2003年8月5日BBL概要

日本の大学による国際協力を如何に推進すべきか

8月5日、ワシントンDC開発フォーラムBBL「日本の大学による国際協力を如何に推進すべきか」が約20名の出席を得て開催されました。

冒頭に小山内優氏(「国際開発協力サポートセンター」プロジェクトリーダー)より、同センターの経緯・活動内容・今後の方向性について説明と問題提起を行った後、最近の海外から日本への留学生の動向についても紹介がありました。

これを受けて、日本の大学による国際協力を今後推進していく上で、(イ)学内の理解不足、(ロ)学内体制整備不足、(ハ)学内事務能力不足、(ニ)情報不足、(ホ)国外でのPR不足など様々なハードルをどのようにして乗り越えるべきか、特に、国内援助機関からのプロジェクト受託で満足し、世銀や国連など国際援助機関からのプロジェクト受託まで至らないというリスクをどうすれば回避できるのかといった課題について、様々な議論が行われました。

【冒頭プレゼンテーション(小山内優氏)】

1.はじめに

私は、文部科学省の国際協力政策室長として国際教育協力懇談会の構想・立ち上げまで担当した。それ以前は、98年まで留学生関係の仕事をしていた。最近までは国際交流官も務めていた。従来は、文部省・科学技術庁ともODAとは比較的疎遠であった。1990年代半ば頃までは、開発機関・開発金融機関との協力もそれほどなく、前向きな動きは最近数年のことである。大学でも国際開発協力に関心の高い先生は熱心だが、全体としてはこれからである。

本年7月18日に「国際開発協力サポートセンター」の開所式を行い、中根千枝先生JBIC総裁を招いて説明した際の説明資料を配布した。
http://www.developmentforum.org/records/material/030805support.ppt
同センターが途上国に向けてどのようなツールを持っているのかという観点から説明と問題提起を行うとともに、留学生の問題についても併せ説明したい。


2.大学としての開発協力

大学の教員個人ベースではなく、大学が組織として開発関係機関と契約ベースで協力することは大きな課題である。これは、国際教育協力懇談会の最終提言に盛り込まれたものである。大学が組織として責任を持って、有償で協力を行うことが大切である。そして、大学として、人文系・社会系も含めた分野で国際競争力を持つことが重要である。日本の大学には、実践を通じて人材を開発するという点で弱点があり、そこを何とかしなければならない。また、もう少しわが国の知的資源を活用する必要があると考えており、大学が関係することによって、日本人が開発分野に進出することが重要である。


3.国際開発協力サポートセンター

(1)大学による開発協力を支援するために、政策研究大学院大学にポストと部屋をもらい、文部科学省から直接資金を得て「国際開発協力サポートセンター」を作った。国立大学には、既に開発に関する分野別センターとして5大学・6センターがあり、JICAとの協力等を通じて知恵出しを行っている。このようなところと相談しつつ、推進していきたい。まず口火を切ってセンターを立ち上げ、開発に参加する雰囲気を盛り上げるのが役割と考えている。

(2)目標は、プロジェクトの受託である。特に、海外の機関、世銀やアジア開銀(ADB)、米州開銀(IDB)、欧州復興開発銀行(EBRD)等から受託できれば良い。単独でできなくとも、外国の大学等と協力して参画していくことにも意義がある。ベンチャー企業のようなものなので、多くの障害、いわば「デスバレー」を乗り越えていかなければならないだろう。国内大学を段階的にレベルアップするための段階を3フェーズ5段階に分けると、現在ほとんどの大学は3フェーズ(配布資料5頁)のうち第1フェーズ(個人又は組織対応で国内援助機関からの委嘱)にある。プロジェクトに関係している大学は少ない。強いていえば草の根で、JICAから委託を受ける大学が多少ある。国のお金で運営している大学が国のお金で運営しているJICAより報酬を受けていいのか等の会計上の問題も議論されたが、結局は実施している。

(3)(配布資料5頁の一番右端に記したが)ハードルとして、(イ)学内の理解不足、(ロ)学内体制整備不足、(ハ)学内事務能力不足、(ニ)情報不足、(ホ)国外でのPR不足を掲げている。このような問題・障害を乗り越えていく必要がある。現在までに、世銀東京事務所、アジア開銀東京事務所と連絡してセミナーを開催している。


4.日本の留学生受け入れ

(1)日本への留学生受け入れ全体像

日本の留学生受け入れは、毎年5月1日時点での瞬間のストックで計っているが、今年10万人を超えた。1983年中曽根内閣の際に日本への留学生が21世紀はじめまでに10万人を超えるようにしようと提案し、1999年の段階では達成できなかったが、今年達成した。10万人という数字を出したのは牛尾治朗氏であった。日本の大学の体質を変えるということで、当時牛尾氏が総理と話し、10万人という数字になったという経緯があると承知している。

