第251回BBL開催報告:4月27日(水)「2016年IMF世界銀行春季総会の評価と今後の課題」


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2016年4月27日、DC開発フォーラムでは藤井大輔氏(世界銀行日本理事代理)、渡邉和紀(国際通貨基金(IMF)日本理事室審議役)をお迎えして「2016年IMF世界銀行春季総会の評価と今後の課題」のテーマにBBLを開催しました。お二人には4月15-17日に行われた春季総会における議論、日本や世界が抱える今後の課題・展望等についてお話し頂きました。主な内容は以下の通りです。

IMF・渡邉氏より第33回国際通貨金融員会(IMFC)での議論の内容、主に世界経済見通し、政策対応、IMFの機能、そしてIMFの資金とガバナンスに関して、IMFCのコミュニケ(英語)を下に、お話し頂きました。要約は以下の通りです。

  • 世界経済見通しに関して。緩やかな拡大を続ける一方で、成長は長い間低調であり、見通しは昨年10月以降若干弱まった。コモディティー価格の低下は輸出国に負の影響を与える一方、輸入国への短期的な成長へのプラスの効果は想定を下回っていると評価された。
  • 政策対応に関して。需給ギャップがマイナスで、インフレ率が目標を下回る先進国は、引き続き緩和金融政策を行うべきであるが、財政政策と構造改革含めマクロ経済政策ツールをバランス良く使うことが重要とされた。また、しっかり機能する国際金融システム(IMS)の確保等に向け世界的な協調の必要性について議論された。
  • IMFの機能に関して。SDRの一般配分の適切性等について議論することとされた。また、民間を含めたSDRのより広い活用(例えば、SDR建での債券発行等)について今後更に研究されるべきであるとの議論がなされた。IMFの貸出手段の再検討の必要性もトピックとして挙がった。加盟国が市場の変動や不確実性に対処する上でIMFが適切な支援を行えるような方策を探求すべきとの議論があった。低所得国支援については、貧困削減・成長トラスト(PRGT)の改革(貸出金額の上限引き上げ等)が去年行われたが、低所得国からは一般資金勘定(GRA)とPRGTとのブレンドに関する現在の慣行の見直しについて期待する意見が出され、今後議論行われる予定。また、低所得国向け債務持続性枠組み(LIC-DSF)の見直しを年末までに行う予定。見直しの方向性は確定していないが、ミドルリスク国の取り扱いが論点の一つとなる見込み。さらに、難民・移民、所得不平等、ジェンダー不平等、金融包摂、腐敗、気候変動及び技術変化等を含む、加盟国が直面する諸課題について、他の機関の専門性を利用することも含め、IMFのマンデートの範囲内かつマクロ経済上重要である限り、IMFによる取組みを進めていくことが歓迎された。
  • IMFの資金とガバナンスに関して。大きな進展は1月末に第14次増資と第7次協定改正が発効したこと。第15次クォータの見直しは2017年の年次総会までに完了させることになっている。最後に、今回のコミュニケには、理事会のジェンダーの多様性を促進することの重要性が再確認された旨初めて記載された。

世銀・藤井氏より第93回世銀・IMF合同開発委員会での議論に関してお話し頂きました。(英語版コミュニケはこちら。)

  • Financing for Development、SDG、COP21等の2015年の成果を受けて、2016年は重要な年。世銀グループも、IDA18増資をはじめとして、2030年に向けてこれらの諸課題にどのように取り組んでいくのか、その役割を見直す好機。開発委員会では世銀グループの役割について前向きな議論がなされ、最終報告は今年10月の年次総会までにまとめられる予定。
  • 難民支援に関しては、ヨルダン、レバノン等の難民受入れ国支援のためのMENA資金イニシアティブに対して、日本や他のドナーが資金貢献を表明。G7議長である日本は、このイニシアティブに対して積極的に貢献。この他、国際的な危機対応のプラットフォームについて、米等の提案を踏まえ、今後議論していくことになっている。
  • コモディティー危機に伴い、資源国等からの財政支援ニーズが増えているが、IMF等とともにこれらにどう対応していくかも課題の一つ(例えばナイジェリア)。
  • エボラ危機に端を発したパンデミック緊急ファシリティ(PEF)の創設に向けて、準備が進展。日本もこの仕組みを支援。
  • 環境社会配慮枠組みの現代化を今年8月までに固める予定。交渉のカギは米国と中国。
  • 動的計算式に関して今年の年次総会で合意できるように、昨年リマ総会で合意された株式保有の見直しとロードマップを念頭に今後更に作業が必要。

また、質疑応答では参加者からチェンマイイニシアティブ、世銀機関による資金市場の活用等に関する質問があり活発な議論がなされました。