環境や開発の分野でご活躍されている方々からお話をお伺いし、その分野でのご経験や専門知識を共有する事を目指します。毎回様々な分野の方々から多様な形式でお話をお伺いする予定です。 第3回目: 松本真輔様 (英国サルフォード大学 環境保全学科 修士課程) 第2回目: 鈴木唯之様 (独立行政法人・国際協力機構) 第1回目: 石井幸造様 (財団法人・国際開発センター) インタビューに関するご意見・ご感想は devforum.environment@gmail.com までよろしくお願い致します。 |
第3回目: 松本真輔様 (英国サルフォード大学 環境保全学科 修士課程) インタビュー第三回目には 日本で民間企業、コスタリカで青年海外協力隊の経験をされ、現在イギリス大学院にて環境保全を研究されている松本真輔様のお話をお伺いしました。
1. 今までの経歴について簡単にお聞かせ下さい
滋賀大学教育学部環境情報学科卒業。
環境に興味を持った一番の要因は1995年に起こった阪神・淡路大震災だと思います。当時、高校生で神戸にて被災し、自然の力を思い知らされたことが一番大きかったです。また大学受験の為の勉強が嫌いで、大学では好きなことを勉強したいと思った時に興味を持ったのが「環境」というキーワードでした。
コスタリカのオスティオナル自然保護区にあるオスティオナル総合開発協会(Asociación de Desarrollo Integral de Ostional)に勤務し、環境教育教師として周辺の小学校を巡回指導するのが主な仕事でした。 修士課程のコースがスタートしたばかりでまだ研究には取り組めていない状態ですが、途上国における地球温暖化政策について研究する予定です。先進国との温室効果ガス排出権取引を上手く利用すると共に、国内の環境政策に取り組むプロジェクト支援の可能性を探っていこうと考えています。またイギリスでは環境税を含めて温室効果ガス削減対策が上手く軌道に乗っているので(既に京都議定書の目標を達成)、その点についても学べればと思っています。その内容を研究しようと考えたのは、全世界的にまだ地球温暖化対策の需要が大きいこと、また大学時代の研究内容を更に突き詰めたいという点でしょうか。それと共に、コスタリカという自然豊かな所で生活し、地球温暖化による生態系への影響を現に目にしたことも一つの理由です。 6. ご自身がこれから目指す方向性などについて教えて下さい 今までのわずかな経験ですが、それを今後も生かしていけるような方面に進みたいと思っています。出来れば実際に人と人が接する仕事が良いですね。時には真剣に、時には笑顔でコミュニケーションする大事さを忘れずに、一つでも多くの笑顔に出会える仕事が私の理想です。 今まで日本でも他国でも様々な人にお世話になってきているので、その人たちに恩返しできるように自分の能力を上げていくことが、まず私がすることだと考えています。 7. 環境や開発の分野での仕事を志す方へのメッセージがあれば教えて下さい 環境や開発といったキーワードが持つ範囲は非常に広いものです。その中で自分が得意とする分野を身に着けることは非常に重要です。しかし得意とする分野の一方向から全てを考えてしまうことは危険であり、いろいろな観点から最適な方法を見つけていくことが大事だと思います。 まずは環境や開発に対して興味を持つこと、その時点でスタートをきれています。後は、自分が何をできるか、自分の可能性は何かを考えて、小さな事でもできることから実際に行動へと移していくことが大事だと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。 <TOPに戻る> |
第2回目: 鈴木唯之様 (独立行政法人・国際協力機構) インタビュー第二回目にはJICA(独立行政法人・国際協力機構)の地球環境部環境管理グループでご活躍される鈴木唯之様のお話をお伺いしました。 1. 現在の仕事内容
国際協力機構(JICA)の地球環境部環境管理グループで、鉱害関連のプロジェクトの管理・運営をしています。内容は多肢にわたりますが、日本人専門家の人選・派遣、途上国側プロジェクト関係者の本邦研修受入れ、新規案件の調査・選定や終了する案件の評価などです。対象国も様々ですが、現在担当している国は南米と東欧諸国が多いです。
