【dev-info】2022年7月12日号(気候変動を観測するためのSystematic Observations Financing Facilityが始動 他​)

2022年7月12日発行

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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス

-(dev-info)-

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り

「私も『青天を衝け』」 浅海誠(WHO勤務)

 

【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

日本政府は、ウクライナ情勢の影響を受けて悪化した、グローバルな食料安全保障への対応として、合計約2億ドルの支援を実施することを決定しました(記事

アフガニスタン東部における地震被害に対して国際協力機構(JICA)が供与した緊急援助物資が被災者へ届けられました(記事

気候変動を観測するためのSystematic Observations Financing Facilityという仕組みが新たに成立しました(記事) 他

 

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

 

タイトル:私も『青天を衝け』

執筆:浅海誠 (WHO勤務)

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昨年は、久しぶりにまとまった期間日本に滞在したこともあり、渋沢栄一の生涯を描いたNHK 大河ドラマ『青天を衝け』の後半を、ほぼ欠かさず観ることができました。時代も舞台も異なるとはいえ、私も日本の近代化を担った人々の偉業に少しでも見習いたい、という気持ちでドラマを観ていました。

鎖国をしていた江戸時代の多くの人々にとって、日本国内は世界の全てのようなもので、国といえばむしろ「藩」のことであったかもしれません。黒船の来航によって開国を迫られ、薩摩藩だ、長州藩だ、といって争っていては日本が丸ごと外国にやられてしまう、という危機的な状況もあり、「日本人」として一致団結していこうとする、大きな発想の転換が起こったのであろう状況には、どこか現代の「世界」と共通点があるようにも思えます。各国が発展を競う中で地球環境のような人類共通の利益がないがしろにされてきて、国や地域を超えて一致して問題を解決していかなければ、人類の存続すら危うくなりかねないという一面があるからです。

私自身、国際的な人道支援の対象となる数十か国のデータと情報を分析する仕事をしていますが、自分が訪れたことがなく、友人が住んでいるのでもない国のニュースやデータを画面越しに知るだけでは、あまりにも遠くで起こっている出来事のように感じてしまうことがあるのも事実です。そんな時「日本の近代化を担った人達は、藩閥といった利害関係を超えて、日本のどんな地域も取り残さない志で取り組んだからこそ、難局を乗り越えられたのではないか」ということを思い出します。当時の人々が乗り越えようとした「藩」の壁を乗り越えるように、現代の「国」の壁を(心理的にだけでも)越えることで、紛争や飢饉のニュースは「遠い国での出来事」ではなく「自分たちが生きるこの場所で起きていること」という意識になり、やるべきことが明確になってきたりするのです。

もちろん、「日本」の近代と「世界」の今を比べることには、多くの場面で無理がありますし、日本の近代化の実態もそんなに単純で美しいことばかりではなかったはずです。とはいえ、いまだ直面したことのない課題や難題を前にする時、過去や歴史の中にヒントを探すことで、漠然としていた目標にピントが合って見えるようになることがあるのは確かです。こうした気概を持って世界を歩いてみると、文化の違いや人々の生活の多様さに改めて圧倒されるばかりですが、先人たちのような高い志で、また現代の私達が直面する課題に照準を合わせながら、(ずっとスケールは小さいですが)自分自身の大河ドラマを歩いていきたいと思います。

 

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【2】 開発フォーラム新着情報チェック

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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください

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– 日本関連 –

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  • 日本政府は、ウクライナ情勢の影響を受けて悪化した、グローバルな食料安全保障への対応として、合計約2億ドルの支援を実施することを決定しました(記事)。
  • モロッコ王国との間で、220億円を限度とする円借款「基礎教育の学習環境改善のための開発政策借款」に関する書簡の交換が行われました(記事)。
  • カーボベルデ共和国との間で、供与額2億円の無償資金協力「食糧援助」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
  • ガンビア共和国との間で、供与額2.5億円の無償資金協力「食糧援助」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
  • 国際協力機構(JICA)は、ヨルダン・ハシェミット王国政府との間で、技術協力プロジェクト「AIエコシステム促進プロジェクト」に関する討議議事録に署名しました(記事)。
  • アフガニスタン東部における地震被害に対して国際協力機構(JICA)が供与した緊急援助物資が被災者へ届けられました(記事)。
  • 7月27日に外務省国際機関人事センター主催のオンライン国際機関就職セミナー「クロスカッティングの分野で国際機関へ」が開催されます(記事)。
  • 8月17日に外務省国際機関人事センター主催のオンライン国際機関就職セミナー「JPOから国連正規職員(WFP編)へ!」が開催されます(記事)。
  • 8月26日にJICPAオンラインセミナー「国際機関で働くグローバルな公認会計士という未来」が開催されます(記事)。
  • JICAでは、中学生・高校生を対象に、開発途上国の現状や、途上国と日本のつながりについて理解を深め、国際社会の中で日本、そして自分たち一人ひとりがどのように行動するべきかを考えるエッセイを募集しています(締め切り9月11日)。募集テーマ:「世界とつながる私たち 未来のための小さな一歩」(記事)。
  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

