【dev-info】 2025年5月31日号(国連事務総長、資金難に直面する国連システムの改革について発言 他)

2025年5月31日発行 http://www.devforum.jp/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス dev-info

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「橋をわたる」  小林隼人 (ホーチミン在住)

 

【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

  • 国連事務総長は、資金難に直面する国連システムの改革について発言しました(記事)。
  • UN Womenは、紛争地の女性団体の約半数が資金不足により半年以内に活動停止に陥る恐れがあると報告しています(記事)。
    ●IOMは、紛争と自然災害の増加により国内避難民の数が8340万人と過去最大の値になっていると報告しています(記事)。
    ●UN DESAは世界経済に関する最新の報告書を発表し、関税とインフレーションの影響について論じています(記事)。
  • 外務省は、ツバル、ニウエ、スリランカ、サントメ・プリンシペの国別開発協力方針に関する意見を募集しています(記事)。

 

【3】『DC開発フォーラム新規活動に向けたブレインストーミングワークショップのお誘い(6月5日18時 米国東海岸時間)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「橋をわたる」  小林隼人 (ホーチミン在住)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

久しぶりに訪問したロンドンの大英博物館で、歌川広重展を見てきました。「広重 旅の画家」という

展示テーマの通り日本各地を旅し「東海道五十三次」など数々の浮世絵を残した広重ですが、

その作品がゴッホやモネら印象派の画家に与えた影響も良く知られています。展示されていた

「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」の横には、比較できるようにゴッホの模写のコピーも貼られていました。

広重が多用した青色のことを「広重ブルー」と呼ぶそうで、その正体は欧州から輸入された人工顔料だったそうです。

浮世絵と印象派の関係について、これまではジャポニズムのブームにのって浮世絵が西洋で人気になり印象派の画家に

影響を与えたという一面的な理解に留まっていたのですが、浮世絵を彩る鮮やかな青がベルリンで生まれた顔料と知り、

はっとさせられました。文化と文化の関係というのは、決して一方通行ではなく多面的なものであると学ぶ機会になりました。

浮世絵には西洋絵画の遠近法の技術も使われています。日本美術も西洋美術も、相互に触れ合い学び合うことで洗練されてきたのでしょう。

「大はしあたけの夕立」には、隅田川にかかる橋の上を町人が行き交う様子が描かれています。自身も旅人であった

歌川広重も生涯で様々な橋をわたり、多くの出会いと学びを得て、素晴らしい作品を残しました。スケールはだいぶ小さくなりますが、

今回私も久々にロンドンやワシントンDCを再訪し、懐かしい友人に会ったり楽しい時間を過ごしました。

私が残したのはクレジットカードの請求だけですが、橋をわたり異国を訪ね、異文化に触れることの醍醐味を改めて実感する旅でした。

 

ベルリンの壁が崩壊してから今年で35年になります。グローバリズム全盛の時代が終わり、最近は物理・ソフトを問わず

様々な壁で世界が分断される時代がやってきているように思います。しかし、より良い未来を実現するために必要なのは『壁』ではなく、

人と人、文化と文化をつなぐ『橋』なのだと私は信じます。人類の未来には橋、そして家庭の平和のためにはお土産。

これを忘れずに、これからも旅を続けていきたいと思います。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【2】 開発フォーラム新着情報チェック

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘こちら までご連絡ください。

 

┏━━━━━━━━━━━┓

– 日本関連 –

┗━━━━━━━━━━━┛

  • 第34回欧州復興開発銀行年次総会における日本国総務演説が公開されています(記事)。

 

  • 外務省は、ツバル、ニウエ、スリランカ、サントメ・プリンシペの国別開発協力方針に関する意見を募集しています(記事)。

 

  • 日本政府は、ミャンマー中部で発生した地震による被害を受けて避難生活を余儀なくされているマンダレー地域の僧院付属学校の人々に対し、給水タンクや緊急避難テント等の緊急支援セットを供与する「草の根・人間の安全保障無償資金協力」の実施を決定しました(記事)。

 

  • マダガスカル共和国技術・職業教育大臣との間で、鉱業人材育成のための日本企業の製品を含む関連機材を供与する供与額5.31億円の無償資金協力「経済社会開発計画」に関する書簡の交換が行われました(記事)。

 

  • 国際協力機構(JICA)は、カンボジア王国シェムリアップ州政府との間で、技術協力プロジェクト「シェムリアップにおける都市課題解決のためのスマートシティアプローチ実装プロジェクトフェーズ2」に関する討議議事録に署名しました(記事)。

 

  • JICAは2024年度の評価結果をとりまとめた「事業評価年次報告書2024」を発表しました(記事)。

 

  • 2025 年度国際機関幹部候補職員派遣募集要項(国連事務局管理戦略・政策・コンプライアンス局人的資源部(UNDMSPC/OHR))が公開されています(応募締切6月20日)(記事)。

 

  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。

 

  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

 

┏━━━━━━━━━━━┓

– バイ・ドナー関連 –

┗━━━━━━━━━━━┛

 

