第12回インタビュー!
『日本の対中米外交の現状と課題−日・中米外交関係樹立70周年を振り返って―』
中谷 好江氏
外務省 中南米局 中米課 課長補佐
2005年12月14日


《略歴》 東京外語大卒。83年外務省入省。在パナマ大使館、北米第二課、有償資金協力課、在米大使館広報文化センター次長、中南米第二課、調査計画課(評価班長)等に勤務。04年1月より現職。

(本稿は発表者個人の見解であり、所属先、ワシントンDC開発フォーラムの立場を述べたものではありません。)

1.日本と中米の外交関係について、日本が中米地域を支援する意義も含めて教えてください。
2.8月に中米各国首脳等が訪日された時の概要と成果について教えてください。
3.日本の対中米援助の現状について教えてください。
4.中米の統合支援とは、具体的にはどのようなことを行うのですか。
5.中米が親日であるのは、やはり日本が中米にとってトップドナーであるからでしょうか。
6.中米は親日的ですが、日本は中米に対して関心があまり高くありません。日本政府として、どのようにして中米に対する国民の関心を高めようとしていますか。
7.最後に、今後の課題について教えてください。


1.日本と中米の外交関係について、日本が中米地域を支援する意義も含めて教えてください。

 2004年9月に、小泉総理大臣がブラジルとメキシコを訪問し、サンパウロで対中南米外交に関する政策スピーチを行いました。「日・中南米新パートナーシップ構想」というタイトルで、いわゆる「小泉ビジョン」と呼ばれていますが、その中で「協力」と「交流」という2つの大きな柱を掲げています。「協力」とは、経済関係の再活性化と国際社会の諸問題への取り組みに関する協力、「交流」とは、相互理解と人物交流です。今後、この2つの柱を日本と中南米の外交を進めていく上で意識していこうということで、発表されました。

 では、これを中米の中で読み換えていくとどういうことかをご説明したいと思います。ここでいう中米というのは、エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラスのいわゆる中米5カ国に加え、パナマ、ベリーズ、ドミニカ共和国も含みます。これらの国は中米統合機構(SICA)の加盟国で(ドミニカ(共)は準加盟)、日本は96年から日本・中米フォーラムを通じてこれらの8カ国と政策対話を続けてきました。そして今年は、日本と中米主要5カ国との外交関係樹立70周年を迎えています。

 まず、日本にとっての中米の重要性は、大きく分けて4つあります。1つ目は、中米は70〜80年代の内戦、その後の復興プロセスを経て、ようやく安定と発展のステージへきていることです。2つ目に、90年代に入ってから中米統合のプロセスが順調に進んでいることが挙げられます。これは、一ヶ国では国際社会での発言力は弱いので、中米としてまとまって国際社会で重要な地位を占めていこうという狙いがあります。3つ目に、2006年に発効する予定の米国・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定(DR-CAFTA)ですが、これは中米が米国市場への輸出基地として機能するという、日本にとって新たな魅力になっています。4つ目に、パナマ運河の安定使用です。日本は、最近中国に抜かれましたが、米国、中国に次いでパナマ運河の第3番目の使用国であります。したがって、パナマ運河を安定して使用するためにも、中米が安定していることが重要になってきます。

 次に、中米と日本との関係ですが、日本は常に中米にとって主要ドナーであり、民主化や経済改革を支援してきました。そして、国際場裡においても、色々な連携をしてきましたが、実際は、日本が中米を支援するというよりは、中米が日本を支援してくれるというケースが多いようです。例えば、国連安保理改革において、中米8カ国すべてが日本の常任理事国入りを支持してくれています。また、IWC(国際捕鯨委員会)においても、色々と賛否両論ある中で、加盟国であるニカラグア、ベリーズが日本を支持してくれていて、グアテマラも捕鯨を支持するという立場で加盟手続き中です。


