【dev-info】 2022年8月23日号(世界銀行グループ、PEACEプロジェクトの下で、45億ドルの追加資金を調達 他)

2022年8月23日発行 http://www.devforum.jp/

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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス dev-info

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「スリムなTICADとアフリカのオーナーシップ」 砂原遵平

 

【2】 ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

  •  モルドバ共和国との間で、無償資金協力「医療体制強化計画」(供与限度額10億円)に関する書簡の交換が行われました(記事)。
  • 世界銀行グループは、ウクライナ行政機能のための公共支出支援(PEACE) プロジェクトの下で、45億ドルの追加資金を調達したと発表しました(記事)。  他

 

【3】GRIPS開発フォーラム

  •      GDF企画ウェビナー(7/13開催)の動画と資料を掲載

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「スリムなTICADとアフリカのオーナーシップ」 砂原遵平

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今年で8回目を向かえるTICAD。2016年、ケニアで開催されたTICAD-Ⅵに次ぎ、TICAD-8は2回目のアフリカ開催として、8月27-28日にチュニジア共和国で開催されます。今回のTICAD-8はコロナの影響を考慮し、対面とオンラインを交えたハイブリット開催となりました。界隈では「スリムなTICAD」と呼ばれるTICAD-8ですが、まずはTICADの歴史を少し振り返ってみたいと思います。

 

TICADは1993年、冷戦の終結に伴い、国際社会のアフリカ離れを呼び戻すきっかけとしてパイオニア的に東京で開催して以降、アフリカ諸国の自助努力(オーナーシップ)と開発パートナーとのパートナーシップを理念とし、経済・社会・平和と安定をテーマとした様々な優先的政策を国際社会に打ち出してきました。

 

先日、所属先の同僚から「何か一つTICADの具体的成果を上げるとすると?」と唐突に質問を受けました。大局的にはアフリカへの質の高いインフラ整備や、民間投資、保健システムへのコミットなど分野別に色々と思いつきます。しかし、彼にとってより身近な答えとして、その時私は「我々が勤めているこの組織です」と回答しました。

 

私が所属するアフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)は、TICADの基本理念を反映し、アフリカのオーナーシップの発露として2001年に誕生した、いわばTICAD哲学の申し子のような組織です(当時の名称はNEPAD)。その後、2003年のTICADⅢで日本政府によるNEPAD支援が打ち出されて以降、NEPAD事務局はTICADの発展と共に組織的成熟を遂げてきました。現在ではアフリカ連合(AU)に加入し(AUDA-NEPADに名称変更)、アフリカ唯一の開発機関として、アフリカ自らが開発を進めていくための柱を担う重要な組織に発展しています(参考)。

 

2019年のTICADⅦ以降、コロナ禍やウクライナ危機により、アフリカ諸国の経済や食料安全保障は深刻な影響を受けています。また、これらの多層的な課題によって、アフリカ諸国による一か国単独での強靭性維持はおおよそ不可能な事が明確になりました。冷戦終結以降、1993年から一貫してオーナーシップとパートナーシップにTICADの理念を定め続けた真の意義が、今まさに試されています。スリムなTICAD-8、しかしだからこそアフリカ諸国・機関のオーナーシップによる優先政策の訴えに注目です。

 

参考:AUDA-NEPADはJICAと共に6サイドイベントを共催します。詳細はこちらより(サイドイベント情報)。

 

 

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【2】 開発フォーラム新着情報チェック

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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘こちら までご連絡ください。

 

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– 日本関連 –

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  • WFPシエラレオネ事務所との間で、供与額2.0億円の無償資金協力「シエラレオネに対する食糧援助」に関する書簡の交換が行われました(記事)。

 

  • スリランカ民主社会主義共和国との間で、供与額5億円の、保健医療サービスの質及び医療アクセスの改善のための無償資金協力(「経済社会開発計画」)に関する書簡の交換が行われました(記事)。

 

