【dev-info】2022年11月29日号(COP27が閉幕 他​)

2022年11月29日発行

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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス

-(dev-info)-

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り

「市場」 真鍋希代嗣(京都大学 特任准教授/東京在住)

 

【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

ユニセフは、1万人以上のコレラの感染者が出ているハイチの支援のために2750万ドルのアピールを発表しました(記事

UNHCRは、サヘル地域の気候変動対策により投資をしないと紛争が続くことになることを分析した報告書を出版しました(記事

Oxfamは、COP27で創設が合意された基金について、ちゃんと資金が投入される事こそが重要だとコメントしています(記事) 他

 

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

 

タイトル:市場

執筆:真鍋希代嗣(京都大学特任准教授/東京在住)

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先月、趣味のキックボクシングで試合に出てアマチュア4勝目を挙げました。私はアマチュアなので数千円の参加費を払って出場していますが、プロの方々はファイトマネーをもらう側であります。いくらぐらいかご存知でしょうか?イベントや試合の注目度によって異なりますが、一試合につき数万円から数十万円が相場です。キックでなく普通のボクシングの場合ですが、日本のプロボクサーの収入(副業などを除く、試合出場への対価)は、日本タイトルレベル、つまり日本で一番の選手でも100〜200万円と言われます。それに対し、日本にはプロ野球選手が800名以上いますが、彼らの年俸は平均4,900万円、中央値で1,600万円です(2022年)。稼ぎを気にしてスポーツを始める人は少ないでしょうし、その必要もないと思いますが、稼ぎが種目によって大きく変わることはたしかです。

経営コンサルタントは戦略を考えるとき、where to playとhow to winを意識します。どこの市場で戦うか、そしてそこでどう勝つか。市場を間違えれば、例えそこで努力を重ねて一位になったとしても報酬(売上や利益)の上限が小さなものになってしまいます。これは企業の戦略論だけでなく、ボクサーと野球選手のように、労働市場における個人についても同じ考え方ができます。

ご縁あって今年度から京大で教えております。よく学生には、日本の労働市場にとどまっていてはこれから厳しくなると伝えています。北米やアジア発の多国籍企業は、各地で従業員を雇うときでも国際的な労働市場で人を探しています。英語ができない人材は面接にすら呼ばれないでしょう。日本語しかできず、日本での労働経験しかなければ、日本の労働市場で戦わざるを得ませんが、日本での給与が低いことはこのエッセイの読者はよくご存知かと思います。

20年前、私が学生のときに訪れた東南アジアの国々では、英語を話せる現地の方は外国人向けのツアーガイドや飲食サービスの仕事をして良いチップを稼いでいました。それを見て、途上国では英語が話せるかどうかで収入に大きく差がでるのだろうなと思いました。それから20年、まさか日本で自分たちがそのようなことを考えなければならない立場になるとは思っていませんでした。20年後の世界でたくさん稼いでいるのはどこのどのような人たちなのでしょうか。私達はどこの立場にいるのでしょうか。

 

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【2】 開発フォーラム新着情報チェック

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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください

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– 日本関連 –

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  • ウズベキスタン共和国との間で、供与限度額を5,590万円とする一般文化無償資金協力「デジタルアーカイブを通じたシルクロード文化遺産保存計画」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
  • 国際移住機関コンゴ民主共和国事務所との間で、供与額5.14億円の無償資金協力「コンゴ民主共和国地域警察活動強化計画(IOM連携)」に関する書簡の交換が行われました(記事)。
  • 国際連合人口基金在バングラデシュ事務所との間で、供与額5.22億円の対バングラデシュ無償資金協力「バシャンチャール島におけるミャンマーからの避難民及びノアカリ県におけるホストコミュニティに対するジェンダーに基づく暴力への対応及び母子保健支援計画(UNFPA連携)」に関する交換公文の署名が行われました(記事)。
  • パラグアイ共和国との間で、2017年9月1日に書簡の署名・交換済みの無償資金協力「パラグアイ川浚渫機材整備計画」(27.00億円)について、価格高騰等の事情から、贈与の限度額を32.03億円に変更することに関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
  • 国際協力機構(JICA)は、スリランカ民主社会主義共和国政府との間で、技術協力プロジェクト「起業とビジネス、リーダーシップ及びネットワークの強化を通じた女性の経済的エンパワメント促進プロジェクト」に関する討議議事録に署名しました(記事)。
  • 国際協力機構(JICA)は、ウガンダ共和国政府との間で、技術協力プロジェクト「ICT 産業振興プロジェクト」に関する討議議事録に署名しました(記事)。
  • 12月20日に外務省国際機関人事センター主催のオンライン国際機関就職セミナー「インターンから環境分野・気候変動の国際機関へ」が開催されます(記事)。
  • JICA海外協力隊秋募集を受け付けています(12月12日まで)(記事)。
  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

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– バイ・ドナー関連 –

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  • 米国は、米国国際開発庁(USAID)を通じて、米国財務省および国務省との連携のもと、ウクライナ政府に対して45億ドルの直接予算による追加支援を実施します(記事)。
  • カナダ政府は、WFPに対して、深刻な食糧不足に直面している国々へのウクライナ産穀物の追加輸送を促進するため、3000万ドルの資金を提供することを明らかにしました(記事)。
  • KOICAは、スタートアップ企業による開発途上国での革新的な解決策を支援するCreative Technology Solutionプログラムによって、2015年から20か国、合計3,410万ドルの資金を投じています(記事)。
  • 英国は、紛争における性暴力の防止についての国際会議を主催しました(記事)。
  • 英国と南アフリカは、医療や気候変動などの分野での協力関係を深めていくことを発表しました(記事)。
  • AFDは、連帯ファイナンス機関(ADIE)を通じて、フランス海外領土向けにマイクロファイナンスを提供しています(記事)。
  • EU・加盟国・欧州の金融機関による「チーム・ヨーロッパ」は、アフリカにおけるワクチン製造能力強化のため、2000万ユーロを投資します(記事)。