2.8月に中米各国首脳等が訪日された時の概要と成果について教えてください。

 2005年は、日本と中米主要5カ国が外交関係樹立70周年を迎えた年であり、中米統合機構(SICA)加盟国が愛知万博に共同出展することもあり、「日・中米交流年2005」と定め、様々な行事がありました。8月18日に、交流年最大重要行事である日本・中米首脳会議が総理官邸で開催されました。出席したのは、日本側は小泉総理と、中米側は中米統合機構(SICA)の加盟国及び準加盟国の大統領及び副大統領で、議題は大きく分けて5つありました。(1)中米統合への動きと日・中米関係、(2)は経済協力、(3)経済交流の促進、(4)教育・文化交流・青少年交流、(5)国際場裡における協力です。この5つの大きな項目に従って意見交換が行われ、最後に「東京宣言」及び「行動計画」を採択して終了しました。

 まず、この日本・中米首脳会談はどういう意義があったのかということですが、実は日本と中米の首脳レベルでの接触は、96年に橋本総理がコスタリカを訪問した時の首脳会談以来であり、しかもその時はワーキングランチとして時間も短かったので、本格的な首脳会談として東京で実施するというのは今回が初めてです。TICAD(アフリカ開発会議)や太平洋島サミット等が複数回実施されていることを考えると、中米諸国と本格的な首脳会談を初めて実施できたことは、大変意義が大きかったと感じています。

 次に、小泉ビジョンの中米版を作ったというのが、「東京宣言」及び「行動計画」の位置付けだと思います。このような日・中米関係についての中長期的指針を中米と合意で作成して発表したということも初めてでしたので、大きな意義があったと思っています。日本から評価できるポイントとしては、中米諸国すべてが日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りに対する支持を表明し、それを文書に残したことです。9月の国連サミットを控え、中米諸国側もそれぞれ自分達の態度を完全に固めきれていない段階で、最終的に日本の支持を表明してくれたことは、日本にとって「東京宣言」の最大の目玉だったと思います。

 日本から中米に対してという意味では、総理は明確に中米統合、民主化の定着、経済開発を従来どおり引き続き支援することを表明しました。中米統合の動きは、今のEUが統合の動きを始めた60年代から既にありましたが、その後の域内経済格差の拡大や内戦の影響もあって、なかなか進展しませんでした。90年代に入って内戦が終結し、復興が進んで、経済のグローバル化の流れの中で、現在中米は統合への機運を高めています。統合することによって、経済的にも強くなり、政治的な発言力も高まります。中米が安定すればそれが中南米の安定にもつながり、ひいては世界全体の安定にもつながるので、日本はそれを歓迎し、支援しています。また、親日的な中米が統合してまとまって日本を支持してくれれば、日本が今後国際社会において重要な地位を占めてリーダーシップをとっていく上で、大変心強い味方にもなります。経済的には、人口約4700万人が統合された市場は、中南米の中で第3位の市場規模になるので、市場としての魅力も高まります。

 経済協力に関しては、これまで内戦や災害等を通じて復興や民主化の支援を行ってきましたが、ほとんどの国が無償資金協力を卒業しつつあります。そのような中で、日本は中米において広域協力を重視していくという姿勢を打ち出しました。なぜ中米が広域協力に適しているのかといえば、もともと中米5カ国は1つの国だったので共通の歴史・文化があり、言語もベリーズの英語以外はスペイン語が広く普及していて、多くの共通の開発課題も抱えています。世界の他の地域と比較しても、域内の均一化が高いので、ODAを効果的・効率的に実施していく上で広域協力が有効に機能する場と捉えています。広域協力とは具体的に、主要な開発課題毎に拠点となる国を決めて、その国を中心に経済協力を行い、その成果を他の国々に普及させることです。例えば、ホンジュラスの算数指導力向上プロジェクトが成功しているので、その成果をニカラグアやエルサルバドルに広げようとしています。また、グアテマラで成果を出したシャーガス病の感染症対策を、エルサルバドルや近隣諸国に広げていくことも考えています。中米諸国からは、日本の広域協力が彼らのニーズを満たすものであると歓迎され、謝意が表明されました。

