【dev-info】2025年5月13日号(ウクライナに対する侵略犯罪に関する特別法廷を欧州評議会内に設立することで合意 他​)

2025年5月13日発行

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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス

-(dev-info)-

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り

「健康づくりと習慣化」川俣大和(Aurora Energy Research/東京)

 

【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

欧州連合(EU)のカラス上級代表、欧州各国の外相はリビウで会合を開き、ロシアによるウクライナ侵略罪を裁く特別法廷を新たに設置すると発表しました(記事

Oxfamは、過去5年間でグローバル企業の経営者の給与は50%も増加したのに、労働者の給与は0.9%しか増加しなかったと報告しています(記事)他

 

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

 

タイトル:健康づくりと習慣化

執筆:川俣大和(Aurora Energy Research/東京)

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この一年、-10kg達成→+3kgリバウンドという安定しない身体づくりを経験しました。ある意味どこにでも転がっていそうな出来事の振り返りにしばしお付き合いを(お忙しい方は飛ばしていただきメインの情報へどうぞ!)。

コミットメントの魔力

本格的にサッカーのリーグ戦に参戦したことに後押しされ本腰を入れてトレーニングに取り組み始めたのがちょうど一年前。やるからには退路を断とうと月額ⅹ万円のパーソナルジムでハードコミットメントをして取り組むことにしました。いわゆる行動経済でいうところの「損失回避」×「サンクコスト」に、「トレーナーとの対面プレッシャー」(+家族から感じるプレッシャー)でレバレッジを掛けたわけです。とあるランダム化実験においても、自己資金を賭ける契約(commitment contract)を持たせることでジムへの出席率が20%上昇したとの学術的な裏付けもあったりします。(※1)

結果、半年で-10kgと正しい筋トレ知識、少しばかり代謝の上がった身体を手に入れ、体も財布も軽量化を達成しました。

リバウンドの教訓

ところがプログラム終了後は+3kg。外部装置が消えた瞬間に自律ギャップが露呈しました。

ジム研究においても、金銭的インセンティブの効果は短期的かつそれほど大きくなく、インセンティブ終了後に持続しなかったという、これもそんなのみんな知っているわと言いたくなる学術的裏付けも出されていたりするわけです…。(※2)

いかにして望ましい習慣を定着させるか。これまでも人生の中で幾度となく経験をしてきたテーマですが、改めて考えてみると今回の件には以下のような自律ギャップが生じた理由があったと言えそうです。

前払い金という損失回避対象の消滅

定期計測→報告→称賛という即時フィードバックの消滅

代替の環境設計(ジム予約、食事ログ)の消滅

これら3滅により、意思決定は都度の「やるorやらない」の選択に逆戻りしてしまいました。小さな成功体験も減り、快感回路も弱体化したのか、脳内意思決定は仕事・育児・家事へ割かれ、運動の優先順位は劣後する結果になったことも否めません。

“習慣化”を支える仕掛け

では、今後はどうするか?習慣化のために何が必要か?キーワードは緩いが続く仕組みづくり、もしくは強制→自律のブリッジと言えるかもしれません。

小さくかつ高頻度の報酬:きっかけは外部インセンティブとして与え続け、徐々に減らして内発的動機にバトンタッチ

自動トラッキング+即時フィードバック:アプリなどを使いながら、モニタリング→即時可視化→アクションへのループづくり

ピア効果:共有する相手を作り「見られている」効果づくり

罰より祝福:失敗はスルーし、小さな成功体験の積み上げ

最後に

半ば無理やりかつ卑近な例と結びつけではありますが、「強制→自律」の緩やかな仕組みづくりは私自身も開発事業で日々悩んでいたテーマでした。開発業界の第一線から距離を置いている身としては、まずは身近なところからこのデザインを確立できないかトライ&エラーに励んで行きたいと思います。よいアドバイスがあればぜひご一報をお待ちしています!

 

※1 Spika D. (2024) Put a bet on it: Can self-funded commitment contracts curb fitness procrastination?

※2 Carrera, M. (2017). Can financial incentives help people trying to establish new habits? Experimental evidence with new gym member

 

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【2】 開発フォーラム新着情報チェック

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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください

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– 日本関連 –

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  • 第58回アジア開発銀行年次総会の日本国総務演説が公開されています(記事)。
  • ケニア共和国財務・経済計画長官との間で、供与限度額を2億5,800万円とする無償資金協力「人材育成奨学計画」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
  • 外務省は、開発協力白書に掲載するコラム記事の題材を募集しています(締切6月27日)(記事)。
  • 日本政府は、ミャンマー中部で発生した地震による被害を受けて避難生活を余儀なくされているマンダレー地域の僧院付属学校の人々に対し、給水タンクや緊急避難テント等の緊急支援セットを供与する草の根・人間の安全保障無償資金協力の実施を決定しました(記事)。
  • 国際協力機構(JICA)は、パラオ共和国政府との間で、「コロール州及びアイライ州における上水道改善計画」を対象として、無償資金協力の贈与契約を締結しました(記事)。
  • JICAは、ペルー共和国においてマイクロファイナンス分野をリードしているMIBANCO, Banco de la Microempresa S.A.との間で、融資契約の調印式典を開催しました。本事業は、米州開発銀行グループとの中南米・カリブ地域の経済回復及び社会包摂協力を目指すパートナーシップ枠組みの中で、米州投資公社との協調融資として実施します(記事)。
  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

