【dev-info】2024年3月5日号(日本、国連等を通じて新たに3,200万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定 他​)

2024年3月5日発行 http://www.devforum.jp/

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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス dev-info

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「アフリカ大陸インフラ開発状況について」( 砂原遵平 /  アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD))

 

【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

  • パレスチナ・ガザ地区での戦闘が長引く中で、現地の人道状況が看過し得ない状況にあることを踏まえ、日本政府は、国連等を通じて新たに3,200万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定しました(記事)。
  • 豪州政府は、6G無線通信システムの研究開発に関する共有原則について、自由で開かれた、グローバル、相互運用可能、信頼性、回復力、および安全な接続性をサポートできることを認識するための共同宣言を発出しました(記事)。
  • 国連は、ウクライナの被害状況をまとめた報告書を出版しました(記事)。他

【3】GRIPS開発フォーラム

  • ハノイセミナー・ベトナムの30年を振り返る

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「アフリカ大陸インフラ開発状況について」

( 砂原遵平 /  アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD))

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昨年9月、アフリカ大陸のインフラ開発状況について報告書を纏め、AUインフラ大臣級専門技術委員会(STC、於:ザンジバル)で公表を行いました。 私が所属するアフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)は、AUの開発機関として、AUのインフラ枠組みである「アフリカ・インフラ開発プログラム(PIDA)」の傘の元、大陸全体におけるインフラ開発の実施促進を牽引しています。

 

データ収集や報告書を纏め上げるプロセス、そしてAUC他関係団体の承認を得るプロセスは極めて骨の折れる作業でした。藁にも縋る思いで公表に漕ぎつけたこの報告書について、この場を借りて、その一部の調査結果をご紹介いたします。

 

まずAUの目標に対する実際のインフラ開発の進捗状況です。例えば主要な幹線道路は2012年-2022年までの間に16,066キロが開発されました。アフリカ大陸の南北は約8,000キロ、東西で約7,400キロと言われており、過去10年間で主要都市を繋ぐ幹線道路は一定程度の開発が進んでいます。また、ICT分野では、通信容量が目標の6テラバイトを上回り、ほぼ全ての国でインターネットへのアクセスが確保されています。

 

一方で、鉄道は過去10年で4,077キロの整備が進んだものの、AUの目標である約30,000キロに対して14%の達成状況です。水力発電(7GW、目標の13%達成)、送電線(3,506キロメートル、目標の21%達成)など、政治的なコミットや、国境を越えた規制の調和、気候変動にどのように対処し推進するかが、これらの分野の課題となっています。

 

出典:PIDA First 10 Year Implementation Reportを元に作成

 

そしてこれらのインフラ開発を進める投資についても注目です。調査の結果、アフリカ諸国による資金拠出が344億ドルで全体の内42%とトップ、続いてG7及び一部のG20並びに世銀等の開発銀行から構成されるアフリカ・インフラ・コンソーシアム(ICA)による拠出が197億ドル(全体の24%)、続いて中国一か国がほぼ同水準で194億ドル(全体の24%)という構図です。

 

このインフラ投資の結果から、AUが進めるアフリカ・インフラ開発プログラム(PIDA)は、「アフリカによるアフリカのためのインフラ開発」を物語る縮図あることがこのインフラ投資から明らかになりました。TICADの柱であるオーナーシップの哲学とも非常にアラインしています。

 

一方、民間企業による投資は23億ドルで全体の内僅か3%に過ぎないという点も明らかになりました。公的資金に加え、いかに民間企業のコミットを3%から引き上げるかが今後の課題です。

 

出典:PIDA First 10 Year Implementation Report を元に作成

 

報告書の詳細は以下のリンクからダウンロードできますので、もしご関心があればご覧いただければ幸いです。

 

・PIDA First 10-Year Implementation Report(リンク

・2nd PIDA Priority Action Plan Projects Prospectus(リンク)※現在AUが優先事業として採択しているインフラ事業69件の概要を1枚紙でまとめた報告書

 

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【2】 開発フォーラム新着情報チェック

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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘こちら までご連絡ください。

 

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– 日本関連 –

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  • 外務省において「開発のための新しい資金動員に関する有識者会議」第1回会合が開催されました(記事)。

 

  • パレスチナ・ガザ地区での戦闘が長引く中で、現地の人道状況が看過し得ない状況にあることを踏まえ、日本政府は、国連等を通じて新たに3,200万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定しました(記事)。

 

