第12回(2012/5/22)インド:エリートエンジニアのスキルと雇用問題-初の企業調査を元に

ワシントンDC開発フォーラムでは5月22日(火)に、第12回ワークショップを世界銀行の会議室で開催し、約25名が参加しました。今回は、世界銀行南アジア地域総局人間開発部教育セクターでOperations Officerとしてご活躍されている佐伯洋さんをスピーカーとして迎えました。
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現在インドの目覚ましい経済成長の推進役となっているIT分野を支えるエンジニア達であるが、約75%のエンジニアは技術不足であると言われている。そこで、企業側が求めているスキルはどのようなものか?さらに、スキルギャップはどの程度存在しているのか?、を明らかにするために企業調査を行った。
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スキルをソフトスキルとテクニカルスキルに分類した場合、雇用側はソフトスキルの方をより重視している事が分かった。また、ソフトスキルの重要度は一様であるのに対し、テクニカルスキルの重要度はセクター・企業規模・立地地域によって異なっている事も明らかとなった。
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ソフトスキルを向上させるためのカリキュラム作り・教授法の改善、さらに一様ではないテクニカルスキルの需要に応えるためには、現在のAffiliation Systemによるトップダウン形式ではなく、個々の大学が自治権(特にAcademic Autonomy)を持った高等教育システムの確立が重要となる。
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2000年から2010年にかけての世界の工科大学の業績の伸びを比較してみると、ペーパーの本数・引用数共に、中国とインドが大きな伸びを見せている。しかし、特許数を比較してみると、まだインドの工科大学が申請した数は少なく、今後の課題として挙げられる。日本の工科大学に目を向けると、確かに業績は伸びているものの、他国の伸びが大きい分相対的に地位が下落してしまっている。
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質疑応答では、労働力の需要側・供給側双方への介入、ソフトスキルとテクニカルスキルの間の因果関係、大学入試との関連性、世界銀行で行われる低額予算でのスピーディーな調査の在り方、について議論が交わされました。ワークショップ終了後には会場で懇親会を開催しました。懇親会には約20名が参加し、活発な意見交換や議論が交わされました。また、今回のワークショップはUstream配信を行い、約30名の方に視聴して頂きました。