  • 英国は、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人コミュニティに対する暴力を支援する個人や組織などに対する制裁措置を発表しました(記事)。
  • AFDグループは、インドネシア政府との2国間協議において、持続可能な開発におけるパートナーシップを強化することを確認しました(記事)。

    ●GIZは、ブラジルのアマゾン地域において自然に配慮したビジネスモデルへの支援を行っています(記事)。

    ●欧州連合(EU)は6000万ユーロを拠出し、ラテンアメリカ・カリブ海諸国(LAC)全域における不平等の削減と包括的な社会の育成を目的とした新たなプログラムを開始します(記事)。

 

  • カナダは、カナダ・エクアドル自由貿易協定の交渉成立に関する共同声明を発表しました。両国は、同協定の早期発効を目指します(記事)。

 

┏━━━━━━━━━━━┓

– 国際機関関連 –

┗━━━━━━━━━━━┛

 

  • UN Womenは、紛争地の女性団体の約半数が資金不足により半年以内に活動停止に陥る恐れがあると報告しています(記事)。

    ●IOMは、紛争と自然災害の増加により国内避難民の数が8340万人と過去最大の値になっていると報告しています(記事)。

    ●国連事務総長は、資金難に直面する国連システムの改革について発言しました(記事)。

    ●FAOとWFPは、食糧事情に関する最新のレポートを発表し、53か国で約3億人が深刻な食糧不足に直面していると報告しています(記事)。

    ●UN DESAは世界経済に関する最新の報告書を発表し、関税とインフレーションの影響について論じています(記事)。

    ●UNESCWAは、アラブ地域の人口の約60%がまだ金融システムにアクセスが無い状況にあると報告しています(記事)。

    ●UNHCRは、モザンビークで紛争・自然災害・選挙後の混乱により130万人が避難を余儀なくされていると報告しています(記事)。

  • WFPは、紛争の最中にあるコンゴDRC東部地域で、790万人が食糧不足の状況にあると報告しています(記事)。

    ●OCHAは、シリアで50万人の難民・100万人の国内避難民が帰還を果たしたが、医療と治安の支援を必要としていると報告しています(記事)。

    ●116の人道支援団体は、イエメンが崩壊局面へと陥っていかないように支援を求める共同声明を発表しました(記事)。

    ●UNICEFは、避難を余儀なくされる子供が増加するハイチで、子供に対する性暴力の件数が去年一年間で1000%も増加したと報告しています(記事)。

    ●OCHAは、新たにガザ地区に出された退去命令は領域の7%にも及んでおり、多くの住民が避難を余儀なくされるであろうと報告しています(記事)。

 

  • 国際通貨基金(IMF)は、国債市場の継続的な安定性や、他の金融セクターや市場における国家間の脆弱性について論じた報告書「国際金融安定性報告書(GFSR)」を発表しました(記事)。

 

  • OECDは、デジタル時代の児童生徒の生活に関する報告書” How’s Life for Children in the Digital Age?”を発表しました(記事)。

 

  • 世界銀行は、サブサハラ・アフリカの農業の潜在性活用に関するブログを公開しています(記事)。

 

  • アジア開発銀行の神田総裁は、ブルネイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン東部アセアン成長地域およびインドネシア・マレーシア・タイ三角成長地帯の第16回サミットにおいて、地域協力・統合の推進に向けたADBの強いコミットメントを改めて表明しました(記事)。

 

  • アフリカ開発銀行は、コートジボアールで年次総会を開催しました(記事)。

 

  • アフリカ開発銀行は、ジンバブエの農業生産向上支援を目的とした1000万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。

 

  • 米州開発銀行は、サンパウロ市の市営バスの電化促進を支援する2億4830万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。

 

┏━━━━━━━━━━━┓

-シンクタンク・NGO・財団関連 –

┗━━━━━━━━━━━┛

 

  • 英ODIは、難民主導の組織への資金提供についての報告書を発表しました(記事)。
  • 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家が、ガザの戦争や飢餓、政治状況についてコメントしています(記事)。

    ●英NGOネットワークBONDは、英国政府の債務対策についてコメントしています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、コロンビアのスラム地域で資金カットにより多くの団体が支援の停止を余儀なくされ、子供達が搾取のリスクに直面していると報告しています(記事)。

    ●Oxfamは、ガザ地区の食糧事情に関する報告書の結果に対して声明を発表しています(記事)。

    ●Oxfamは、イスラエルのガザ地区への人道支援の方針に対して声明を発表しています(記事)。

 

  • 世界経済フォーラムは、本年初頭以来、グローバル経済の見通しは悪化していると述べています。この動向は一時的な混乱ではなく、グローバル経済の構造的変化の兆候であるとしています(記事)。

 

  • 国際開発センター(CGD)は次期アフリカ開発銀行総裁候補3名との対談のポッドキャストインタビューを配信(記事)。

 

  • アジア経済研究所は、(BRICSと世界)第3回 アルジェリアの選択―エネルギー外交とBRICSとの関係を公表しました(記事)。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【3】『DC開発フォーラム新規活動に向けたブレインストーミングワークショップのお誘い(6月5日18時 米国東海岸時間)』

 