  • モルドバ共和国との間で、無償資金協力「医療体制強化計画」(供与限度額10億円)に関する書簡の交換が行われました(記事)。

 

  • 外務省は、8か国(ガイアナ、グレナダ、ジャマイカ、スリナム、セントビンセント及びグレナディーン諸島、セントルシア、ドミニカ国、ベリーズ)の国別開発協力方針(案)に関する意見を募集しています(記事)。

 

  • 国連開発計画(UNDP)アジア太平洋局長との間で、13.98億円を供与額とする無償資金協力「南西アジアにおける感染性廃棄物管理改善計画(UNDP連携)」に関する交換公文の署名が行われました(記事)。

 

  • 国際協力機構(JICA)は、米国Lendable社が運営するデットファンドであるLendable MSME Fintech Credit Fundに対する1,000万米ドルの出資契約を締結しました。JICAの出資金は、ファンドを通じて、アフリカ、アジアの開発途上地域において金融アクセス改善に取り組む、創業初期のフィンテック・スタートアップ企業への融資に充当されます(記事)。

 

  • JICAでは、中学生・高校生を対象に、開発途上国の現状や、途上国と日本のつながりについて理解を深め、国際社会の中で日本、そして自分たち一人ひとりがどのように行動するべきかを考えるエッセイを募集しています(締め切り9月11日)。募集テーマ:「世界とつながる私たち 未来のための小さな一歩」(記事)。

 

  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。

 

  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

 

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– バイ・ドナー関連 –

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  • USAIDはラオス全国商工会議所(LNCCI)との間で米国ラオスビジネスラウンドテーブルを開催しました。米国主要企業及び、20社以上のラオス企業が潜在的ビジネスチャンスについて議論しました(記事)。

 

  • カナダ政府は、エジプト訪問を終え、気候金融イニシアチブに1,000万ドルを拠出する意向を表明しました(記事)。

 

  • KOICA理事長は、太平洋諸島フォーラムに参加し、同地域との社会・経済協力について述べました(記事)。

 

  • 英国は、世界人道デーにあたり、ウクライナや東アフリカ、シリアの支援に3600万ポンドの支援を行うことを発表しました(記事)。

    ●AFDは、ベナンにおける中等教育改革プロジェクトについて、HPで紹介しています(記事)。

    ●同じくAFDは、地中海南岸諸国におけるCSOを支援するSALAMプロジェクトの新フェーズを開始します(記事)。

 

  • 欧州連合(EU)は、世界の先住民の国際デーに際し、先住民の権利保護のために追加で700万ユーロを投じることを発表しました(記事)。

 

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– 国際機関関連 –

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  • 国際通貨基金(IMF)は、同HP上で、「公的部門は気候変動に対する民間の融資を促す主要な役割を果たさなければならない」と題したブログを公開しています(記事)。

 

  • 世界銀行グループは、ウクライナ行政機能のための公共支出支援(PEACE)プロジェクトの下で、45億ドルの追加資金を調達したと発表しました(記事)。

 

  • 世界銀行は、ボリビアの食糧安全保障と市場アクセス支援を目的とした3億ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。

 

  • アジア開発銀行は、世界的な大手保険会社5社との間で、アジアの金融機関に対する融資をサポートする協調融資枠に最大10億ドルを動員するための枠組み合意に調印しました(記事)。

 

  • アフリカ開発銀行は、ウガンダでプロジェクトのデータ収集向上のため遠隔トモニタリング評価ツールを立ち上げました(記事)。

 

  • アフリカ開発銀行は、アルゼンチンの中小企業の生産性向上を支援しています(記事)。

 

  • 中央緊急対応基金は、ギャングによって引き起こされているハイチの治安悪化に対応するために500万ドルを拠出しました(記事)。

 

  • WFPは、ケニア・エチオピア・ソマリアから成るアフリカの角地域の干ばつに対応するために支援を拡大させています(記事)。

 

  • 中央緊急対応基金は、1千万ドルのローンを拠出し、FAOがその資金でエチオピアの紛争地での肥料導入を支援しています(記事)。

 

