第243回BBL議事録 「2014年第69回IMF・世界銀行年次総会の評価と今後の課題」


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2014年10月24日(金)12:30-14:00

第243回BBL「2014年第69回IMF・世界銀行年次総会の評価と今後の課題」議事録

スピーカー:

渡邉和紀氏(IMF日本理事室審議役)

藤井大輔氏(世界銀行日本理事代理)

*各委員会のコミュニケ、日本国ステートメントについては、下記URLをご参照下さい。

第90回合同開発委員会コミュニケ(ポイント)

http://www.mof.go.jp/international_policy/imf/dc/20141011c.htm

第90回合同開発委員会日本国ステートメント

http://www.mof.go.jp/international_policy/imf/dc/20141011st.htm

第30回国際通貨金融委員会(IMFC)コミュニケ(ポイント)

http://www.mof.go.jp/international_policy/imf/imfc/imfc_261011c.htm

第30回IMFC日本国ステートメント

http://www.mof.go.jp/international_policy/imf/imfc/imfc_261011st.htm

 

【第30回国際通貨金融委員会(IMFC)コミュニケのポイント】

・世界経済:米、英の回復が進んでいるものの、全体的に慎重な見方。

・インフラ投資:低所得国と新興国でのインフラ整備が今後の経済成長にとって重要であり、景気が減速している先進国でも、既存のインフラの更新等の投資が必要。

・財政政策:成長と雇用創出のため財政政策をフレキシブルに実施する一方で、中期的な財政再建プランを策定、実行すべきである。

・金融政策:米国のノーマライゼーションは、不測の事態を避けるよう良くコミュニケーションを取って行われるべきである一方、影響を受ける新興国には、影響を緩和する政策的バッファが求められている。

・サーベイランス改革:金融とマクロ経済の関係性を重視したサーベイランスを求める理事会決定を踏まえている。

・エボラ熱対策:影響を受けている3か国には9月末にプログラムの実施を決定。

・その他コミュニケでは、PRGT(貧困削減、貧困トラスト)に係る利子免除の継続、ソブリン債のバリパス条項の修正、債務上限ポリシー見直し、2010年改革について言及。

 

【第90回世銀・IMF合同開発委員会コミュニケのポイント及び議論】

・今年の年次総会及び開発委員会は、本年7月から始まった新しい組織体制のお披露目と、二大目標(絶対的貧困削減、繁栄の共有)のうち繁栄の共有をどのように実現していくかという点が主要議題。ただし、8月以降急速に拡大しているエボラ熱への対応にも焦点が当たった。

・エボラ熱について:世銀グループにとって、 新しい組織体制の下でどのように機能的に対応できるかの試金石となっている。世銀にしてはかなり早い対応。現在、①短期支援(400Mを承認済、医療従事者への支援)、②マルチドナー信託基金の設立(中期的な復興支援が目的)、③pandemicのような事態に平時から備える枠組みの策定、の3本の柱について議論されている。

・繁栄の共有の促進:開発委員会会合において主に途上国から聞かれたのは、まずは成長の実現と雇用の創出が重要であるという点。

・インフラ投資:官民共同のプラットフォームであるGIF(Global Infrastructure Facility)を立ち上げ。日本政府やJBICも参加を表明。その他豪、地域金融機関、民間投資ファンドも参加。

・その他気候変動対策、開発委会合の翌日に行われたIDAワーキンググループについて紹介。

 

【Q&A】

Q. IMFにおける2010年クォータ・ガバナンス改革が発効していない現状に対して日本の対応如何。

A. IMFがその正統性を維持し、また加盟国に対する政策助言がtractionを持つためには、改革の早期発効が不可欠であり、日本は、IMFCや総務演説、理事会でも繰り返しこの旨を強調しているところ。

Q. エボラ熱に対する早い対応はどのように達成できたのか。マルチドナー信託基金の設立について、日本はどのような点を検討して資金を拠出するのか。

A.総裁の強いリーダーシップの下で世銀グループの新組織が機動的に動いたこと、国連機関等との協調や理事会の強力な支持といった点が貢献。マルチドナー信託基金について、日本にとって国際機関を通じた支援は重要であり、補正予算をにらみながら可能性のあるオプションとして考えている。

Q. リーマンショック等の世界的な金融危機への対応策如何。

A.IMFは、危機の防止と解決において中心的・主導的な役割を果たすことが期待されている。この観点から、資金基盤の充実、融資制度の改革等に取り組んできたところ。他方で、一部の加盟国には、過去の危機における経験から、所謂「スティグマ」(IMFへの拒否反応)の問題がある。加盟国が仮に危機に陥った場合、危機対応にIMFが意味ある関与をする上で、このスティグマを如何に解消するのかは引き続き残された課題。

Q.  BRICsやAIIB 、GIFが設立されようとする中、インフラのニーズのある国はそれぞれにどのような期待をしているか。また中国のGIFに対する対応は。

A. 中国を含む途上国は、インフラのための資金調達の選択肢が増えることを歓迎している。GIFは多くの関係者が関与できるプラットフォームという役割を期待されており、理事会や開発委においては、中国を初め先進国、途上国共に支持している。

Q. 世銀の調達制度改革、セーフガードポリシーの改訂について、総会中や理事会での動きは。

A. 総会中も関連イベントが開催されたが、現在パブリックコンサルテーション、IFCの制度との統一作業等を進めているところ。現代化するという方向性については先進国と途上国の間でも一致している。

Q. IMFは従来から金融を専門とした組織と考えていたが、金融とマクロ経済の関連をより重視するという今回のサーベイランスのレビューの結果について、具体的に何か大きく変わるのか。

A. IMFはマクロ経済分析には長い歴史があるが、金融市場、金融セクターの分析については、相対的に歴史が浅い。金融市場・セクターの動向が実体経済に大きな影響を与える事例が増加してきたことが背景にあるが、今回、改めてマクロの実体経済と金融市場・セクターとの関係を重視した分析の重要性について再認識したということ。

Q.脆弱国支援について総会中の言及は。

A.開発委のコミュニケでも触れられているが、資源を集中的にそれらの国に投下すべきという点は、開発委でもいくつかの国が発言。

以上