【dev-info】 2022年11月15日号(アフリカ開発銀行グループ、日本とのビジネス関係を強化するための協力趣意書に署名 他)

2022年11月15日発行 http://www.devforum.jp/

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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス dev-info

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「知の果実を味わうことの贅沢」 田中幸夫   ( 世界銀行・ワシントンDC在住  )

 

【2】 ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

  • 米国ミレニアム挑戦公社及びUSAIDは、COP27において、10億ドルの追加グリーンファイナンスを促進する共同プログラムを発表しました(記事)。
  • アフリカ開発銀行グループは、公益社団法人経済同友会との間で、日本とアフリカのより緊密な協力関係を促進し、ビジネス関係を強化するための協力趣意書に署名しました(記事)。他

 

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「知の果実を味わうことの贅沢」 田中幸夫   ( 世界銀行・ワシントンDC在住  )

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今からちょうど1年前、本コラム上で藤本千尋さんがお勧めの本を紹介されていました。普段自分が手に取らないタイプの本でしたが、試しに読んでみると自分が普段触れない話題やデータが満載されており、新鮮な刺激を受けました。以降、それまで以上に「次何読もうか」を真剣に考えるようになり、読み始めたのが佐藤仁氏(東京大学東洋文化研究所)の最新著書「開発協力のつくられ方」でした。

 

同氏は私が学生時代に最も影響を受けた教員の一人で、学位論文執筆時も氏の著書をお手本として何度も読み返しました(その後5年ほど同僚として働く幸運にも恵まれました)。その後私はアカデミアから国際協力実務に転身し、学術書に割く時間も減少しました。今の仕事にも広い意味で関連する「~つくられ方」は気になりつつも、Kindleで手に入らないというのを言い訳に後回しにしてしまっていました。しかし藤本さんの一件で勢いを得た私は自分へのクリスマスプレゼントとして4400円する本書を日本から取り寄せました。

 

読み始めると学術書とは思えないほと面白くエキサイティングな内容で、休暇先でも周囲の旅行客がペーパーバックのミステリーを読んでいる中、私は一人鉛筆片手に居ずまいを正しハードカバーの本書を夢中で読んでいました。内容の詳細は書評(オンラインでも閲覧可)に譲りますが、同書は日本の開発協力の沿革を日本側、相手国政府、現場という異なる視点を軸に紐解きながら、開発協力という介入行為が長い時間軸の中で送り手・受け手社会の中にどう取り込まれ変化してきたかを分析しており、以前にもまして鋭い着眼点、そして議論の土台をなす参照文献や事例の豊富さには驚きを超えて感動を覚えました。我々開発実務者は相手国のセクター課題を解決するのに精一杯で、その国のより幅広い文脈、さらには長い時系列がもたらす複雑な反応過程を見落としがちです。本書はそんな開発協力を取り巻く重層的構造を立体視するための補助線を与えてくれます。

 

この仕事をしていると日々様々な文献や報告書に目を通すわけですが、ここだけの話、どこかで聞いたような文言や借り物のデータが並んでいるだけで本質的付加価値は極々限られているというものが少なくありません。それとは対照的に本書は一つ一つの段落、更には脚注にまで著者が調べ抜き考え抜いた痕跡がはっきりと見て取れ、大変読みごたえがあります。それを作り出すのがいかに大変かを知っている今だからこそ、こういった研究者の知的営みの結晶ともいえる書籍に簡単にアクセスできる(しかも母国語で!)のは非常に贅沢なことだとしみじみ感じます。忙しい日々を送っているとどうしても読みやすい一般書や電子媒体を手に取りがちです。しかし、忙しいからこそ、知的密度の濃い学術書に目を向けてみるのも一案かもしれません。

 

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【2】 開発フォーラム新着情報チェック

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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘こちら までご連絡ください。

 

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– 日本関連 –

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  • カンボジア王国との間で、カンボジアに対する計4件(サイバーセキュリティシステム構築のための機材供与(経済社会開発計画【無償資金協力:供与限度額11.50億円】、カンボジア地雷対策センター研修複合施設及び広報施設建設計画【無償資金協力:供与額24.51億円】、プンプレック上水道拡張計画【無償資金協力:供与限度額33.61億円】、感染性廃棄物管理改善計画【無償資金協力:供与限度額4.36億円】)の無償資金協力に関する交換公文の署名が行われました(記事)。

