【dev-info】2024年4月16日号(国際社会が支援を続けるスーダンで内戦が始まって一年 他​)

2024年4月16日発行

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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス

-(dev-info)-

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り

「忘れられた紛争」荘所真理(世界銀行/DevInfo編集幹事/ワシントンDC在)

 

【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

英国は、スーダンの内戦に関与する事業者に対する制裁措置を発表しました(記事

IOMは、ハイチで10万人以上が避難民となる一方で、近隣諸国へ流出した難民が強制帰還させられて状況が悪化していると報告しています(記事

250を超える人道支援機関は、ガザとイスラエルに対する武器の輸出を止めるように訴えかけています(記事) 他

 

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

 

タイトル:忘れられた紛争

執筆:荘所真理(世界銀行/DevInfo編集幹事/ワシントンDC在)

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シエラレオネ事務所での4年半の任務を終え、昨年秋に本部に戻ってきました。今担当している国のひとつは、アフリカの北東部に位置するスーダンです。スーダンは人口4500万人あまりで、国土は日本の約5倍あり、天然資源も豊富です。長年民主化への模索が続いてきましたが、ちょうど1年前の2023年4月15日、国軍と準軍事組織の間で戦闘が始まりました。残念ながら停戦の兆しは見えず、これまで1万人以上が死亡したと伝えられているほか、少なくとも820万人が住む場所を追われ国内外に避難し、人道危機が深刻化しているといわれています。

ウクライナ問題、中東問題、ガザ紛争情報はみなさんも耳にする機会が多いと思います。ではスーダンはどうでしょうか?スーダンがどのような状況なのか、普段日本のメディアが取り上げることはそこまで多くないと思います(恥ずかしながら、担当するまでは私もあまり知りませんでした)。スーダンの紛争はそういった意味で「忘れられた紛争」だと言われています。今回、戦闘開始1年という節目に合わせ、各国のメディアがスーダンを取り上げていますので、ぜひこの機会にスーダンのことを多くの方に知っていただけたらと思います。

現在は、国連を含む国際機関、NGOなどが安全の確保できる国内地域及び避難先の隣国から緊急支援活動(主に人道支援)を行っています。国連機関と世界銀行の共通点は数多くありますが、大きな違いは国連が世界の安全保障に焦点を置いている一方で、世界銀行は開発に焦点を置いている点です。世界銀行の役割は、一般的には開発途上国の政府と話し合い、その国の開発に関わる様々な分野に財政支援と技術支援を行うことですが、政府の正当性が疑わしい場合、または政府が機能していない場合、政府に資金を援助して実施する従来型のプロジェクトは停止せざる負えません。そういった場合、プロジェクトは形を変え、国連機関やNGOとの連携を通してセクターを支援していくことになります。紛争が続くスーダンも今この状況にあります。

紛争国への支援の中では、緊急、人道支援に重きを置かれることが多いですが、同時に、紛争の発端になり得る国家の脆弱性に対応する中・長期的な開発を支援することも重要です。世界銀行の役割は後者です。具体的には、例えば、市民、コミュニティレベル活動を支援し、彼らの能力を高める活動、基礎的なサービス提供能力の向上支援などです。正直なところ、いろいろな制約や課題がありスムーズに進まないことも多く悪戦苦闘していますが、市民、子どもたちの中・長期的な支援、国の基盤づくりにつながるのならと思いながら日々仕事をしています。

 

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【2】 開発フォーラム新着情報チェック

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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください

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– 日本関連 –

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  • 経済協力開発機構(OECD)は、2023年のOECD開発援助委員会(DAC)メンバーのODA実績(暫定値、贈与相当額計上方式)を公表しました。日本のODA実績は、米ドルベースで、196億84万ドル(前年比12.0%増。なお、円ベースでは前年比19.7%増の2兆7,540億円)となりました。日本の実績は、米国、ドイツに次ぐ第3位。また、日本のODAの対国民総所得(GNI)比の値は0.44%(前年は0.39%)と増加し、DACメンバー中、第12位(記事)。
  • 日本政府は、パプアニューギニア西部における洪水・地滑り被害に対し、同国政府からの要請を受け、国際協力機構(JICA)を通じ、緊急援助物資(テント、毛布等)を供与することを決定しました(記事)。
  • 日本政府は、台湾東部で発生した地震により、多くの被害が発生していることを受けて、日本台湾交流協会を通じて100万ドルの支援を実施することを決定しました(記事)。
  • ガーナ共和国との間で、令和3年9月10日に書簡への署名・交換済みの無償資金協力「第二次国道八号線改修計画」(供与限度額68.49億円)について、贈与の限度額を68.80億円に変更することに関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
  • JICAは、南部アフリカパワープールとの間で、技術協力プロジェクト「南部アフリカパワープール促進のための広域連携強化プロジェクト」に関する討議議事録に署名しました(記事)。
  • 財務省は、家事や育児、介護などのケアワークをテーマに、途上国の女性起業家や女性が経営する中小企業を支援するイベントを、世界銀行のWe-fi(Women Entrepreneurs Finance Initiative)およびアジア開発銀行と共催しました(記事)。
  • 外務省国際機関人事センター主催で、オンライン国際機関就職セミナー「国際機関職員になって平和構築に取り組む」が4月23日に開催されます(記事
  • JICAインターンシップのプログラムの応募を受け付けています(記事)。
  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