2003年の発足以来、20年以上活動を続けてきた ワシントンDC開発フォーラム(以下、DCフォーラム)では、この度新たな活動展開を模索しており、その内容を紹介しつつ今後の展開を共に構想するためのキックオフイベント(ハイブリッド)を開催します。

 

■趣旨

従来DCフォーラムは(1)講演会、(2)ネットワーキングイベント、(3)MLでの情報共有、を三本柱として活動してきました。(過去の活動はこちらをご参照ください:http://www.devforum.jp/?page_id=31

 

今後はこれらに加え、途上国開発支援や国内外の社会課題に関する特定のテーマに焦点を当て継続的な講演会・勉強会を行う分科会のような活動形態を検討しています。2000人を超えるML会員はDCフォーラムの持つ大きな強みです。今後はこの稀有なコミュニティを、「同じ問題意識を持つ仲間を募り、議論し、行動するプラットフォーム」として再定義しようとしています。

 

たとえば、構想中の分科会「たねらぼ」では、社会的インパクトのあるアイデアやテクノロジーに関する情報共有をしつつ、具体的なソリューションアイデアのブラッシュアップを進め、それを実現するための資金獲得(ビジネスコンテストなど)するところまでを視野に入れています。

他にも、国際協力関係者にとって身近な問題であり、かつ日本社会にとっても大きな問題であるメンタルヘルスについて、共に考えていくプラットフォームを作れないかも模索しています。

 

本MLを購読されている方であれば開発関係者の間で広く知られるポッドキャスト番組「Farily.fm」をご存じの方も多いと思います。Fairlyでも、番組内で「ICT4D」「インクルージョン」など様々な企画が生まれていきましたが、それに近いイメージです。

 

キックオフとなる今回は、これら新展開の概要や企画中の分科会の紹介をした上で参加者の皆さんからも活動のアイデアを募り、今後DCフォーラムでどんなことがやりたいか、どんなことをやっていきたいかをブレインストーミングする予定です。

 

皆さん日々の仕事に手応えは感じつつも、そこでは十分取り組めていない個人的な問題意識や関心領域が一つや二つはあるのではないでしょうか?あるいはやりたいことははっきりしているけれど、共に取り組む仲間がほしいというケースもあると思います。同じ関心を持つ仲間を見つけ、構想を形あるものにに昇華する土台として、是非DCフォーラムをご活用ください。

 

■開催概要

日時:6月5日(水)米国東時間18:00~19:00(日本時間6日(金)7:00~8:00。終了後対面参加者は懇親会あり)

場所:ワシントンDC市内(対面参加される方に直接ご連絡します)

もしくはオンライン(Teamsリンクをオンライン参加申込者に直接ご連絡します)

申込:以下のURLより参加申し込みフォームに開催前日までにご記入ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScLXa1bmpIz3B9Jn3avn6CLpm4qXsnVNv632m6teHfaOW-npA/viewform?usp=sf_link

 

新しいアイデアを生み出すうえで参加者の多様性は必須です。幅広い年齢、バックグラウンド、関心領域の方の参加をお待ちしております。また、周囲で国際協力や社会課題に関心のありそうな方にも是非本メールをご転送ください。本業とは違う領域で、何か面白いことをやりましょう!

 

幹事一同

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

ワシントンDC開発フォーラム「情報サービス(dev-info)」と

「メーリングリスト(devforum)」

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

ワシントンDC開発フォーラムでは、本フォーラムの開催する勉強会等のイベント関連情報 (案内・レジュメ・議事録)をはじめとする活動情報に加え、グローバルな途上国の開発関連情報と日本の取り組みに関する最新の情報を、「DC開発フォーラム 情報サービスメールマガジンDev-info」として、電子メールにて隔週で配信しています。

[バックナンバー]

2002年7月以降の全てのバックナンバーはこちらからご覧いただけます。

[メール配信登録]

本情報サービスの配信をご希望の方は、こちらからご登録ください。

[記事掲載依頼]

本情報サービスへの記事掲載をご希望の方は、こちらまでご相談ください。

[登録解除]

本サービスの登録解除をご希望の方はこちらに空メールを送り解除いただきますようお願い致します。

[情報交換メーリングリスト]

本フォーラムでは、毎回のBBLについての意見交換の他、より広くグローバルな開発戦略と日本の関わりに関する 意見交換や情報交換を行うために、「ワシントンDC開発フォーラム・メーリングリスト(devforum)」を運営しています。参加をご希望の方は、こちらのフォームより参加申請を行ってください。

[DC開発フォーラム全般に関するお問い合わせ]

登録に際するエラーや、dev-infoやdevforumをはじめ、DC開発フォーラムの活動についてご質問・ご意見等ございましたら、お気軽にこちらまでご連絡いただけますと幸いです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

編集担当:小林隼人/荘所真理/畠山勝太/伊藤千春/石野瑠花/浅海誠/砂原遵平

発行:ワシントンDC開発フォーラム

DC開発フォーラムHP: http://www.devforum.jp/

Facebookページ:    http://on.fb.me/rtR9Le

twitterアカウント: @DC_dev_forum

2025年5月31日発行