米国大学院(ペンシルバニア大学)では、「国際開発と適正技術」をテーマに開発経済、プロジェクトの財務・経済・社会分析、国際的環境問題 (オゾン層破壊、地球温暖化)を中心に勉強しました。現場の経験がなかった私は、在学中の夏・冬休みを利用して途上国を訪問し、自分の目で現場社会を見るように 心がけました。また、バンコクにある国連UNESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)において、数ヶ月間インターン(リサーチ・アシスタント)をする機会にも 恵まれ、国連の仕事を経験しながら北部や南部の貧困地域を廻りました。これらの経験を通じて、「途上国支援活動」に携わりたいという希望が、私の心の中でふつふつ と湧き上がってきているのを感じていました。
実施プロジェクトの相手国関係者や住民が外国援助に依存することなく、自分たちの問題として意識し、プロジェクト終了後も自立に向けて努力している姿を見たときですね。彼らの意識の変化と成長の変化に、言葉では表し難いやり甲斐を感じます。少しづつではあるのですが、私たちの支援が相手国の人造り・国造りに役立っていることが実感できたとき、最大のやり甲斐を感じますね。
前述したとおり、関係者が多く、また大きな組織で働いていますので自分の思い通りになることばかりではありません。仕事の「難しさ」とは、「面白味」であると思います。苦労は全て自分の肥やしになりますからね。苦労は買ってでもしましょう(ちょっと偉そうに!?)。。 6. 開発支援分野の仕事を志す方へのメッセージなど
目をつぶって、自分の10年後をイメージしてみてください。どのような場でどのような仕事をしている自分が現れますか?そこに現れた自分は活き活きと活躍していますか?そんな自分がイメージできたら、あとはそうなるためにどうすればよいかの方法を探すだけだと思います。能力のある皆さんには、沢山の選択肢が考えられると思いますが、実際に組織内部の人に会ってみて、目標が共有でき、目標に邁進している活気を感じたら、きっとそこがあなたの居場所だと思います。
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第1回目: 石井幸造様 (財団法人国際開発センター) 環境ネットワーク・インタビュー第一回目には財団法人日本国際センターの石井幸造様から石井様のキャリアを中心としてお話をお伺いしました。 1. 現在の仕事内容
主に国際協力機構(JICA)から受託した開発途上国の特定地域の総合開発計画策定調査調査に、環境関連や社会保障、教育等の担当団員として従事。その他、外務省からの受託した援助政策や援助評価に関する調査にも従事。
大学時代の友人数名が青年海外協力隊として開発途上国で活動していた影響も受け、国際協力に携わりたいと考えるようになり、米国大学院に留学。日本を基盤に国際協力業務に従事したいと考えていたことから、大学院修了後に日本における開発・国際協力分野専門の総合的なシンクタンクである(財)国際開発センター(IDCJ)の研究職に応募。国際協力の分野における経験がないことが大きなネックになることは重々承知していたが、幸いにもインターンとして採用されることとなり、同センターに入職するに至った(インターンといっても職務内容は通常の研究員とほぼ同じであり、海外での現地調査の機会も与えられる)。約9ヶ月のインターン期間を経て、正規の研究員として採用されることとなった。
ODAによる調査・研究の対象分野は環境分野のみならず多岐にわたることから、現在の職場では必ずしも自分の専門分野である環境/資源管理に関する業務だけに従事するというわけにはいかない。これは他の民間コンサルタント企業でも同じであると思われる。よって、留学における専攻にプラスして、専門の地域/国を持ち、その地域/国についての幅広い知識を持つことが、国際協力に係る業界での就職を有利にするとともに、業務の遂行にも役立つのではなかろうか。また、海外滞在中は難しいが、機会があれば日本において実施されている開発関連の様々な研修やセミナーに積極的に参加し、開発や国際協力に関する知識を深めることも重要かと思われる。
現地の政府関係者との協力に基づき調査を進めるケースが多く、現地住民との意見交換を行う機会が比較的少ないため、自身の調査結果が現地のニーズに本当に合致しているのか見極めが難しいと感じることがある。
国際協力の分野はこれまでのハード中心からソフト中心へと移行している。また、ODAプロジェクトでは、環境や社会面での配慮がこれまで以上に重視される傾向にあることから、環境社会配慮に関する業務は今後も引き続き需要が多くあると思われる。 <TOPに戻る> |