2010年3月1日
第103回 援助の広報:国民の支持を得ていくために
援助の財源は税金や寄付等であることから、人々が援助に関心を抱いて支持をしていかないと援助は続いていきません。このため援助機関は、国民や支持者に対して、援助活動の成果を説明していくと同時に、開発教育や広報イベントなどで関心を持つように働きかけたり、伝えるメッセージや情報の内容を改善して支持を増やす努力をしたりしています。OECDでは、援助の量や質だけではなく、この「援助の広報」についても議論していますので、今回はこれをご紹介したいと思います。
前回ご紹介したDAC(開発援助委員会)の援助審査では、各国の「援助の広報」についても調査しています。例えば、2008−2009年の援助審査の結果としては、開発教育と比べると援助のコミュニケーションが戦略的に行われていない、そのためにはマーケット調査手法が役に立つ、政府援助機関はNGOと協調することで国民の関心を高めることができる、などが挙げられています(注1)。
また、DAC加盟国、非DAC加盟国、及び援助機関等が集まって「援助の広報」を議論しています。これは「DAC開発コミュニケーション非公式会合(通称:DEVCOM)」と呼ばれており(注2)、「援助の広報」を議論するだけではなく、開発を効果的に進めるためのコミュニケーション全般について議論をしています。最近では、2009年11月にアイルランドにて大きな会合が開催され、援助に対する世論、開発コミュニケーションに関する新しい技術・メディア、コミュニケーション戦略、開発成果に関するコミュニケーションなどが議論されました(注3)。
同会合の発表の中には、イギリス国際開発省(DFID)による、不況時における広報、という発表もありました。日本では経済協力のあり方に関する世論調査を良く見ますが(注4)、イギリスでも同様に、しかしより詳細な調査を行っているようであり、発表の中では調査結果とともにDFIDのコミュニケーション戦略が説明されています(注5)。例えば、熱心な活動家に対しては「あなたは大きな活動を担っており、成功を収めてきている。私たち共通の将来のために一緒に世界を変えていきましょう。」と働きかけ、一方で若者に対しては「何か大きな活動の一部になれ、世界を変えろ」とメッセージを修正するとのこと。また、全体的なメッセージとしては、認知度や理解度を高めるためにも「UKaid」という用語を用いて、「援助活動は成果をもたらしており、これはUKaid を通したイギリス国民のおかげです」となるそうです。さらに、いくつかの事実や話を用いて「2010年は納税者のおかげで300万人が貧困から抜け出せる」ということも伝えていくそうです。
多くの方々に開発や援助を支持してもらうためには、援助そのものを改善していくだけではなく、このように援助広報・コミュニケーションも改善していくことは重要だと思いますし、そのためには関係者が取り組みを紹介し合い議論を行うことも役に立つのではと思います。
(パリDAC通信担当:上野 修平)
注1:http://www.oecd.org/dataoecd/21/50/44033113.pdf
注2:http://www.oecd.org/department/0,3355,en_2649_33993_1_1_1_1_1,00.html
注3:http://www.oecd.org/document/58/0,3343,en_2649_33993_43983034_1_1_1_1,00.html
注4:http://www8.cao.go.jp/survey/h21/h21-gaiko/images/z26.gif
注5:http://www.oecd.org/dataoecd/48/14/44151596.pdf
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