第​246回BBL​議事録:4月28日(火)「2015年IMFC/世銀・IMF合同開発委員会の評価と今後の課題」


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

4月28日(火)に開催されました、DC開発フォーラム第246回BBL「2015年IMFC/世銀・IMF合同開発委員会の評価と今後の課題」の議事録をお送りいたします。

ワシントンDC開発フォーラム第246回BBL記録

2015年4月28日(火)12:30-13:45

テーマ:「2015年IMFC/世銀・IMF合同開発委員会の評価と今後の課題」

4月18日、国際通貨金融委員会(IMFC)/IMF・世銀合同開発委員会がワシントンDCにて開催されました。当BBLではIMFC、合同開発委員会の各コミュニケと日本のステートメントのポイント、特に2015年中に開催される開発資金会議(7月於アジスアベバ)、SDGs(9月於NYC)、COP21(12月於パリ)へのIMF、世銀の関与について説明があり、その後質疑応答が行われました。
スピーカー:

渡邉和紀氏(IMF日本理事室審議役)
藤井大輔氏(世界銀行日本理事代理)

 

*各委員会のコミュニケ、日本国ステートメントについては、下記URLをご参照下さい。

第91回合同開発委員会コミュニケ(ポイント)

http://www.mof.go.jp/international_policy/imf/dc/20150418c.htm

第91回合同開発委員会日本国ステートメント

http://www.mof.go.jp/international_policy/imf/dc/20150418st.htm

第31回国際通貨金融委員会(IMFC)コミュニケ(ポイント)

http://www.mof.go.jp/international_policy/imf/imfc/imfc_270418c.htm

第31回IMFC日本国ステートメント

http://www.mof.go.jp/international_policy/imf/imfc/imfc_270418st.htm

 

 

【第31回国際通貨金融委員会(IMFC)コミュニケのポイント】

・世界経済の見通しにおいて、主要国経済について個々の記述はないが、先進国に関する記述のうち「強固な回復」は米、英を、「見通しの改善」は日、ユーロ圏をそれぞれ想定。石油価格の低下は、世界経済全体をネットで見ればプラスの効果があると評価。なお、AIIBについては議論されていない。

・財政政策のあり方については、短期的な需要喚起策として積極的に活用すべきという立場と、財政健全化を着実に進めることが重要とする立場とがあった。金融政策については、米国の金融政策のノーマライゼーションによるスピルオーバー等の影響、マクロプルーデンス政策の重要性について指摘。

・「持続可能な将来に向けた新たな多国間主義」のパラグラフでは、本年は、7月の国連開発資金会議(於アディスアベバ)、9月のSDG(持続可能な開発目標)採択のためのサミット(於ニューヨーク)、及び12 月のCOP21(於パリ)が開催予定であるなど、開発の議論にとって重要な年であることから、IMFとしても積極的に貢献することを要請。特に開発資金関係では、IMFの低所得国支援ツールである貧困削減・成長トラスト(PRGT)の見直し等が今後理事会で議論される予定。

・昨年のエボラ熱の被害に対応するために、今年2月に、大規模自然災害のみを対象としていたファシリティを改組し、エボラ熱のような被害にも適用可能な「大災害抑制・救済基金(CCR)」を設立した。

・IMFのクォータ・ガバナンス改革については、引き続き米国議会が改革案を承認しない状態が続いている。本年2月に、IMF総務会より理事会に対して、総務会が6月末までに合意できるような暫定措置(interim steps)を検討するよう指示があった。暫定措置として検討されているのは、主に①協定改正と14次増資とを切り離す案(デリンク案)と、②特別増資、の二案。なお、いずれの案も米国の拒否権維持や新興国へのシェア移転の度合い等が関係することから、今回のIMFCでは、結局、理事会に対し暫定的な解決策(interim solution)の検討を指示するに留まり、具体案への合意には達しなかった。

 

【Q&A】

Q. SDRバスケットの見直し要請、及びAIIBの設立といった中国をはじめとする新興国の動きについて、IMF内にはどのような見方があるのか。ブレトンウッズ体制が変化していることを実感しているか。

  1. 新興国にとって、2010年改革が未だに発効しないなど、経済規模を反映した発言力の確保が実現していないことへの強い不満がある。AIIBの設立はこうした不満の発露の一つと言う意見もあると思う。SDRのバスケットを見直し、人民元を追加することについては、中国が、来年のG20の議長国ということもあるのか、強く要請していると承知。他方、SDRの構成通貨は、現在の基準では、自由に利用可能な(freely usable)通貨である必要があり、人民元がこうした要件を満たしているのかという検証が先ず必要。他方で、本件を、中国が資本市場の自由化等を進めるインセンティブとすることが考えられる。