 

  • 日本政府は、ソマリア連邦共和国における深刻な食料危機に対する支援として、1,400万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定しました。緊急無償資金協力により、日本政府は、ウクライナ政府から無償で提供されるウクライナ産の小麦を、国連世界食糧計画(WFP)を通じて、ソマリアへ輸送し、現場への配布を行う支援を実施します(記事)。

 

  • コンゴ民主共和国との間で、総額11億円の無償資金協力2件(食糧援助供与額:5億円、経済社会開発計画供与額:6億円)に関する書簡の交換が行われました(記事)。

 

  • 国際協力機構(JICA)は、開発途上国の社会課題の解決に貢献し得るビジネスを「中小企業・SDGsビジネス支援事業」等を通じて支援しています。2020年には「スタートアップ・エコシステムの形成に向けた支援に関する協定書」を政府系の8機関と締結し、スタートアップ支援機関連携協定を創設しました。今回、新たに独立行政法人工業所有権情報・研修館、株式会社国際協力銀行、株式会社日本貿易保険、株式会社日本政策金融公庫、株式会社日本政策投資銀行、株式会社地域経済活性化支援機構、株式会社産業革新投資機構の7機関が正式に加わりました(記事)。

 

  • 同じくJICAは、セントルシア国政府との間で、「ショゼール漁港改善計画」を対象として12億6,300万円を限度とする無償資金協力の贈与契約を締結しました(記事)。

 

  • 外務省国際機関人事センター主催で11月22日にJPO派遣制度オンライン説明会が開催されます(記事)。

 

  • 外務省国際機関人事センター主催で11月24日にオンライン国際機関就職セミナーが開催されます(記事)。

 

  • JICA海外協力隊秋募集を受け付けています(12月12日まで)(記事)。

 

  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。

 

  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

 

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– バイ・ドナー関連 –

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  • 英国は、欧州エネルギー共同体を通じて、ウクライナのエネルギーインフラ復旧のための支援を行います(記事)。

 

  • 英国は、今後3年でグローバルファンドに10億ポンドを拠出します(記事)。

 

  • AFDは、SDGsへの貢献をまとめた報告書、”Activity and Social Responsibility Report 2022″ を発表しました(記事)。

 

  • GIZは、COP27のホスト国であるエジプトの気候変動への取り組みについてHPで紹介しています(記事)。

 

  • USAIDはCOP27において、①ジェンダーに対応した気候変動対策の推進、②エジプトの女性のための気候変動へのリーダーシップへの投資を発表しました(記事)。

 

  • 米国ミレニアム挑戦公社及びUSAIDは、COP27において、10億ドルの追加グリーンファイナンスを促進する共同プログラムを発表しました(記事)。

 

  • カナダ政府は米国と連携し、武装集団に不正な資金・活動支援を提供するハイチの政治家の悪質な行為に対し、カナダ経済特別措置規則に基づく制裁を発動することを発表しました(記事)。

 

  • 豪州政府は、東南アジアの女性及び長期的な経済的未来を支援するための民間インパクト投資について、数百万ドルの投資を発表しました(記事)。

 

  • KOICA理事長は、UN難民高等弁務官と面会し、パートナーシップ強化について議論しました(記事)。

 

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– 国際機関関連 –

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  • 気候変動に関する国連会議COP27で、国際開発金融機関は、共同宣言を発表しました(記事)。

 

  • 国際通貨基金(IMF)は同HP上で、実質ゼロ排出の軌道に乗るために、COP27で問われる3つの重要優先課題について論じています(記事)。

 

  • アジア開発銀行は、東南アジアにおける気候変動への適応と緩和を促進するプロジェクトを開発するために、ADBの独自財源および緑の気候基金(Green Climate Fund)からの資金による1,500万ドルの技術協力プログラムを承認しました(記事)。

 

  • OECDは、12月8日ハイレベル・ラウンドテーブル「不平等は問題か?:人々は日本における経済格差と社会移動をどう捉えているか」をオンラインで開催します(記事)。

 