  • 国際連合日本政府代表部大使兼次席常駐代表と国際連合開発計画総裁補兼アラブ局長との間で、8億8,300万円を供与額とするシリアに対する無償資金協力「長期化した危機及び地震の影響を受けた農業及び生計の改善計画(UNDP連携)」に関する交換公文の署名が行われました(記事)。

 

  • 国際連合食糧農業機関(FAO)西アフリカ地域支所コーディネーター兼セネガル事務所代表との間で、供与額2.75億円の無償資金協力「セネガルカザマンス地方における女性の水産加工業従事者及びそのコミュニティの生活の質及び生計向上計画(FAO連携)」に関する書簡の交換が行われました(記事)。

 

  • 国際連合日本政府代表部特命全権大使兼次席常駐代表と国際連合児童基金(ユニセフ)事務局次長との間で、供与額18.2446億円の無償資金協力「人道上の危機の影響を受けた中東・北アフリカ地域における緊急対応計画(UNICEF連携)」に関する書簡の交換が行われました(記事)。

 

  • インド共和国テランガナ州において、円借款「インド工科大学ハイデラバード校整備事業(フェーズ1)、(フェーズ2)」によって整備されたインド工科大学ハイデラバード校の完工式典が開催されました(記事)。

 

  • JICAでは、新卒採用(2025年4月入構)の応募を受付ています(記事)。

 

  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。

 

  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

 

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– バイ・ドナー関連 –

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  • USAID長官は、パレスチナへの人道支援として5,300万ドルを追加提供することを発表しました。これにより、10月7日以降、米国政府が発表した資金援助総額は1億8000万ドル以上となりました(記事)。

 

  • 米国ミレニアム挑戦公社(MCC)CEOは、カーボベルデ大統領らと会談し、地域コンパクトを推進するための方策について議論しました。また、プライア港とポンタ・プレタ廃水処理プラント、ハイテクパーク等、MCC資金による現場を視察しました(記事)。

 

  • カナダ政府は2月19日から22日にかけてエジプトとヨルダンを訪問し、同地域におけるカナダの人道支援と開発支援に焦点を当てるとともに、ガザの現状について直接話を聞く機会を得ました。カナダ政府は、4,000万ドルの追加人道支援資金を含め、脆弱な市民に対するカナダの支援を再確認し、これにより、カナダのコミットメント総額は1億ドルに達し、カナダは2023年10月7日以来、同地域に対する第3位の援助国となりました(記事)。

 

  • 豪州政府は、6G無線通信システムの研究開発に関する共有原則について、自由で開かれた、グローバル、相互運用可能、信頼性、回復力、および安全な接続性をサポートできることを認識するための共同宣言を発出しました(記事)。

 

  • 韓国KDIスクールは、G20グローバルリーダーシッププログラムの募集を実施しています(記事)。

 

  • 英国は、ガザにおける人道危機の状況および英政府の対応についてまとめたポリシーペーパーを発表しました(記事)。

    ● 英国は、ウクライナに対して新たに850万ポンドの人道支援を行うことを発表しました(記事)。

    ● AFDは、AIが選挙や政治に与える影響についての議論をHPで紹介しています(記事)。

    ● 欧州連合(EU)は、第20回目となる海外領土および領域(Overseas Countries and Territories)とのフォーラムで、デジタル化や水と衛生、海洋生態系の保護などの分野で5820万ユーロの協力を行います(記事)。

    ● EUとコートジボワールは、合法木材のEU向け持続可能な取引を促進する法的拘束力のある貿易協定に調印しました(記事)。

 

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– 国際機関関連 –

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  • OECD及びアジア開発銀行研究所は、財務省・金融庁の協力のもと、3月14・15日の2日間、「アジアにおける資本市場・金融改革に係るOECD・ADBIラウンドテーブル」(東京ラウンドテーブル)を開催します(記事)。

 

  • OECD理事会は、インドネシアとの加盟に向けた協議を開始することを決定しました(記事)。

 

  • 世界銀行は、ウクライナ公共サービス維持を支援するための7億6000万ドルの融資を発表しました(記事)。

 

  • 世界銀行はキルギス共和国の気候変動対策の支援を目的とした4500万ドルの財政パッケージを承認しました(記事)。

 

  • アジア開発銀行は、「アジア経済統合報告書2024年版」(AEIR 2024)を発表しました。その中で、EU炭素税は、世界的協力なしには排出削減効果は限定的であるため、カーボンプライシング・イニシアチブをEU以外の地域、特にアジアに拡大する必要があると指摘しています(記事)。