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– 国際機関関連 –

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  • OECDは、2022年経済見通し”OECD Economic Outlook 2022”を発表しました。その中で、ロシアのウクライナ侵略戦争に端を発した大規模かつ歴史的なエネルギーショックで、インフレにさらなる圧力がかかり、景況感と家計の購買力が損なわれて、世界中でリスクを増大し、世界経済は来年さらに減速すると予想しています(記事)。
  • 国際通貨基金は、HP上のブログで、来年の世界経済の予想成長率が2.7%に引き下げられており、世界GDPの3分の1以上を占める国々で、今年から来年に経済の縮小が見込まれていると指摘しています(記事)。
  • 世界銀行は、アフガニスタンにおいて家計調査を実施しました。その結果、3分の2の家計が食糧危機、生活物資の不足に悩まされていると指摘しています(記事)。
  • 同じく世界銀行は、ウクライナに対する45億ドルの追加支援を承認しました(記事)。
  • アジア開発銀行は、インドネシアの国営企業改革の支援を目的とした5億ドルの融資を承認しました(記事)。
  • アジア開発銀行は、低炭素で強靭な経済への移行からの恩恵を平等に享受でき、いかなる個人、コミュニティ、地域も取り残されないようにするための同銀行の取り組みの一環として、「公正な移行支援プラットフォーム」を立ち上げました(記事)。
  • アフリカ開発銀行は、リベリアに対する512万ドルの緊急食糧生産プログラムを承認しました(記事)。
  • アフリカ開発銀行、アフリカ連合、国際連合工業開発機関は共同で“The Africa Industrialization Index (AII) report”を出版しました(記事)。
  • 米州開発銀行は、ウルグアイの移民統合を支援するための500万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
  • 米州開発銀行は、アルゼンチンの農産品と水産資源の持続可能性を支援するための1億2500万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
  • ユニセフは、1万人以上のコレラの感染者が出ているハイチの支援のために2750万ドルのアピールを発表しました(記事)。
  • COP27が閉幕し、気候変動の被害を受けた脆弱国に対して補償を行う資金の設立が合意されました(記事)。
  • WHOは、薬剤耐性を持つマラリアへの戦略を発表しました(記事)。
  • WHOとCDCは、新型コロナの影響で発疹に対して脆弱になっている子供の数が4千万人にも上っていると報告しています(記事)。
  • WHOは、約半数の人口が歯科治療を受けられておらず、そのうちの3/4が途上国に集中していると分析した報告書を出版しました(記事)。
  • ユニセフは、万人のための衛生を実現するための戦略を発表しました(記事)。
  • FAOは、南米の中で現在ペルーが最も深刻な食糧危機にさらされていると報告しています(記事)。
  • UNHCRは、サヘル地域の気候変動対策により投資をしないと紛争が続くことになることを分析した報告書を出版しました(記事)。
  • UNFPAは、干ばつに見舞われているアフリカの角地域の女性と少女の支援のために約1億1500万ドルのアピールを発表しました(記事)。
  • WHOは、家族計画に関するガイドラインの改定を行いました(記事)。

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– シンクタンク・NGO関連 –

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  • Oxfamは、EUが打ち出そうとしている移住計画は、難民の負担をEU圏外に押し付けるものだとして非難しています(記事)。
  • Oxfamは、G20会合に対して、世界的な不平等の問題への対処が不十分であると非難しています(記事)。
  • Oxfamは、新型コロナからの復興に向けて多くの国が緊縮財政を採り、女性と少女を傷つけていると分析した報告書を出版しました(記事)。
  • Oxfamは、ファイザーの新型コロナワクチンは、その1/4しか途上国に行っていないと非難しています(記事)。
  • Oxfamは、COP27で創設が合意された基金について、ちゃんと資金が投入される事こそが重要だとコメントしています(記事)。
  • Save the Childrenは、パレスチナの過去15年間で2022年は最も子供の死者が出てしまった年になったと報告しています(記事)。
  • Save the Childrenは、ロシアがウクライナのインフラ施設を攻撃し停電が起こるようになったせいで、半数以上の子供の学習に障害が出ていると報告しています(記事)。
  • 世界経済フォーラムは、COP27「ゼロカーボン・ビルディングと都市」セッションにおいて、都市の脱炭素化のための初のプラットフォーム「Toolbox of Solutions」を発表しました(記事)。
  • アジア財団、APEC、GoogleはAPEC Digital Prosperity Award の受賞者を発表しました(記事)。
  • ブルッキングス研究所は、2022年12月の米国アフリカ首脳会議を前に、アフリカ環境保全と安全保障、新たな機会・課題に関する議論を行います(記事)。
  • Centre for Global Developmentはラテンアメリカおよびカリブ海地域が直面する主要な問題と課題を整理するため専門家を招集し、米州開発銀行(IDB)次期総裁に投じるべき優先事項について議論しました(記事)。
  • 英ODIは、ジェンダーに基づく暴力についての報告書を発表しました(記事)。
  • ODIは、アフリカの7カ国における公的債務の状況についての報告書を発表しました(記事)。
  • 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家が、COP27の成果と今後について概要をまとめています(記事)。

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2022年11月29日発行