第3回(2011/02/02):新しい金融/ペイメントサービスの可能性とリスク

ワシントンDC開発フォーラムでは、第三回ワークショップを世界銀行の会議室で2月2日(水)に行いました。
大雪のため日程が1週間ずれ込んだにも関わらず、約30名の方にご参加いただきました。

今回は、世界銀行で過去6年間金融セクター開発に携わっておられる遠藤伊作さんをスピーカーとしてお迎えしました。
テーマは、「新しい金融/ペイメントサービスの可能性とリスク」。昨今、発展途上国で携帯電話などを使った新たな金融サービスが注目が集めていますが、それに伴い新しく引き起こされるリスクへどのような対応が必要となるのでしょうか。既存の金融セクターの規制でいいのかという政策立案に関する議論や、「汚いお金」を「洗浄」しにくくするにはどのようにすべきか、また法令遵守へのコストとその効果はどう測るのかという政策実現段階での議論まで幅広いお話がありました。

Access to Finance、Financial InclusionというテーマはG20でも優先課題として取り上げられ、貧困削減への役割が期待されています。マイクロファイナンス機関と商業銀行の違いや、インフォーマルな経済からフォーマルな経済に移行するに当たって金融サービスが果たす役割などについて、多くの質問が挙げられました。

遠藤さんが専門として関わって来られたAML(Anti-Money Laundering) についても、具体的なエピソードを交えて面白い話をしていただきました。なぜAMLが開発に関係があるのかというと、麻薬などの犯罪で生まれる資金が簡単に国内外経済に流れるようになってしまうと、そういった非合法活動に経済依存が起こってしまい、健全な産業が育たなくなってしまう、また腐敗・汚職等の温床になり得るからです。

携帯電話等を使った新しいサービスは貧困層への利便性を高めますが、金融サービスとしての規制をAMLも含めどのレベルに設定するかなどの難しさがあります。規制をきつくしすぎると、それらの新しいサービスの恩恵を十分に享受できず、また緩すぎたり規制がなかったりすると、さまざまなリスクに対応出来なくなってしまいます。特に途上国ではその規制を順守するための人手やスキルが足りない点が問題点として上がりました。

近くの中華料理店での懇親会にも多くの方にご参加いただき、ネットワーキングが盛り上がりました。
次回以降へのご意見、ご要望は下記リンクのアンケートよりどうぞ。https://spreadsheets.google.com/viewform?formkey=dHVzbGYwX0JETk5rVk8xNURVX3BkWFE6MQ

*発表内容 は個々の発表者の見解であり、当フォーラム、及び、企画担当者(並びにその所属機関)、発表者の所属機関の見解とは関係ありません。