2006年10月31日号(’人間の安全保障と援助効果’、「 人道・開発ギャップを埋める平和構築」、「じゃぶじゃぶの開発学」を超えて、 他)

                      2006年10月31日発行
                     http://www.devforum.jp/
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    ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス

          −(dev-info)−

    皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】 開発フォーラム新着情報チェック:

    「援助効果向上に関するアジア地域フォーラム」
    「欧州連合Progress Report on the EU strategy for Africa」
    「CGDペーパーGlobal Fund: Seven Essential Tasks」
「ODI セミナー’Human Security and Aid Effectiveness’」

【2】 パリ通信第53回
    対オランダ援助審査からみたDAC 
    ― その2 「援助審査」はお手盛り審査? ―

【3】 国連フォーラム:
    国連フォーラム2周年のご挨拶
    勉強会「イラク戦争後の安保理の役割」のお知らせ
    第14回・第15回「国連職員NOW!」
    フィールドエッセイ・UNICEFベオグラード事務所
    「国連でインターン」・UNICEFタジキスタン事務所

【4】 FASID国際開発研究センター最新情報
    FASID講演「土地制度と森林保全:
    アジアの森を考える」、DAKIS文献紹介、
    Journal Express最近号、のご案内

【5】 GRIPS開発フォーラム:
    「フィードバックセミナー」と「FDI促進セミナー」開催のお知らせ

【6】 平和構築フォーラム:
人道・開発ギャップを埋める平和構築戦略ほか

【7】 国際開発ジャーナル社 「国際協力キャリアフェア2006」開催

[編集後記]  「じゃぶじゃぶの開発学」を超えて

今週はFridayの泉 泰雄さんの担当です。

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【1】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev−Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘ info@devforum.jpまでご連絡ください。

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 −日本関連−
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●10月18−20日、援助効果向上に関するアジア地域フォーラムが
日本・英DFID・世銀・ADBの共催によりマニラで開催されました。
http://www.adb.org/Media/Articles/2006/10837-regional-aid-effectiveness/

同フォーラムの関連文書・情報は次のウェブサイトに掲載されています。
http://www.adb.org/Documents/Events/2006/Aid-Effectiveness/default.asp

┏━━━━━━━━━━━┓
 −マルチ・ドナー関連−
┗━━━━━━━━━━━┛

●欧州連合からProgress Report on the implementation of the EU strategy for
Africaが発表されています。
http://www.europe-cares.org/africa/eu_strategy_en.html

●OECD/DACからDACNews10月号が発表されています。http://www.oecd.org/dataoecd/49/42/37530473.htm

●世界銀行から報告書Close to Home: The Development Impact of Remittances
in Latin Americaが発表されています。
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/COUNTRIES/LACEXT/EXTLACOFFICEOFCE/0,,contentMDK:21105202~pagePK:64168445~piPK:64168309~theSitePK:870893,00.html

●同じく世銀からAfrican Development Indicators (ADI) 2006が発表されています。
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/NEWS/0,,contentMDK:21107847~pagePK:34370~piPK:34424~theSitePK:4607,00.html

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 −ペーパー/セミナー報告書−
┗━━━━━━━━━━━━┛

●米国シンクタンク ブルッキングス研究所からAsset-Based Approaches to Poverty
Reduction in a Globalized Contextが発表されています。
http://www.brookings.edu/views/papers/200611moser.htm

●米国シンクタンク CDGからChallenges and Opportunities for the New Executive
Director of the Global Fund: Seven Essential Tasksが発表されています。
http://www.cgdev.org/section/initiatives/_active/hivmonitor/globalfundwg

●英国シンクタンクODIでセミナーシリーズ’What’s Next in International Development?’
が開催されています。一回目のセミナーは’Human Security and Aid Effectiveness:
The EU’s Challenge’と題して開催されました。
http://www.odi.org.uk/speeches/apgood/international_development/index.html

同じないようのブログも発表されています。
http://blogs.odi.org.uk/blogs/main/archive/2006/10/27/776.aspx