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– バイ・ドナー関連 –

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  • USAID長官は、中東北アフリカ(MENA)地域9カ国と会合を行い、世界で最も水が不足している同地域における食糧不安といった共通課題に対応するため地域協力について議論を行いました(記事)。
  • 米国ミレニアム挑戦公社は理事会において、コソボ共和国政府に対し、持続可能で包括的な経済成長を促進する5年間の助成事業として、2億200万ドルを承認しました(記事)。
  • カナダ政府は、ベナンの若者に対する職業訓練の改善とサービス向上のために、同国の国際教育に7年間で1,695万ドルの資金提供を発表しました(記事)。
  • 豪州政府はキリバスの干ばつに関連する災害状態において、飲料水の供給を維持するために、キリバスに対し200万ドル追加支援を公表しました(記事)。

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– 国際機関関連 –

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  • 国際通貨基金(IMF)は、「紛争、新型コロナウイルス、気候変動という3つの危機が合わさり、飢餓という別の危機が起きる」と題したブログをHP上で公開しています(記事)。
  • 国際通貨基金(IMF)は、インフレ高進の理由とその持続性について論じたブログをHP上で公開しています(記事)。
  • 国際連合食糧農業機関(FAO)と経済協力開発機構(OECD)は、新報告書「OECD-FAOの農業見通し2022-2031(OECD-FAO Agricultural Outlook 2022-2031)」を発表しました(記事)。
  • 世界銀行は、新報告書「グローバル・フィンデックス・データベース2021」を発表し、その中でコロナ危機が、金融包摂を飛躍的に進展させ、世界的に正規の金融サービスが拡大する中、電子決済が大幅に増えていると指摘しています(記事)。
  • 世界銀行理事会は特に低・中所得国を支援対象に、パンデミックに対する予防、備え及び対応(PPR)機能を国、地域、グローバルの各レベルで強化するために必要不可欠な投資に資金を提供する金融仲介基金(FIF)の設置を承認しました(記事)。
  • アジア開発銀行と英国政府はアセアン諸国のグリーンファイナンスを支援するための1億7百万ドルの基金設立の覚書に調印しました(記事)。
  • アフリカ開発銀行は、ガーナのヘルスシステムの雇用促進支援とスキル向上のためのインフラ支援を目的とした2700万ドルの贈与プロジェクトを承認しました(記事)。
  • 米州開発銀行は、コロンビアの持続可能な成長を支援するための3億ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
  • 米州開発銀行は、アルゼンチンの脆弱コミュニティの生活環境向上支援を目的とした1億5000万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
  • UNFPAは、リプロダクティブヘルスに関する報告書を出版し、途上国の1/3近い女性が10代で出産を経験していると報告しています(記事)。
  • 国連諸機関は、栄養に関する報告書を出版し、飢餓・食糧安全保障・栄養などのSDGsの進捗が後退していると報告しています(記事)。
  • WFPは、政治的混乱が続くスリランカで、インフレにより600万人以上が食糧支援を必要としていると報告しています(記事)。
  • 国連は、SDGsの進捗報告書を出版し、紛争・新型コロナ・気候変動によりSDGs達成が難しくなっていると報告しています(記事)。
  • ILOは、農村部の労働者が社会保障の網から漏れている事を分析した報告書を出版しました(記事)。
  • WFPは、中央アフリカの220万人を支援するために6840万ドルを必要としています(記事)。
  • 国連諸機関は、新型コロナの流行に際して世界的なリスクについて分析した報告書を出版しました(記事)。
  • UN-Habitatは、新型コロナの影響は一時的で世界の都市化は加速していくと分析した報告書を出版しました(記事)。
  • 交通安全に関するハイレベル会合が開催されました(記事)。
  • 気候変動を観測するためのSystematic Observations Financing Facilityという仕組みが新たに成立しました(記事)。
  • 国連海洋会議が開催され、海洋保護に関する宣言が採択されました(記事)。
  • OHCHRは、10年以上続くシリアでの紛争で30万人以上が犠牲となったと報告しています(記事)。

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– シンクタンク・NGO関連 –

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  • 7月21日にThink Lobby設立記念イベントが開催されます(記事)。
  • Oxfamは、G7会合に際して食糧問題に対する取り組みが不十分だとコメントしています(記事)。
  • 子供の人道支援に関わる6団体は、子供に対する暴力を防ぐ取り組みの費用対効果を分析した報告書を出版しました(記事)。
  • Save the Childrenは、旱魃と難民の流入によりニジェールで食糧不足が深刻化していると報告しています(記事)。
  • Save the Childrenは、新型コロナが子供達を児童労働へと追いやった事を分析した報告書を出版しました(記事)。
  • Save the Childrenは、ソマリアで子供の栄養不良がこの1月から300%増加していると報告しています(記事)。
  • 世界経済フォーラムは、「A Blueprint for Equity and Inclusion in AI」を発表しました。この報告書は、AI開発内の各段階におけるベストプラクティスを提案するだけでなく、各段階を繋いでより広いエコシステムに利益をもたらす全体的なアプローチを提供します(記事)。
  • アジア財団は、2021年年次報告書を公表しました(記事)。
  • RIETIは、6月10日に開催された産業政策国際カンファレンス- 産業政策の新時代- のアーカイブ動画を公開しました(記事)。
  • JETROアジア経済研究所は、2022年度夏期公開講座の案内を公表しました。地域、経済、政治などの注目されるテーマについて、全8コースの講義が行われます(記事)。

 

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2022年7月12日発行