 

  • アフリカ開発銀行は、コンゴ民主共和国の中小企業、ローカルビジネス促進を支援するための700万ドルの融資を承認しました(記事)。

 

  • アフリカ開発銀行は、アフリカ開発基金からエチオピアのボラナ地域のコミュニティの水、公衆衛生アクセス向上のための4600万ドルの融資を承認しました(記事)。

 

  • 米州開発銀行は、ブラジル財務省、環境省、中央銀行と協力してグリーンイニシアティブを促進することで合意しました。(記事)。

 

  • UNHCRは、北部モザンビークで紛争が激化し7万人以上が避難を余儀なくされていると報告しています(記事)。

 

  • 国連は、ハイチの支援のために6億7400万ドルのアピールを発表しました(記事)。

 

  • 安全保障理事会では、このままではガザで飢饉が発生すると議論されています(記事)。

 

  • 中央緊急対応基金は、スーダン・コンゴ民主共和国・シリア・チャド・ニジェール・レバノン・ホンジュラスに対して合計1億ドルの拠出をしました(記事)。

 

  • 国連は、ウクライナの被害状況をまとめた報告書を出版しました(記事)。

 

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– シンクタンク・NGO関連 –

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  • ブルッキングス研究所は、サブサハラアフリカにおける財政の課題に関するブログ記事を公表しました(記事

 

  • 世界経済フォーラムは、グリーンファイナンス:アフリカの潜在力を引き出し、気候変動と闘う鍵と題した記事を公表しました(記事)。

 

  • 世界PPPユニット&プロフェッショナル協会(WAPPP)は小規模PPPに関するパネルディスカッションを行いました(記事)。

 

  • アジア太平洋経済協力会議(APEC)は、アジア財団の「Go Digital ASEAN」イニシアチブをケーススタディとして取り上げ、「APEC域内における熟練専門職の国境を越えた育成を強化する」という報告書を発表しました。この報告書は、アジア太平洋地域における熟練専門職の必要性を強調し、この必要性に対応する現在進行中のスキル開発イニシアチブを紹介しています(記事)。

 

  • 英ODIは、援助の現地化の現状と課題についての報告書を発表しました(記事)。

 

  • 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家は、5月に実施される南アフリカの選挙についてコメントしています(記事)。

 

  • NGOスタディ・プロ グラム報告会が3月18日に開催されます(記事)。

 

  • 『権利ベースで私たちの活動を見直すと〜セーファーでリスペクトフルな市民活動を目指して〜』が3月9日に開催されます(記事)。

 

  • 『C7イタリア情報交換会~G7広島サミットから続く市民社会の道のり』が3月15日に開催されます(記事)。

 

  • 7つのNGOは、安保理はガザで停戦が成るように動くべきだという共同声明を発表しました(記事)。

 

  • 17のNGOは、EUとその加盟国はUNRWAへの資金拠出を維持すべきだという共同声明を発表しました(記事)。

 

  • Save the Childrenは、インドネシア・ジャバ中部での洪水により1万人以上が家を追われたと報告しています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、南部アフリカでサイクロンの季節が到来して洪水の頻発によりコレラの発生件数が4倍に増えていると報告しています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、ボリビアで洪水と地滑りにより4万人以上の子供の生活に影響が出ていると報告しています(記事)。

 

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【3】GRIPS開発フォーラム

  • ハノイセミナー・ベトナムの30年を振り返る

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2月22日、GDFはハノイの国民経済大学NEUと共催で、ベトナムの対外開放と経済成長の30年を振り返り、残された課題を議論しました。ゴ・タン・ロイ教授(NEU)、トラン・ヴァン・トゥ名誉教授(早稲田)、大野健一(GRIPS)が発表し、長年の経済論客たちがフロアからコメントしました。過去の経済成果はよかったものの、中所得のわなを突破し、技術力や競争力を高めるためには、ベトナムは多くの政策課題を突破せねばなりません。セミナーはオンライン配信もされ、現地TVや多くのメディアがセミナーを報道しました。 別途大野はハノイ経営技術大学HUBTでも、中所得のわなに関する招待講義をしました。

GRIPS開発フォーラム・What’s New
https://gdforum.sakura.ne.jp/ja/index.htm

GRIPS開発フォーラム・岩田
https://gdforum.sakura.ne.jp/ja/index.htm

 

 

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ワシントンDC開発フォーラム「情報サービス(dev-info)」と

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2024年3月5日発行