個人的な印象として、新興国の発言力が増していることは確かではないか。10数年前は、G7間で合意したことがほぼそのままIMFで採択されることが多かったと思う。

世銀でも先進国と新興国のシェアを50:50にしようとする議論があるが、例えば中国が世銀からの借入国でありながらドナーでもあるように、新興国の定義が曖昧になっており、また先進国が従来の役割を果たせなくなっている。AIIBが世銀に取って代わることはないと思うが、世銀もIFCやMIGA、民間との連携が不可欠。

 

【第89回世銀・IMF合同開発委員会コミュニケのポイント】

・ここ数年、開発委員会では総務ではなく代理の出席が多く見られ、委員会への求心力や政治的モメンタムの向上が課題とされていたが、今回はFinancing for Development、SDGなど2015年の国際的な開発課題の観点から国連事務総長が出席、総務も多く出席した。また、今回の開発委では、世銀・IMFに加えて他のMDBsと協働して討議資料を作成し、各機関のヘッドが開発委で発言する等、他のMDBsの関与が例年に比べ強まった。

・パラグラフ5ではODAを触媒として民間資金等を動員し、また途上国における国内資金の動員、及び海外からどのように資金を呼び込むかといった途上国側の資金動員についても言及された。

・SDGは理事会でも議論されているが、SDGが掲げるテーマが17と多く、実施局面において世銀自身の二大目標とどのようにリンクさせるかが今後の課題。

・COP21の議題の1つとなる1,000億ドルの気候変動対策資金の調達について、開催国の仏やG7議長国の独が中心となって検討されている。

・エボラ対策については、今後のパンデミック一般に備えるファシリティの設立をキム総裁が提唱しており、G7議長国である独も熱心に取り組んでいる。ただ民間資金の動員方法や保険の仕組み作りには時間がかかる。

・春会合中の一連のイベントにおいて開発資金が取り上げられた際、AIIBのような新しい開発機関とどのように協力していくかも話題の一つとなっていた。

・世銀でも保有株式の見直しの議論を5年に1度行うことになっており、本年がその見直しの議論の年となっている。本年秋の総会(於リマ)までに見直しの議論を完了させることになっている。これまでの理事会の議論によれば、本年の開発アジェンダ等の行方を踏まえてから資金ニーズを検討したいという見方が大勢を占めている印象。

 

【Q&A】

Q. 世銀における紛争国への対策は。

A. 紛争国を担当する部署(Fragility, Conflict, and Violence)が設立され、世銀内で横断的に紛争国支援を行おうとしている。IDAにおいても、またIFCやMIGAにおいてもFCS支援は重点化されている。今後、IDA対象国の約半分が紛争国で構成されることも予想されることから、紛争国への支援は世銀の二大目標達成のためのコアの一つと考えられている。ただし、アラブの春後の紛争国支援でMENA局が試行錯誤しているように、紛争状況という政治状況がが落ち着かないと経済再建支援を始められないという現実的課題は存在。

 

Q. 最近は途上国向けの投資ファンドも見られるが、投資先として開発の特定の分野に対する投資家の興味はあるか。

A. 投資のニーズはあると思う。ただし、投資家の想定する投資期間が短期間であるのに対し、世銀の融資期間は10年から20年、IFCであっても約7年と、想定期間のミスマッチにどう折り合いをつけるのかが課題の一つ。またインフラ案件においてPPPが注目されているが、bankableな案件の組成に公的セクターが役割を果たさないと、民間投資家の参加は難しい。ただし、年金基金のようにより長期で投資をしたいというニーズもあり、また世銀として足元の開発資金を増やすためにも、そうしたニーズに対応する必要はある。

 

Q. 経費削減の観点から、年2回の開発委を年1回に削減するという議論はないのか。

A. 春、秋の会合は、IMFCや開発委員会のためではなく、むしろ参加者は、この期間をビジネスチャンスあるいは各国要人との面会の場としてとらえており、年2回開催する意義はあるのではないか。また、ワシントンDC以外での総会開催(3年に1度)に経費削減の点から懸念を示す声もあるが、これを積極的に評価する声もあるところ。

 

 

以上