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【2】 パリ通信第53回
   対オランダ援助審査からみたDAC 
   ― その2 「援助審査」はお手盛り審査? ―
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今回は、前回に引き続き、今年、日本・スウェーデンが審査
国となって実施したDAC対オランダ援助審査
http://www.oecd.org/document/19/0,2340,en_2649_33721_37430483_1_1_1_1,00.html
)を通じて見えてきた点のひとつ、DAC「援助審査」の特徴に
ついてご紹介します。

●お手盛り審査? ― 「援助審査」の目的、実施方法 ―
Peer=仲間による審査の効果は?

前号で、DACの「援助審査」は、DACメンバーが審査国となっ
て、審査を行う、「Peer Review」であるという点をお伝えし
ましたが、『「Peer=仲間による審査」なんていったら、独立
性・専門性に欠ける「お手盛り審査」になるのでは?』という
疑問を抱く方がいらっしゃるかもしれません。

確かに、「援助審査」の第一の目的は、被審査国の開発問題
に対する取組み状況を審査し、積極的な点は評価し、改善が
必要な点についてはDACから被審査国政府に対する勧告
(recommendations)を出すことにより、被審査国の援助の
効果を向上させることにあり、独立的な視点が必要といえる
でしょう。

しかしながら、DACの「援助審査」では、主に、被援助国、他
ドナー(DACメンバー、世銀、国連等)、市民社会組織、被審
査国の援助関係者(国会議員、学会、NGO等)からのインタビ
ューを実施して第三者の意見を取り入れる以外、第三者が主体
となって独立審査を実施するようなことは行っていません。第
三者による独立・専門的、厳格な審査を金科玉条のごとく掲げ
てはいないのです。

●審査+相互学習+α=「援助審査」

なぜでしょう?DACの「援助審査」では、DACメンバー国間の
相互学習(peer learning)を、もうひとつの重要な目的とし
て有しているからです。すなわちこの「援助審査」を通じて利
益を受けるのは、被審査国だけではないのです。

特に、審査国は、DAC事務局の援助審査担当者と共に、
被審査国の本国での審査(本国審査)、被審査国が援助活動
を行っている途上国での現地審査等において、関係者(被審査国
政府援助関係者、他DACメンバー・マルチドナー、NGO、
被援助国など)と議論を行い、被審査国の長所・短所から多く
の点を学ぶことが可能なのです。

もちろん、審査国でない他のメンバー国も、審査国・事務
局が作成する報告書案についてDAC全体で議論を行う「援助審
査会合」への参加を通じて、経験を共有することができます。

また、報告書は、DACの議論を経た後、外部にも一般公開され
るため、DAC以外の援助関係者にも、各DACメンバー国による援
助政策・体制・実施状況についての情報リソースとして機能し
ます(各国の「援助審査」結果は
http://www.oecd.org/findDocument/0,2350,en_2649_34603_1_119663_1_1_1,00.html
また、DAC事務局では、各国の「援助審査」を通じて把握さ
れた、情報を統合的に分かりやすく取りまとめた報告書の作成
を行っています。) 

更に、昨今、新しくドナーとして活動を展開する所謂新興ドナ
ー(例 中国)を、「援助審査」の一部に参加させることによ
り、新興ドナーが、DACメンバー国の取り組みを学び、自身の
援助政策立案、体制構築、援助実施の効率化を行う手助けを行
う、といった試みも少しずつ見られるようになってきています。

第三者ではなく、同じ「政府」という立場にある仲間による
審査なので、新興ドナーも参加しやすい、という利点があると
いえるでしょう。(とはいっても、新興ドナーはDACメンバー
ではないので、政策対話等のアウトリーチ活動()を通じた相
互理解醸成が、まだまだ必要と言われています。)

その他、Peerによる審査の利点として、外部コンサルタント、
学者等全くの外部第三者とは、どうしても正面を切って議論
することができない政治的な問題等について仲間同士であれば
議論できる、という点が挙げられるかもしれません。

