第40回ワークショップ開催報告:3月14日(月)「教育開 発におけるコミュニティの役割 -JICA『みんなの学校プロジェクト』フィールド実験の エビデンスから」

ワシントンDC開発フォーラムでは3月14日(月)に東京大学・澤田康幸氏、広島大学・小塚英治氏を迎え、第40回ワークショップ「教育開発におけるコミュニティの役割 -JICA『みんなの学校プロジェクト』フィールド実験のエビデンスから」をワシントンDCにて開催しました。

主な発表内容は以下の通りです。

・JICAでは4つの教育プロジェクトにてインパクト評価を実施している。

・School-Based Management(SBM)とは中央政府から学校へ権限委譲することで自立性・持続性を高め、効率よい教育を提供するというアプローチ。ただSBMの効果についてはまだ明確に確定しておらず、研究の余地がある。

・ブルキナファソのSBMプログラムは教育の向上とともにSocial Capitalを蓄積するという目的で行った。学校運営委員を選挙によって選び、JICAが政府とともにトレーニングを委員に提供し、活動計画を策定し実施するというもの。例えば学校給食プログラム、女子トイレ設置、マラリア対策などが活動に含まれる。

・1年目と2年目にSBMプログラムを始める学校をランダムに選びグループ分けし、その中でサンプル学校において公共財実験、インタビュー調査、学力試験を行った。

・Social Capitalの指標として、ゲーム理論(囚人のジレンマ)を用いた実験を用いて測定された公共財への自発的供給のレベルを用いた。実験は1年目と2年目に2回行う。

・結果として1年間SBMプログラムを実施した学校はプログラムがない学校よりもSocial Capitalが高まった。立場別では校長・先生と親(父母)グループの協力関係が選挙とプログラムにより強まった。さらに選挙直後は父親グループが、1年間のプログラム実施後は母親グループの協力体制が強くなった。

・実験上だけではなく実際のプロジェクトへの貢献も増える事例が見られた。さらに落第率、生徒数、先生の出席率もプログラムにより向上することが分かった。さらにプログラムが始まったコミュニティーでは貧困層がよりROSCA(頼母子講(たのもしこう))に入る傾向が見られた。

(この研究の詳細はこちらのペーパをご覧ください)

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・ニジェールにおいても同様のSBMプログラムが行われた。ブルキナファソとは異なり各校に資金協力も行っている。Training for Learningというトレーニングを学校や委員会に対して行った。

・インパクト評価の結果、数学やフランス語について成績が向上するという効果が見られた。プログラムにより教材購入や補習授業、夜間授業などが多く行われるようになり、生徒の補習授業や夜間授業の参加率も増加する傾向があった。さらに子供の勉強授業も増加している。子供の自信についても高まっている。

・結論として資金協力のみでは効果に限界がありトレーニングによって生徒の成績向上が見られた。

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