第13回ワークショップ(2012/08/07) 「ストリートチルドレンと社会開発 ―ダッカ大学大学院生の視点から」


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「ストリートチルドレンと社会開発 ―ダッカ大学大学院生の視点から」
プレゼンター
大島かおり
(世界銀行社会開発局コンサルタント)
2011年6月にバングラディシュ、首都ダッカで実施された「ストリートチルドレン」実態調査についての報告と考察
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【背景・調査の動機】
昨今、バングラディシュは経済の急成長を遂げているが、依然問題の多い地域。例えば
1. インフラが未整備
2. 急増する人口と人口密度
3. 貧困層の拡大とスラム
が挙げられる。当然、ストリートチルドレン問題も顕在化している。
過去に行われたバングラディシュのImpact EvaluationのJobのカテゴリに「Beggar(物乞い)」が入っていた。
Unemploymentの定義は「職を探しているが見つからない」こと。つまり積極的に物乞いをして生計を立てている以上、物乞いが職業といえなくもない。
とはいえ、物乞いを職業といってしまうバングラディシュのスラム街で、実際ストリートチルドレンが何をしているのか、調査したくなった。
【調査】
実態を把握するために現地の大学院生を雇い調査を実施、ストリートチルドレン201人のQualitative Dataを収集した。
【結果】
6分の1のストリートチルドレンは「独り身」。
「独り身ストリートチルドレン」は食事回数も十分でなく、頼れる人もいない。
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しかしながら、読み書き・計算のスキルは、家族連れストリートチルドレンと大差がない。
一つの理由として考えられるのは、独り身ストリートチルドレンはかつてDVなどから逃げた結果、ダッカへとやってきたケースが多く、かつては教育を受けていた子どもも多いため。
対して「家族連れストリートチルドレン」は生まれたときからスラム育ちで貧困がinternalizeされており、スラムの外の環境を知らない。
そのため、貧困から脱け出そうというインセンティブはスラム外の環境を知っている分、「独り身ストリートチルドレン」の方が「家族連れストリートチルドレン」より強いこともありえる。
この調査のもう一つの目的は、調査に協力してもらうことで、同じ町で生きるダッカの大学院生たちにストリートチルドレンたちの状況や社会問題について考えてもらうことだった。調査の結果はもちろんのこと協力してくれた大学院生にも、よい影響を与えられたと感じた。それは今まで不鮮明で無視されがちだったストリートチルドレンという存在を、はっきりと認識する機会となったからだ。少人数ではあっても、バングラディシュで将来エリート階級になる可能性のある学生たちにストリートチルドレンについてInspireできたのは、この調査で得た大きな手ごたえのひとつであった。
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[質疑応答]
Q1、独り身ストリートチルドレン同士でコミュニティ形成がされているのか?
A1、この調査ではストリートチルドレン同士のコミュニティまでは統計的調査はできなかったが、感覚として形成はされているようだった
Q2、識字、計算教育について、ストリートチルドレンに対しNGOなどの活動はあるのか?
A2、Save the Children等々のNGOがコミットしている。政府も世銀からのサポートを受けつつ、学校教育からあぶれている子ども向けのプロジェクトを行っている。
Q3、家族と住んでいるのに頼れる人間がいないとはどういうことなのか?
A3、マスタン(SCの元締め)が一緒に住んでいるというケースもあり、その場合
物乞いで得たお金をとられるなど、誰かと住んでいてもその人々に頼れるかは別問題のことがある。
Q4、稼ぎはどのくらい?内容は?
A4、データからは、そこそこ稼いでいるように見られる(要確認)。親といる子は特に、物乞いというより物を売っている場合が多い。その他、駅でポーターをして稼ぎそこで寝泊りしている子どもなど。
Q5、この調査を通して今後何をしたいと考えたか?
A5、このテーマを掘り下げる必要を感じた。いまの部署でコミュニティ開発をしているので、スラムUpgradingなどのボトムアップ調査をしたい
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ワークショップ終了後にDC内のレストランで懇親会を行いました。
なお、今回のワークショップの参加人数は約20名、配信U-streamの閲覧者は約10名でした。