  • 世界銀行は、国別気候・開発報告書(CCDR)の調査結果をまとめた報告書「気候と開発:行動計画」を発表し、その中で、GDP比1.4%の年間投資により、途上国の温室効果ガスを2050年までに70%削減し、強靱性を高めることが可能になると指摘しています(記事)。

 

  • 世界銀行は、交通の電化に関する報告書”The Economics of Electric Vehicles for Passenger Transportation”を発表しました(記事)。

 

  • 米州開発銀行は、ハイチの食糧安全支援を目的とした6000万ドルのグラントを承認しました(記事)。

 

  • 米州開発銀行は、各国のデジタル変革を支援するためのガイドラインを発表しました(記事)。

 

  • アフリカ開発銀行グループは、公益社団法人経済同友会との間で、日本とアフリカのより緊密な協力関係を促進し、ビジネス関係を強化するための協力趣意書に署名しました(記事)。

 

  • アフリカ開発銀行は、アフリカ連合、アフリカ50、他のパートナーと共に、アフリカのグリーンインフラのためのアライアンスを立ち上げました(記事)。

 

  • UNDPは、気候変動対策が為されないと自然災害での死亡率が癌のそれを上回る地域が出てくると分析しています(記事)。

 

  • 国連諸機関は、IPC報告書を出版し、気候変動と紛争で南スーダンの2/3の人口が十分な食料を手に出来ない恐れがあると報告しています(記事)。

 

  • WMOは、欧州の気温上昇はどの大陸よりも高くなる恐れがあると分析した報告書を出版しました(記事)。

 

  • UNEPは、気候変動対策で生じている資金ギャップについて分析した報告書を出版しました(記事)。

 

  • WHOは、レバノンでコレラが拡大していると警告しています(記事)。

 

  • WHOは、洪水に襲われたパキスタンで衛生状況が悪化していると警告しています(記事)。

 

  • UNEPとFAOは、食料の冷蔵物流網の整備が気が防止のために重要だと分析した報告書を出版しました(記事)。

 

  • COP27で小規模農家が気候変動資金を殆ど受け取れていないことが議論されています(記事)。

 

  • WHOは、ワクチン市場を分析した報告書を出版しワクチンへのアクセス格差を明らかにしました(記事)。

 

  • UNEPは、建築セクターが環境に与える影響を分析した報告書を出版し、2050年の目標から外れてしまっている現状を明らかにしました(記事)。

 

  • 国連は、スリランカ支援のためのアピールを改定し、340万人を支援するために7900万ドルを追加しました(記事)。

 

  • 国連諸機関は、アフリカの角地域の食糧支援のための資金が計画の50%しか集まっておらず危機的な状況にあると報告しています(記事)。

 

  • 国連は、31億ドルの気候変動の早期警戒システムの整備計画を発表しました(記事)。

 

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– シンクタンク・NGO関連 –

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  • 国際協力キャリアフェア2022で、NGOの仕事個別相談会を実施されます(記事)。

 

  • Save the Childrenは、COP27開催に際して声明を発表しています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、干ばつと紛争によりソマリアからケニアへの難民流入が過去10年間で最大になっていると報告しています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、シリア北東部で子供の栄養不良率が150%も増加していると報告しています(記事)。

 

  • Oxfamは、EUの財務会合に際して税制改革が不十分だと非難する声明を発表しています(記事)。

 

  • ODIは、モザンビークにおける紛争や気候、国内避難民のリスクについての報告書を発表しました(記事)。

 

  • 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)は、気候変動交渉における損失と損害(ロス&ダメージ)についての報告書を発表しました(記事)。

 

  • IIEDは、COP27特設ページで関連イベント情報や記事を紹介しています(記事)。

 

  • 世界経済フォーラム(WEF)はCOP27で持続可能な海洋炭素市場のためのガイドを発表しました(記事)。

 

  • ブルックリン研究所は、アフリカのインフォーマルな都市が気候変動の影響を乗り越えるためのグリーン・インフラ及びその向こうに関する記事を公表しました(記事)。

 

  • Center for Global Developmentはブログポスト「アフリカ諸国はラボに投資すべきか?複雑なメリットとコストを理解する」を公表しました(記事)。

 

  • JETROアジア経済研究所は12月8日、連続オンラインセミナー「途上国の環境問題を多様な分野から理解する」第3回「環境と国際制度」を開催します(記事)。

 

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2022年11月15日発行