例えば、対オランダ援助審査でも、議会が制定した「毎年援助予算の△
%を○○分野に割り当てる」(例 HIV/AIDS関連の援助にODA
予算10割り当てる)といったspending targetの是非につい
て議論が行われました。

援助専門の学者等からは、真っ先に「これは投入重視の目標であり、
成果重視の流れに逆行する」、「途上国毎のニーズに即した
援助実施の妨げとなる」といった批判が出されそうですね。

しかし、この「援助審査」では、被審査国・審査国の一部関係者より、
このようなtargetは、「政府として、政策課題として掲げた当該問題
(例 MDGs)に取り組んでいることを、国民に分かりやすく説明する
格好の手段」、「援助担当省として、予算要求のためにある程度
必要」といった現実的な意見も出されました。

結果、議論は、両者のバランスをどのようにとっていくべきか、
といった現実的・建設的なものになっていきました。

●一枚岩ではない被審査国

「援助審査」では、「援助審査」をうまく「利用」したいと
いう考えを持つ被審査国関係者にも出くわします。当人が、普
段の援助活動を通じて問題だと感じていた点を、審査の機会を
利用して、DACに「指摘してもらう」ことにより、自国政府の
援助の改善につなげる、すなわち外圧による改革を導き出す、
というものです。

なるほど、「援助審査」で被審査国本国や途上国現場に行くと、
被審査国政府関係者が一丸となって、自国の援助政策・体制・
実施状況の宣伝に徹したり、欠点をひた隠しにしたりするの
ではなく、「本国が掲げる政策は美しいが、それを現場で実施
するリソースが足りなくて困っている」という現場担当者、
「国連でのコミットに反し、我が国政府ODA予算の量は
GNI比0.7l標を達成するには程遠い」という某省担当者・・・
などがちらほらと顔を見せる。

一枚岩ではない被審査国。実際に、対オランダ援助審査では、
審査チームに対して、本国で掲げる地域紛争への対応を
重視した政策に反し、現場リソースが不足している現状を訴え、
DACの勧告を導き出し、見事、大使館の担当スタッフを獲得した
大使に出会いました。彼らも「援助審査」の受益者といえますね。

では、実際、今回の対オランダ援助審査で、オランダ・DAC
は、どのような点につき相互学習を行うことができたのでしょ
うか。次号では、本件審査で見えてきた、オランダの援助につ
いてご紹介したいと思います。

(パリ通信担当 寺門 雅代)

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【3】 国連フォーラム:
   国連フォーラム2周年のご挨拶
   勉強会「イラク戦争後の安保理の役割」のお知らせ
   第14回・第15回「国連職員NOW!」
   フィールドエッセイ・UNICEFベオグラード事務所
   「国連でインターン」・UNICEFタジキスタン事務所
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●2004年10月の「国連の日」に発足した国連フォーラムは
今年で2周年を迎えました。これにあたり、国連フォーラム
幹事一同よりステートメントを掲示させて頂いています。
今後ともよろしくお願いいたします。
http://unforum.org/unforum/statements/06-10-24.html

●11月2日(木)午後6時30分から、ニューヨークにて
勉強会を開催致します。今回は講師に国連政治局
安全保障理事会部の川端清隆政務官をお招きし、
安全保障理事会の役割と課題についてお話し頂く予定です。
ご出席を希望される方は、10月31日(火)午後5時(米国
東部時間)までに、国連フォーラム勉強会担当の谷
(メールアドレス:columbiapp@yahoo.co.jp)まで、
ご氏名及びご所属先をご連絡下さい。

なお、勉強会の詳細につきましては下記をご参照下さい。
http://unforum.org/lectures/notice.html

●国連職員の方々の生の姿をインタビュー形式で
お伝えする「国連職員NOW!」第14回では、
国連人口基金(UNFPA)ニューヨーク本部HIV/エイズ
技術専門官を経て、ベトナム事務所プログラム調整官として
ご活躍されている高井明子さんにお話を伺いました。
http://unforum.org/unstaff/14.html