 中米諸国から特に熱い期待が寄せられたのは、経済交流の活性化です。中米も徐々に発展してきたので、ODAだけに頼る時代は終わりであるという認識があります。一方で、金の切れ目が縁の切れ目となってしまうのは困るので、これからは経済面での関係を深めていきたいと、大統領及び副大統領自身から口々に表明がありました。中米諸国は、米国市場へのプラットフォームでもあるし、賃金も比較的安いというビジネスチャンスをアピールしていましたが、中米に日本の投資を呼び込む秘訣を教えて欲しいという話もありました。現在の中米への投資は微々たるものですが、逆にいうと潜在的な発展の可能性は大きいということです。日本もようやく不況から脱し、新しい貿易・投資パートナーを求めていく上で、中米は新しいフロンティアになれるのではと考えています。関連行事として開催された経済関係者との懇談会は、夏休みにも拘わらず、政府関係機関・日本企業約50社の幹部約100名を超える参加者を得て大変盛況のうちに終えることができたので、経済交流の活発化に向けての意見交換のキックオフの役割を果たせたと思っています。

 小泉総理が特に強調したのは人材育成です。これは、日本が戦後の荒廃から立ち上がっていく中で、最大の資源が人材であったということが背景にあります。日本はこれまで中米の人材育成にかなりの実績を上げていて、過去5年間で研修員の受け入れ、専門家・青年海外協力隊の派遣等で約4000人にのぼる人達の交流がありました。今後も5年間で約1000人の青少年を日本に招待したいと、引き続き人材育成に力を入れていくことを表明しました。総理は所信表明演説で「米百俵」のエピソードを紹介し、特にホンジュラスがその精神に大変共感して、国立演劇学校で「米百俵」の作品を上演し、また今年は近隣諸国でも上演されました。日・中米間で教育・人材育成の重要性について改めて認識を共有できたと思います。

― アメリカと中米・ドミニカ共和国が自由貿易協定(DR-CAFTA)を締結しましたが、日本と中米もFTAに向けた動きはあるのですか。

 今の段階では経済交流自体が大変低調なので、具体的にそこまで話はありませんが、いかにして経済交流を活性化させるかを研究していきましょう、ということは「東京宣言」及び「行動計画」に盛り込んであります。経済交流が初歩的な段階であることは、両者の間で共有されている認識だと思っています。ただ、今後DR-CAFTAや中米統合の影響で、日本のビジネスが進出する可能性は高まるのではないかと思います。


3.日本の対中米援助の現状について教えてください。

 2004年度の中南米全体に対する日本の二国間ODAの実績は、約3億9百万ドルに達し、全体の5.2%で、中米8カ国では全体の1.8%を占めています。中米向け援助のシェアは、2001年は3.8%、2002年は3.5%、2003年は2.5%、2004年は1.8%と近年下がる傾向にあります。90年代は、内戦復興支援でシェアは比較的大きかったのですが、近年、日本の二国間ODAは中東や欧州の新独立国家へシフトしています。

 中米における日本の二国間ODAの実績は、大きい順でグアテマラ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、ニカラグア、エルサルバドルになっています。コスタリカは、過去の円借款を返済しているので、現在マイナスになっています(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/04_hakusho/ODA2004/html/zuhyo/zu030163.htm)。無償資金協力、技術協力、有償資金協力の内訳は国によって割合が異なります。無償資金協力は、一人当たりの国内総生産(GDP per Capita)を基準に実施していて、既に卒業したコスタリカ、パナマ、ベリーズに加え、2005年には、エルサルバドルが卒業しました。2006年には、グアテマラとドミニカ共和国が卒業する予定で、2007年以降は、無償資金協力の対象となるのはニカラグアとホンジュラスのみになります。有償資金協力の対象となっているのは、グアテマラ、コスタリカ、エルサルバドル、パナマ、ドミニカ(共)で、重債務貧困国であるホンジュラスとニカラグアへの有償資金協力は現状では困難な状況です無償資金協力を卒業した国でも、国内の地域格差はあり、また、MDGs達成レベルに到達していない分野もあるので、根付いてきた民主主義や市場経済を確固たるものにするためにも、引き続き支援が必要となります。またいずれの国でも人材育成、統合支援、広域協力などの分野で技術協力を必要としています。