  • UNFPAは、スリランカの女性医療支援のために1070万ドルのアピールを発表しました(記事)。

 

  • UNCTADは、途上国での仮想通貨の広まりに対して3つの報告書を発表して警告しています(記事)。

 

  • ILOは、新型コロナが若者の雇用に与えたインパクトを分析した報告書を出版しました(記事)。

 

  • OCHAは、2021年度の人道支援を分析し、資金ギャップが340億ドル、殺害された人員は140名になると報告しています(記事)。

 

  • 国連は、アフガニスタン支援に必要な金額の40%しか現在集まっていないと警告しています(記事)。

 

  • WHOは、洪水が襲ったイエメンの医療支援を進めています(記事)。

 

  • WHOは、サル痘の感染者が92カ国の3万5千人に及んでいると報告しています(記事)。

 

 

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– シンクタンク・NGO関連 –

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  • PSEAH(性的搾取・虐待・ハラスメントからの保護)研修・スフィアハンドブック研修が開催されます(記事)。

 

  • 8月26日に平和を考えるNGO2030ウェビナー Vol.20が開催されます(記事)。

 

  • 9月4日にアフガニスタンからの退避者に関するオンラインイベントが開催されます(記事)。

 

  • 世界人道の日に寄せて、人道支援分野で活動している団体が共同声明を発表しています(記事)。

 

  • Plan Internationalは、若者たちがグリーンエコノミーに対応するための知識やスキルを身に付けられていない事を明らかにしました(記事)。

 

  • 6つのNGOは、子供達を飢餓から守るための行動を促す共同声明を発表しました(記事)。

 

  • Save the Childrenは、ガザとイスラエルの間で起こっている問題について声明を発表しています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、レバノンの食糧不足により、現地住民とシリア難民の間で軋轢が広がっていると報告しています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、タリバン政権下でのアフガニスタンの情緒たちの状況を分析した報告書を出版しました(記事)。

 

  • 世界経済フォーラム(WEF)は中米三か国における民間セクターを通じた地域の社会経済状況や環境の回復力の改善を支援する新たなESGイニシアチブを発表しました(記事)。

 

  • CSISは、ケニア大統領選の結果を受け、ウィリアム・ルト新大統領が取組むべき課題(地域の不安定さ、若者の失業、インフレ、ロシアによるウクライナ侵攻による経済的影響)について探るオンラインディスカッションを公開しました(記事)。

 

  • JETROアジア経済研究所は、8月25日、第15回アジ研中国塾を開催します(記事)。

 

  • ODIは、強制的な立ち退きにおける社会的保護についての報告書を発表しました(記事)。

    ●英王立国際問題研究所(チャタムハウス)は、ブラジルの民主主義の現状について解説しています(記事)。

    ●世界水週間にあわせ、サセックス大学IDSは、水と気候変動対策について解説しています(記事)。

 

 

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【3】 GRIPS開発フォーラム

 

第36回エチオピア出張報告

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  • GDF企画ウェビナー(7/13開催)の動画と資料を掲載

7月13日水曜日に、GDF企画ウェビナーを開催しました。2022年8月27、28日にチュニジアで第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)が開催されます。GDFでは、この機会をとらえ、仏国際関係研究所(IFRI)のセリーヌ・パジョン氏、JICAの加藤隆一氏、KOKO Plus Foundationの高橋裕典氏をお迎えして、日本とアフリカのパートナーシップのあり方を考え、今後の展望について議論を行いました。

ウェビナーの詳細(動画、及び発表資料等)はGRIPS開発フォーラムHPのイベントページをご覧ください。

https://www.grips.ac.jp/forum/newpage2008/event.htm

GRIPS開発フォーラム・飯塚

https://www.grips.ac.jp/forum/

 

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ワシントンDC開発フォーラム「情報サービス(dev-info)」と

「メーリングリスト(devforum)」

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2022年8月23日発行