また、第15回では、国連開発計画(UNDP)アフリカ局
アフリカ開発会議(TICAD)プログラム調整官として
ご活躍されている石井香織さんにお話を伺いました。
http://unforum.org/unstaff/15.html

●国連児童基金(UNICEF)ベオグラード事務所にて
プログラムコミュニケーション担当官としてご活躍された
榮谷明子さん(現在はUNICEFジュネーブ地域事務所
ご勤務)に、フィールドでのご体験を執筆頂きました。
http://unforum.org/field_essays/9.html

●東京大学大学院に在学中の増川智咲さんに、
UNICEFタジキスタン事務所での女子教育プロジェクトの
アシスタントとしてのインターン経験をご投稿頂きました。
http://unforum.org/internships/16.html

(国連フォーラム担当:大槻佑子)
http://unforum.org/index.html

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【4】 FASID国際開発研究センター最新情報
    FASID講演「土地制度と森林保全:
    アジアの森を考える」、DAKIS文献紹介、
    Journal Express最近号、のご案内
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●FASID講演のご案内
テーマ:土地制度と森林保全:アジアの森を考える
“ Land Tenure and Forest Resource Management in Asia”
講師:大塚啓二郎 FASID国際開発プログラム プログラム・ディレクター、政策
研究大学院大学(GRIPS)連携教授
日時:2006年11月10日(金)13:00〜15:00
言語:英語
参加費:無料
場所:UNハウス(国連大学1階) メディア・スタジオ
ご案内状、講演概要、申込書:
http://www.fasid.or.jp/daigakuin/sien/kaisetsu/061110.pdf
問合せ・申込:kouza@fasid.or.jpへ、お名前(ふりがな)、ご所属先名、電話番
号を添えて、Eメールにてお申込み下さい。(先着順、25名程度)
会場定員の関係でご参加頂けない場合のみ、事務局より連絡致します。

●DAKIS(開発援助情報システム) 文献紹介のご案内
文献紹介No.65英国国際開発省 (DFID) (2006) White Paper: eliminating world
poverty
:making governance work for the poorを掲載しました。
http://dakis.fasid.or.jp/report/pdf/BriefingReviewNo65.pdf

●Journal Express最近号のご紹介
Journal Expressは、英語新聞・雑誌・シンクタンク情報などを抜粋・編集した週
刊国際開発情報誌(和要約付)で、本年5月から始めたDAKIS(開発援助情報シス
テム)の新しいサービスです。最近2号分の見出しとURLをご紹介します。○JX #20
(06.10.18) http://dakis.fasid.or.jp/report/jxpdf/jx20.pdf
次期国連事務総長Ban氏/2006年ノーベル平和賞/アフリカ薬用植物DB/タンザニ
アの援助効果/ベトナムのWTO加盟/カナダ安全保障のため援助倍増/アフリカの
エネルギー危機/楽観性と生活の質の関係/米援助組織改革へ提言、など。
○JX #21 (06.10.25) http://dakis.fasid.or.jp/report/jxpdf/jx21.pdf
2007年ドイツG8サミット議題/アジア太平洋地域の貧困/中南米の経済成長と犯
罪/豪州、小島嶼諸国援助に条件/ケニア「アフリカの虎」めざす国家計画/南
アジア経済成長の足かせ/WTO交渉再開へ圧力/EU追加援助、など。

(FASID国際開発研究センター担当:村田あす香)
http://www.fasid.or.jp

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【5】 GRIPS開発フォーラム:
   「フィードバックセミナー」と「FDI促進セミナー」開催のお知らせ
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GRIPS開発フォーラムでは、来る11月8日と9日にセミナーを開催いたします。
11月8日(水)のセミナー「開発プロセス管理と援助―東アジアの経験」では、
GRIPSの大野泉・島村真澄による「開発プロセス管理と援助」調査の中間報告
を行います。この調査は、途上国の開発・援助マネジメント能力の強化策に
ついて示唆を得るために、マレーシア・タイ・フィリピンの経済官庁、予算の
メカニズムについて時代をさかのぼって比較したものです。