4.中米の統合支援とは、具体的にはどのようなことを行うのですか。


 例えば、大きい企画では、プエブラ・パナマ計画(PPP)を支援しています。これは、メキシコ内で発展が遅れた南部地域9州と中米諸国の開発を、メキシコと中米諸国が協力して実施しようという計画です。具体的には、インフラ整備を中心に8つの重点分野を掲げ、地域内の道路網の統合や、送電線網の構築など、長期的な経済成長を視野に入れた多岐に渡るプロジェクトを行います。日本は、道路網、空港、港、橋等のインフラ整備や、エネルギー関連で地熱発電開発への協力をしてきました。税関統合では、ITを駆使し、いわゆるEガバメントのあり方につき日本が調査し、提言していくような構想もあります。また、人材育成にも力を入れ、直接的にも間接的にも統合を支援しています。


5.中米が親日であるのは、やはり日本が中米にとってトップドナーであるからでしょうか。

 日本と中米が70年間培ってきた関係の中で、経済協力の部分は確かに大きいとは思いますが、双方の関係に負の遺産がない、ということが大きな影響を与えていると思います。日本の経済協力は、ヒモ付きではなく、本当に人道的観点から中米の安定のためにやってきているということを、長年の付き合いから、相手国政府だけでなく一般の市民も良くわかっているように思います。また、中米は災害が多い地域で、地震や洪水がある度に日本の緊急援助隊が積極的に活動してきたので、日本を身近に感じやすいのだと思います。更には、日本が戦後何もないところから発展した、という背景も中米の親日感に影響していると思います。特にエルサルバドルは国土が狭くて人口が多いということで、彼らは自分達は中米の日本を目指すんだ、という意気込みがあります。日本が最初から大国で最初から先進国であれば、手の届かない存在に感じられるかもしれませんが、戦後荒廃して資源も何もないところから援助を通じて発展したという背景に、親近感が湧くのだと思います。

― 中米は、他のアジアの国々に対しても親近感があるのでしょうか。それとも日本に対しては特有なのでしょうか。

 中米諸国は、現在のところ中国とは国交がありませんが、台湾と国交を結んでいます。台湾が国交を持っているのは世界に26カ国で、そのうちの8カ国は中米であり、少なくとも、中米の政府レベルは親台湾派だと思います。しかしながら、近年中国は大変積極的に中米周辺諸国に働きかけています。経済的利益を見越し、カリブ海地域では、台湾と国交を断絶して、中国に鞍替えす国も最近出てきているくらいです。しかし、中米は、当面台湾との関係は従来どおり大事にしていくと思われます。


6.中米は親日的ですが、日本は中米に対して関心があまり高くありません。日本政府として、どのようにして中米に対する国民の関心を高めようとしていますか。

 日本は、中米というと、メディアの影響もありいまだに内戦のイメージを引きずっていると感じています。中米はこれまで日本や国際社会が色々と支援してきたおかげでようやく安定してきています。今、世界中を見回してみると、意外なことに中米は世界で最も安定した地域の1つであるのです。各国とも2〜3回と、大統領選挙を民主的に実施し、各大統領は曲がりなりにも任期を全うしています。ハイパーインフレの時代も過ぎてインフレ率は一桁を維持し、プラス成長も続けています。実は、南米の大国と比較してもアジアの一部の地域と比べてもそのような地域はあまりないのです。地球の反対側にそのような安定した地域があって、そこが親日的であるということは、日本にとってアセットである、ということを、国民の広い範囲で関心を高めていくことが自分の仕事だと思っています。交流年を通じては、中高生向けの分かり易いパンフレットやポスターを作ったり、外交資料館で70周年記念ということで過去の資料などを展示して、学校の見学で来てもらったりしているので、そういう地道な努力を通じて中米に対する理解を広げたいと思っています。

