速する見込みで、大きな政策転換が進むにつれて下振れリスクが高まると予測しています(記事)。
- 世界銀行は、報告書” Africa’s Pulse, No. 31, Spring 2025: Improving Governance and Delivering for People in Africa(アフリカの鼓動:ガバナンスの改善とアフリカの人々の繁栄)”を発表し、アフリカ諸国の政府が不安定な状況下で成長を維持し信頼を回復するための政策提言をしています(記事)。
- アジア開発銀行(ADB)の神田総裁は、ワシントンDCにおいて、スコット・ベッセント米財務長官との会談をはじめとした一連のハイレベル協議を行い、ADBが民間セクター開発に重点的に取り組んでいることを強調しました(記事)。
- ADBは、「年次報告2024版」を発表し、その中で、ADBによる開発途上加盟国への支援を通じた、持続可能でインクルーシブかつ強靱な開発の実現に向けた取り組みの概要を示しています(記事)。
- アフリカ開発銀行は、スーダンの脆弱な状況に置かれている人々コミュニティを支援するための1985万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
- WFPは、ガザ支援のための食料が底をついたと報告しています(記事)。
- WHOは、児童婚を抑止することが10大の危険な出産を抑止することになると分析しています(記事)。
- WFPは、資金難によりエチオピアの360万人が食糧武曽奥に陥る恐れがあると報告しています(記事)。
- OCHAは、大地震から数週間たったミャンマーで現在も支援を必要としている世帯が数千あると報告しています(記事)。
- WFPは、ハイチで食糧支援を必要としている人口が国の半数以上の570万人いると報告しています(記事)。
- UNMISSは、南スーダンで文民に対する暴力が増加していると報告しています(記事)。
- UNHCRは、コンゴDRCで洪水が発生し、紛争から逃れた1万人がさらに避難を余儀なくされていると報告しています(記事)。
- UNICEFは、紛争が続くスーダンで支援を必要としている子供が1500万人にものぼると報告してます(記事)。
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-シンクタンク・NGO・財団関連 –
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- 英ODIは、世銀IMF春季会合に合わせた特設ページを解説し、様々なイベントや記事を公開しています(記事)。
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5月のアフリカ開銀総裁選挙を前に、ODIは候補者に対するインタビューを実施しています(記事)。
●英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家は、カシミール地方で発生した観光客襲撃事件によりインドとパキスタンの関係が悪化すると警告しています(記事)。
●5月24、25日に、Oxford Africa Conference 2025が開催されます。シエラレオネのビオ大統領やWTOのオコンジョ=イウェアラ事務局長らによる基調講演などが予定されています(記事)。
●英サセックス大学IDSは、ミャンマー大地震後の人道危機について現地の声をブログで紹介しています(記事)。
- ジェトロアジア経済研究所は、米国トランプ政権が4月2日に発表した相互関税政策が世界経済に与える影響をアジア経済研究所経済地理シミュレーションモデル(IDE-GSM®)を用いて試算し、その結果をIDEスクエア・世界を見る眼「トランプ政権の相互関税政策が世界経済に与える影響(2025年4月2日ホワイトハウス発表対応版)」として公開しました(記事)。
- アジア財団は2025年ロータス・リーダーシップ・アワードで女性の権利のグローバル・チャンピオンを表彰しました(記事)。
- 世界経済フォーラム、4月20日の臨時理事会において、評議員会はピーター・ブラベック=レトマテ副会長を暫定会長に任命しました(記事)。
- グローバルインフラストラクチャー研究財団は2025年4月24日(木)に開催した、海底インフラとインド太平洋の海洋秩序―地政学から見る安全保障の最前線の動画を公開しました(記事)。
- Panasonic NPO/NGO サポートファンド for SDGsの募集が7月後半に実施される予定です(記事)。
- NGOスタディ・プログラム研修員が募集されています、締切は5月末日(記事)。
- Oxfamは、OECDの最新の援助データが発表されたことを受けて、現在の混乱の前から援助カットが始まっていたとコメントしています(記事)。
- 12の援助団体の代表達は、ガザ支援を再開させるように共同声明を発表しました(記事)。
- Save the Childrenは、シリアで40万人の子供が栄養不良に陥ろうとしていると報告しています(記事)。
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ワシントンDC開発フォーラム「情報サービス(dev-info)」と
「メーリングリスト(devforum)」
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2025年4月29日発行