パネリストには、元マレーシア工業開発庁(MIDA)副長官のJ. Jegathesan氏、
現タイ近隣諸国経済開発協力庁(NEDA)総裁のNophadol Bhandhugravi氏、
そしてJBIC開発第一部部長の松澤猛男氏をお迎えする予定です。

翌9日(木)には、J. Jegathesan氏によるFDI促進セミナーを行います。
Jegathesan氏はMIDA引退後もJICAアドバイザーとしてザンビアなど
への南南協力に関っておられ、マレーシアの産業開発・工業化経験を
アフリカに活かす取り組みをされています。

当日は「アフリカへのFDI促進−東アジアの経験の適用可能性」と
題して熱弁をふるっていただきます。コメンテーターには
JICAアフリカ部・部長の山本愛一郎氏を予定しております。

ご興味のある方は、案内状をご覧のうえ、英語・日本語で必要情報
を記載してお申し込みください。

会場スペースの都合上、定員になり次第締め切らせていただきます。

●案内状、pdfファイル、27KB
http://www.grips.ac.jp/forum/pdf06/seminar/09nov06/invite89jp.pdf 

(GRIPS開発フォーラム:鈴木明日香)
http://www.grips.ac.jp/forum/

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【6】 平和構築フォーラム:人道・開発ギャップを埋める平和構築戦略ほか
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10月17日、第5回平和構築フォーラム・セミナー(ユニセフと共催)
「人道・開発ギャップを埋める平和構築戦略」が開催されました。
(議事録・HTML版/PDF版)
http://www.peacebuilding.jp/seminar/061017minutes.htm
http://www.peacebuilding.jp/seminar/061017minutes.pdf
(資料・PDF932KB)
http://www.peacebuilding.jp/seminar/061017unicef.pdf

今後、11月9日(木)には第6回セミナー(世銀と共催)
「戦乱下の開発政策−ドキュメンタリー上演・討論会」、
11月16日(木)には第7回セミナー
「OECD開発援助委員会における平和構築への取り組み」
を、それぞれ東京で開催する予定です。
http://www.peacebuilding.jp/seminar.htm

10月12-13日にNYで開催された国連平和構築委員会国別会合
(シエラレオネ・ブルンジ)の報告をウェブに掲載しました。
http://www.peacebuilding.jp/newsletter/061031pbc.htm

10月31日、平和構築フォーラム・ニュースレター最新号を
発行しました。上記を含め各種最新情報を掲載しています。
http://blog.mag2.com/m/log/0000203690/107870098.html
今後とも発行しますので、よろしければご登録下さい。
http://www.peacebuilding.jp/newsletter.htm

(平和構築フォーラム・紀谷昌彦)
http://www.peacebuilding.jp/

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【7】 国際開発ジャーナル社 「国際協力キャリアフェア2006」開催
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国際協力に関わりたい、働きたいと真剣に考えている人を
対象に、実際に活動にかかわる関係者の生の声や情報を提供する
イベント「国際協力キャリアフェア2006」を11月11日(土)に
東京で開催します。国際協力の仕事に興味がある方、
すでに働いていてキャリアアップを考えている方、
大学院で国際協力について学びたい方などはぜひご参加ください。