― 中米に興味を抱いてもらうためには、中米観光を促進するのも一つの手段だと思いますが、旅行業界と一緒に取り組んでいることは何かありますか。

 観光の促進というのは、我々にとって大きなテーマです。交流年の事業の一つで、世界旅行博に参加するというものがあり、2005年の世界旅行博は、中南米を主催者特別枠に指定し、紹介していただきました。中米は、遺跡の宝庫で、世界遺産に16件も指定されています。また、日本人が気に入りそうなきれいで魅力的なビーチもたくさんあります。ただし、ネックとなるのは、日本から遠く、直行便がないということです。
もちろん、旅行業界との接触もあります。先日も日本旅行業協会(JATA)と一緒に、日本の旅行客をどのようにして中米に集めることができるのかを話し合いました。例えば、コスタリカ旅行を促進するために、どういうパックツアーだったら日本観光客にアピールできるのかを研究したりしています。最近女性誌では、コスタリカのエコツーリズムを取り上げているので、ヒットすれば面白いと思います。個人的に、ベトナムのように女性にうける中米のイメージを作れないかと思ったりもしています。


7. 最後に、今後の課題について教えてください。

 まず、昨年8月に採択された「東京宣言」及び「行動計画」を着実にフォローアップしていくことです。毎年の日・中米フォーラムで点検し、評価をしていくつもりです。次に、今回詳しく触れませんでしたが、治安の強化も課題の一つです。アメリカから流れてきた青少年のマラスという凶悪集団の勢力が活発化していて、各国大統領が強硬手段で検挙していますが、一朝一夕に片付く問題ではありません。治安の問題は、日本企業進出や観光にも大きな影響を与えるので、出来るだけ早く解決していかなければなりません。日本は、警察の強化や指紋のデータベース化を支援していますが、日本の援助で解決できる問題ではないので、中米側の頑張りも期待しています。

 日本では、中南米に対する開発援助の関心が相対的に低下しています。従来はアジア重視でしたが、経済指標や、欧米主導のG8サミットや、メディアの影響もあり、近年の開発援助のトレンドはアフリカ中心になってきました。中南米はある程度の発展水準に達しているため、災害は別として援助は必要ないと思われがちなので、依然として開発ニーズがあることを引き続きアピールしていくことが重要です。

 ODAに対する目が厳しく、パイが決まっている中で、何が国益に適うのか、どのようにすれば効率的になるかを、外務省全体として取り組んでいかなければなりません。(日本の責任というわけではないのですが、)これまで何十年も援助をしてきて、現地のガバナンスなどの現状を顧みて、援助が効果を上げていると言い難い地域がないわけではありません。中米に関しては、援助効果がしっかりと上がっているので、無駄にお金を使っていないことは自負しています。ニーズに適った国際社会の支援だけでなく、彼らの自助努力もあったので、現在は民主的な政権が成り立ち、悲惨な民族紛争もありません。主として原住民の貧困問題の解決は引き続き課題ですが、総じて中米では、効果的で効率的な援助ができているということを強調していくことも重要だと思います。


― 中谷さん、どうもありがとうございました。

《編集後記》

中米で実施されている広域協力は、各国の成功例を地域で共有しようという取り組みで、成果を上げるためのノウハウが広く活用されることはとても効果的だと感じました。もちろん必ずしもある国で成功したことが他国で成功するとは限りませんが、その成功分野の専門家が経験国から派遣されれば、自助努力の促進や域内の協力体制の強化も期待でき、またドナー側もコーディネーターに徹してコストを削減できると思います。地域統合が進んでお互いが助け合う、技術を高めあう、という相乗効果を日本としても積極的にバックアップしていければいいと思います。(大島)

1980年代から1990年代の前半に比べると、中米は、政治的にも経済的にも安定し、着実に成長を遂げています。親日的な中米8カ国がまとまり、国際的に発言力が増す中で、日本にとって中米は非常に頼もしく、力強いパートナーであります。そして何よりも、日本の援助の実績が、政府だけでなく、一般市民にも伝わり、それが、今日の良好な日・中米関係の構築に大いに貢献していることは、貴重な遺産であると思います。中谷さん同様、このような日本と中米の関係を多くの日本人に理解していただきたいと切に思います。(舩串)

December 14, 2005 / Chie Oshima, Tomoe Funakushi