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– バイ・ドナー関連 –

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  • 英国の外務・英連邦・開発省は、2023-24年の年次評価報告書を発表しました(記事)。
  • AFDや世銀の支援を受けて実施されているアフリカ高等教育プログラムが開始10年を迎えました。これまでに8000件の博士号を含む9万人以上が同プログラムを通じて教育を受け、87件の特許が誕生するなどの成果を上げています(記事)。
  • GIZは、インドネシアで支援を行っている持続可能な胡椒栽培の成果についてHPで紹介しています(記事)。
  • デンマークのIFU(途上国のための投資基金)は2024年の年次報告書を発表しました(記事)。
  • 欧州連合(EU)のカラス上級代表、欧州各国の外相はリビウで会合を開き、ロシアによるウクライナ侵略罪を裁く特別法廷を新たに設置すると発表しました(記事)。
  • 米国は、ケニアのムダバディ官房長官兼外務大臣と会談し、ケニアとの二国間関係の重要性を再確認するとともに、米国とケニアのパートナーシップや、共通の経済的利益、引いては国際的な繁栄について議論を行いました(記事)。

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– 国際機関関連 –

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  • アジア開発銀行は、第58回ADB年次総会をイタリアで開催しました(記事)。
  • アジア開発銀行は、新たな報告書「アジア開発政策報告書2025:より良き社会へのデジタル変革の活用(Harnessing Digital Transformation for Good)」を発表しました。この中で、デジタル化は、アジア・太平洋地域に根強く残る経済的不平等を是正するための強力な手段となり得るが、その潜在力を活用するためには、各国政府が、インフラ、アクセス、スキル面での「デジタル格差」を改善する必要があると指摘しています(記事)。
  • 世界銀行は、報告書「一次産品市場の見通し(Commodity Markets Outlook)」最新版を発表しました。経済成長の鈍化と原油の供給過剰が重なり、世界の一次産品価格は2020年代の最低水準まで下落するとみられ、下落により、貿易障壁の高まりから生じる短期的なインフレリスクを緩和する可能性があるが、同時に途上国の3分の2において経済成長の見通しに悪影響を与えかねないと指摘しています(記事)。
  • 世界銀行はカメルーンの水資源確保支援を目的としたプロジェクトの第一弾を承認しました(記事)。
  • 世界銀行は、ブルキナファソの教育セクターのパフォーマンス向上を目的とした1400万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
  • アフリカ開発銀行は、ウガンダの安全な調理を支援するための879万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
  • 米州開発銀行は、アルゼンチンの財政健全化を支援するための5億ドルプロジェクトを承認しました(記事)。
  • 米州開発銀行は、ハイチの中期復興開発プロセスを支援することを発表しました(記事)。
  • 国連は、ミャンマー地震救援のために2億7500万ドルを必要としているものの必要な資金の12%しか集まっていないと報告しています(記事)。
  • UNAMAは、アフガニスタンに関する最新の人権状況報告書の中で、女性の人権抑圧が一層進んでしまっていると報告しています(記事)。
  • WHOは、紛争が続くコンゴDRC東部で、炭疽病が拡大していると報告しています(記事)。
  • IOMは、ハイチで外国から送還されてくるハイチ人が増加している一方で、国内で非難を余儀なくされている人数も増加していると報告しています(記事)。
  • FAOは、北アフリカ地位で砂漠飛びバッタによる農作物の被害が発生する恐れがあると報告しています(記事)。
  • 国連は、SDGsを達成するためには4兆ドルの資金が不足していると報告しています(記事)。
  • UNFPAは、アメリカの拠出金停止に対して声明を発表しています(記事)。
  • WFPは、西・中央アフリカ地域で5200万人が深刻な食糧不足に陥る恐れがあると報告しています(記事)。
  • UNHCRは、コスタリカにいる20万人程度のニカラグア難民を支援する資金が不足していると報告しています(記事)。
  • UNRWAは、東エルサレムの学校3校にイスラエル軍が侵入した事を非難しています(記事)。
  • OCHAは、ガザ地区の人道状況が壊滅的になっていると声明を発表しました(記事)。
  • 国連は、シリアにおける軍事行動を止めるようイスラエルを非難しています(記事)。
  • UNDPは、人間開発報告書の中でAIと人間開発の関係を分析しています(記事)。
  • WHOは、健康格差に影響を与える社会要因について分析した報告書を出版しました(記事)。
  • 国連は、スーダンで暴力と飢餓が拡大していると報告しています(記事)。

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– シンクタンク・NGO関連 –

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  • NGO・外務省定期協議会2025年度「全体会議」が6月5日に開催されます(記事)。
  • NGO・外務省定期協議会2025年度「第1回ODA政策協議会」が7月23日に開催されます(記事)。
  • 「組織に変化をつくるNGO/NPOマネージャー実践プログラム」が開催されます(記事)。
  • Oxfamは、過去5年間でグローバル企業の経営者の給与は50%も増加したのに、労働者の給与は0.9%しか増加しなかったと報告しています(記事)。
  • 55のNGOは、イスラエルがNGOに登録を求めている件が人道支援に甚大な影響を及ぼすと声明を発表しました(記事)。
  • Save the Childrenは、ロシアのウクライナ侵攻から3年経つが、4月は過去最も子供の被害が大きい月となったと報告しています(記事)。
  • 英ODIは、EUによるODAが欧州経済に与える経済効果についての報告書を発表しました(記事)。
  • 同じくODIは、アフリカのエネルギートランジションに関して中国が果たす役割についての報告書を発表しました(記事)。
  • 英王立国際問題研究所の専門家は、インドとパキスタンの間の緊張緩和のためにはインダス川水利条約が重要であると指摘しています(記事)。

 

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2025年5月13日発行