開催日時:2006年11月11日(土)10時〜18時
開催場所:独立行政法人国際協力機構(JICA)国際協力総合研修所
(東京都新宿区市ヶ谷本村町10−5)
地図:http://www.jica.go.jp/branch/ific/map/index.html
主催:国際協力キャリアフェア2006実行委員会
(事務局:株式会社国際開発ジャーナル社内)
後援:外務省
協賛:全日本空輸株式会社(ANA)、味の素株式会社
対象者:大学生、大学院生、社会人(先着700人)
参加費:3,000円(参加者には当日『国際協力ガイド2008』をプレゼント)
ブース出展社:援助実施機関、民間企業(含コンサルティング企業)、
NGO、大学、専門学校など 約20社・団体
主な内容:
・個別ブースでの国際協力関連企業・団体・NGO・大学などによる説明、相談
・セミナー形式による企業・団体・NGO・大学の活動紹介
・キャリアアップのためのセミナー・ワークショップ
・相談コーナー
・国際協力書籍販売・情報展示コーナー
・国際協力分野で働く人たちを交えた懇親会(参加費:1000円)
申し込み方法:専用のウェブサイト
http://www.international-careerfair2006.com)より
お申し込みください。
お問い合わせ:「国際協力キャリアフェア2006」実行委員会
(株式会社国際開発ジャーナル社内)
Tel:03-3584-2191, Fax:03-3582-5745
E-mail:careerfair06@idj.co.jp

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編集後記  「じゃぶじゃぶの開発学」を超えて
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「じゃぶじゃぶの平和主義」という表現をご存知だろうか。 
日本の憲法改正議論が、安全保障が、新内閣の誕生を以て論議
のひとつとなってきそうである。とはいってもここで、平和主義につ
いて語るつもりはなく、「じゃぶじゃぶの…」を問題提起とともに考え
ていきたい。

私自身は、この国際協力・開発援助の世界にはいって20年足らず
の経験しかない。それも1990年代の旧ソ連・東欧の体制移行国との
関わりからである。 産業・金融・人材開発を現在はもっぱらとしてい
るが、もともとは銀行マンである。

幸いその銀行は、我が国でもユニークな存在の銀行で、民間企業で
あるにもかかわらず、産業・通商・金融政策などを役所・大学・研究機関
とも議論・提言しつつ、かつ同時に長期金融を主力に、大企業から中小
企業に至まで、戦略的アドバイスから金融サービス業までをおこなうという
ところであった。また”ディスカッション○銀”と呼ばれ、上下の隔てなく、
部店間の垣根も低く自由な議論ができるところでもあった。

新入行員時代から勉強会と称し、先輩の話しを聞く、わからないなりに
質問をする、自分の考えをぶつけてみる、といったことはごく当たり前であり、
極端な場合はその相手が頭取・会長であったりもした。 また3千人ほどが
働く本店での各種の会議・ミーティングを通じ、それまであったことも無い部室
の人たちと、立場の主張もしつつ、実態を語れば と言った”建前と本音”を
わきまえた対応といったものも経験する機会を得た。 

これらを通じて養われた感覚は 自分の立場での主張をするだけでなく、
考えを通すだけでなく、相手の立場もよく考えるという、自分の所属部の
利益だけを考える「じゃぶじゃぶのXX部主義」からの脱却であったと
言って良い。

7年続けた世銀本部での職を辞してから1年強を経過したが、その後は
地場産業、中小・農村企業も絡めた 産業振興支援を、考え・実施を
お手伝いする機会を、アフリカ、中東そして現在は東南アジアで得てきている。
これらの仕事での共通項は、「連携」。 国際協力業界での世論が21世紀
にはいって以降、それまでの社会開発一辺倒とでもいってよい1990年代から、
インフラ・経済開発、民間セクター開発に振り子が戻りつつある。

世銀時代には主張だけで、論戦をしかけるだけで終わったが、経済・
社会発展のための方式としての「官・産・学・民」連携、また別な表現でいえば、
教育・保健・環境・農村開発など社会開発分野と、公共財政・インフラ・
民間セクター・金融など各分野が、相互に話し合い、知恵を出し合い、
発展の流れをよりアウトカム型にもっていく中での貧困削減達成の
努力は惜しむべきではない。 

SWAps (Sector Wide Approaches) という発想がようやく陽の目を
見始めてきたようだが、まだ Intra-Sector (セクター内連携)
でとどまっており、それ自身おおきな命題である。 
が、Inter-Sector(セクター間連携)というモードに一刻も早く発想を
発展させていくべきであろう。 