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– バイ・ドナー関連 –

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  • 英国は、エチオピアの人道危機に対して追加で1億ポンドの支援を行います(記事)。
  • 英国は、スーダンの内戦に関与する事業者に対する制裁措置を発表しました(記事)。
  • AFDは、コソボにおけるスポーツを活用した和解に向けた取組についてHPで紹介しています(記事)。
  • 欧州連合(EU)は、世界循環経済フォーラム2024で、東および南アフリカ地域が循環経済を実現することを支援するプログラムなど、循環経済の実現に向けた新たな取組を発表しました(記事)。
  • EUは、ザンビアの教育・研究セクター向けに1億1000万ユーロの無償支援を行います(記事)。
  • USAID長官は、アフリカ開発銀行(AfDB)アデシナ総裁と会談し、エネルギー協力、女性の金融アクセスの促進、農業と食糧安全保障、貿易投資等について、USAIDとAfDBの強固なパートナーシップについて議論を行いました(記事)。
  • 米国ミレニアム・チャレンジ・コーポレーション(MCC)は、レソトにおける保健・園芸コンパクトの発足を発表しました。3億ドルのレソト保健・園芸コンパクトは、レソト政府からの2,200万ドルの追加拠出によりさらに強化され、質の高い保健医療へのアクセス拡大、公平なビジネス開発機会の創出、高価値作物生産への投資を実現します(記事)。
  • カナダ政府は、スーダンにおける人道状況を深く憂慮し1億3,220万ドルの国際援助資金を発表しました。この中には、スーダンと近隣諸国(中央アフリカ共和国、チャド、エチオピア、南スーダン)における緊急のニーズに対応するための人道支援資金1億70万ドルと開発支援資金3150万ドルが含まれます(記事)。

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– 国際機関関連 –

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  • 経済協力開発機構(OECD)は、国際援助に関する統計を発表しました。援助供与国からウクライナ向けの援助フローと、開発途上国向けの人道支援が増加したことにより、2023年の公的援助機関からの国際援助額は、前年の2,110億米ドルから2,237億米ドルに増加し、過去最高を記録しました。2023年に、OECD開発援助委員会(DAC)加盟国によるODAは実質ベースで1.8%増となり、ODAの新記録である5年連続の増加を達成しました(記事)。
  • OECDは新報告書”The Infrastructure for a Climate-Resilient Future Report(気候変動に強い未来のためのインフラ)”の中で、政府が持続可能なプロジェクトを優先することを含め、インフラの計画と決定に気候変動に対する強靭性を体系的に組み込み、社会的、経済的な脆弱性を軽減し、長期的なコストを回避できるようにすることを推奨しています(記事)。
  • 国際通貨基金(IMF)は、同HP上で、多くの国が生産性と長期的成長の再活発化を期待しながら、特定の部門のイノベーションを推進するための産業政策を強化しているが、産業政策は低成長に対する万能薬ではなく、適切なバランスをとることが極めて重要であると指摘しています(記事)。
  • 世界銀行グループは、業務の進捗状況を合理的かつ明確に把握するため、新しいコーポレート・スコアカードの導入を発表しました(記事)。
  • 世界銀行は、報告書”Africa’s Pulse(アフリカの鼓動)”の最新版を発表しました。その中で、サブサハラ・アフリカ地域では、個人消費の伸びとインフレ率低下に支えられ景気が回復基調にあるが、不確実な世界経済、膨れ上がる債務返済義務、頻発する自然災害、激化する紛争と暴力のため、回復力は依然として弱いと指摘しています(記事)。
  • アジア開発銀行は、”Asian Development Outlook (ADO) April 2024(アジア経済見通し2024年4月版)”を発表しました。その中で、アジア・太平洋地域の開発途上国経済は、堅調な内需、半導体輸出の改善、観光業の回復を背景に底堅い成長を続けており、今年は平均4.9%拡大すると予測しています(記事)。
  • アジア開発銀行は、アセアン諸国の気候変動支援のため「気候財政プラットフォーム」を立ち上げます(記事)。
  • アフリカ開発銀行は、ザンビアに対する国別戦略文書2024-2029を発表しました(記事)。
  • WFPは、旱魃に見舞われているマラウイでの食糧支援のために7千万ドルのアピールを発表しました(記事)。
  • UNRWAは、シリア・レバノン・ヨルダンでのパレスチナ難民支援のために4億1400万ドルのアピールを発表しました(記事)。
  • UNHCRは、紛争が始まって1年が経つスーダンで850万人が避難を余儀なくされたものの、支援に必要な資金の10%も集まっていないと報告しています(記事)。
  • 国連諸機関は、ガザ地区の経済的ダメージや復興に必要な資金の算出を行っています(記事)。
  • IOMは、ハイチで10万人以上が避難民となる一方で、近隣諸国へ流出した難民が強制帰還させられて状況が悪化していると報告しています(記事)。
  • 国連は、巨額の投資と債務免除を含めた金融改革が為されなければSDGsは達成できないと分析した報告書を出版しました(記事)。
  • WHOは、肝炎の発症数・死者数ともに増加傾向にあると分析した報告書を出版しました(記事)。

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– シンクタンク・NGO関連 –

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  • Oxfamは、OECD諸国がGNI比で0.37%のODAしか拠出しておらず、国際目標である0.7%を大きく下回っていると警告しています(記事)。
  • Oxfamは、南部アフリカで気候変動の影響により2400万人が水や食料の支援を必要としていると報告しています(記事)。
  • 250を超える人道支援機関は、ガザとイスラエルに対する武器の輸出を止めるように訴えかけています(記事)。
  • Save the Childrenは、シリアにおいて紛争に起因する衝突の件数が増加していると報告しています(記事)。
  • ODIは、インドにおける気候リスク評価の強化についての報告書を発表しました(記事)。
  • ODIは、コックスバザールにおける教育の政治性についての報告書を発表しました(記事)。
  • 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家は、スーダンの紛争について解説しています(記事)。

 

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2024年4月16日発行