現在まで携わってきた経験でも、各分野間の連携は世銀時代では
カントリーチームでの議論が行われる時がせいぜいであり、
CAS 議論の中で、ポートフォリオ・レビューの中でその場が
提供されてはいるが、どうしても自説・自らの分野の正当性、
緊急性が主体となり、主張のしあいで終わってしまうことが多い。 

ましてやそれ以外のいくつかの組織・機関では立場の主張すら
行われていない、普段はそもそも接触すらないことが多いのが実態
であると理解している。 俗に これを”たこつぼ堀り”と呼んでいる
ことをご存知の方は多いことと思う。 

各分野の相互連関 (Input / Throughput / Output) を経済・社会開発
という観点から検証し、関係する分野同士の対話・会話、相互理解
の上に、国際協力を発展させていくことが課題であろう。 

“たこつぼ”堀りに堕すことなく、「じゃぶじゃぶのセクト主義」
からの止揚が切に望まれる。

最近このMLで議論が展開されている “需要と供給のマッチング論”。 
私がかつて居た金融業界での経験では、戦略的提携 Strategic Alliance
と呼ばれる分野のひとつで、人的交流といったソフトなものからはじめて、
共同研究、技術協力、共同調達、そしてもっともハードな形では
合併・買収に至るさまざまなオプションの中で、分析・検討がなされ、
ネゴを通じて意志決定へと進んでいく。 

まさに手を変え品をかえさまざまなオプションを提示しながら
進めていくのが常。 とはいっても最後まで進むのは俗にいう
“センミツ”の世界、つまり千に三つでもまとまればよいという
世界である(もっとも私のケースは幸運にしてもっと高かったが)。 
データベースがあれば、マッチする相手が見つかれば、などという
生やさしいものでは無い。

基本は徹底的に需要側を考えることにあるのだが、いずれにしても、
国際協力の世界で、”需要と供給” が議題として登場すること自身が
私にとってはたいへん嬉しい限りである。 これを言い始めると特に
社会開発型の専門家のみなさんには嫌われるが、国際協力を考え、
実施するにあたっても経済的な、ビジネス的な、経営学的な発想は
大切である。 ”需要先のことを考える” は基本中の基本であり、
いってみれば、顧客のことを常に考え、どうしたら顧客満足を高める
ことができるかが考えのトップにある。 

収益極大化、儲かるビジネスだけに特化といった批判は受けるが、
それだけが企業行動・経営のすべてでは無い。冷静にマーケットを
分析し、顧客ニーズをさまざまな角度から検討し、みずからの商品・
サービスをどのようにして、どんなルートで、より良く顧客に受け
入れてもらうか、といった真摯な発想の理解は、他の分野の方々
にはぜひとも理解いただきたいと思っている点のひとつである。 
ビジネス的観点・経営学的手法で、みずからの分野・課題の
再検証をおこなうことをぜひお奨めしたい。

毛嫌いすることなく、ビジネス的な観点で、経営学的手法で
ものごとを見ることに努力、従来の「じゃぶじゃぶの開発学」
からの発想の転換が望まれる。秋晴れのワシントンで。(泉)

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    DC開発フォーラム「情報サービス(dev-info)」と
         「メーリングリスト(devforum)」
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(案内・レジュメ・議事録)をはじめとする活動情報に加
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報を、「ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス
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されないようご配慮いただきます。本メーリングリストへの
参加をご希望の方は、次のウェブサイトに掲載している
「devforum参加者の共通理解」に目を通していただいた上
で、上記連絡担当まで氏名・所属・電子メールアドレス・問
題関心をご連絡ください。
http://www.devforum.jp/mail/index.htm

dev-infoやdevforumをはじめ、DC開発フォーラムの活動につ
いてご意見・ご示唆等ありましたら、お気軽に上記連絡担当
(info@devforum.jp)までお寄せいただければ幸いです。
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編集担当:早川 元貴
編集後記:泉 泰雄
発行:ワシントンDC開発フォーラム