専門学校留学ブームが中国・韓国であったので、留学生が一時増えたが、入管が厳格になったので留学生増加が一時とまり、最近また緩めたので増加した。何故上向いたかといえば、入管行政の変化によるものだと思う。それまでは日本へ留学するのに保証人が必要であった。また、アルバイトが平成4、5年まで1日4時間しかできなかった。これを週28時間にならそうという規制緩和を実施した。要は、留学生に関する入管上の制度を直したのが増加している理由である。しかし、増えているのは中国からの留学生で、他の国は増えておらず、減っている国も多い。つまり、広く国際的に日本の大学の人気が上がっているわけではない。

日本人学生等の留学地域別人数については、留学生受入国が調査し、その数字をユネスコで取りまとめた資料からわかる。それによれば、圧倒的に北米が多いが、中国には1万人以上行っている。欧州は調査数を学生ビザで確認するので、ドイツの数字が多いが、これは国籍要件が厳格できちんと調べている国の数字が多くなることの反映だと思う。なお、アジアも多いが、アジアといっても中国がほとんどである。

(2)分野別・地域別・プログラム別日本への留学生受け入れ

日本への留学生受け入れをミクロに見ると、地方の国立大学が比較的入りやすいが、東京など都市部への留学希望が目立つ。地方はアルバイト等のお金を稼ぐ場所が少ないからである。

日本への留学生のうち、3年間で博士課程の学位がとれたのは理科系では64%あるが、文科系では26%しかない。文学系の博士課程を取った留学生はゼロに近い。

昨年から、日本への留学生のための日本留学試験という統一試験を行っている。日本語能力試験は国際交流基金により世界中で受けられるが、これは日本語の国語的要素が大きい。一部の日本の大学では、海外で試験を受けて海外で入学許可が得られるということがようやく可能になってきた。また大学院留学生のため英語で教える特別コースがある。これは、古くは昭和56−57年から東京大学の都市工学科や京都大学の土木学科にあったが、最近は他の大学、分野でも増えている。

短期留学は、大学間の学生交流のために行っている。人数もそれほど多くはないが、日本の学生を外国の大学への派遣するためにも、600人分ほど奨学金を出している。ただし、なかなか国費が出ないので、途上国などなかなか行かないところのみを対象としている。また大学間交流協定についても、途上国の大学と結ぶ大学が増えてきた。

国費留学生については研究留学生が多い。ヤングリーダーズプログラムとして、留学生が1年でマスターを取得できるプログラムがある。5大学が5コースを受け持っており、行政コースを政策研究大学院大学でやっている。留学生への待遇をよくしているが、彼らのレベルがもっと上がればよい。

日本への国費留学生にも、大使館推薦がある。しかしこれは各国大使館ごとにレベルが違っており、例えばフランスなどレベルが高く、候補者がきめ打ちで「大阪大学のレーザー核融合をやりたい」といった希望を面接時に出してくる。他方、途上国からの留学生のレベルは玉石混交になる。これに対し一部の大学からは不満があり、大学推薦を増やして欲しいという声がある。その一方で、大使館からは、大使館推薦枠を増やして欲しいという声がある。

日本留学の準備教育は、主にマレーシアとインドネシアで、JBICを通してやっている。円借款としてお金を借りてこのような事業をする国はこの両国位であると思う。現在は、大学1年生まで現地で学び、2年生から日本の大学に編入するとのアレンジもある。そのように配慮しないと、日本の大学の競争力がなくなってしまう。途上国側からすれば、このような配慮は外貨流出が減るので歓迎である。米国大学も以前は20大学ほど日本に来たが、そのうち17大学は撤退した。このような経験を教訓にしつつ、マレーシアとインドネシアで工夫し頑張っている。


【席上の意見交換】

1.国内の大学による国際協力の受託を促進するため、組織として支援するのは大事だが、国際協力の内容(contents)がどうなるかが重要なポイントだと思う。組織として支援すると同時に、いかに国際協力のプロジェクトが学術的な観点から面白いものとなるのかという観点から、研究者の嗅覚を使って関心を引き寄せるようなインセンティブを与えることが重要ではないか。

そのような点から考えると、自然科学、工学では研究室単位なので対応しやすいが、社会科学は基本的に各研究者が自営業として、個人の研究テーマ、研究プロジェクトをやっている。どのようにグループとして巻き込むかを戦略上明確にする必要がある。

また、日本への留学生について、社会科学と人文科学を合わせて50%になるということであるが、日本の社会科学を勉強したいので留学に来ているのか。国費留学生は別かもしれないが、社会科学をやっている人を利用して何らかのことが出来ないか。

→(小山内)大学の関係者からも相談を受けている中で、学問により仕事の仕方が違う。考古学なら発掘調査など集団的アプローチが出来るが、社会学や文化人類学は一匹狼で仕事をしており、大学当局が何を言っても先生方はなかなか言うことをきかない。このような分野では、大学が組織として協力するのは難しいのかなと思う。

社会科学の留学生が意外に多いという点について、国立大学なら自然科学系がやりやすいが、投資も吸収能力も限界があるので、どうしても社会科学系になる。ただし、日本の経済力に漠たる魅力を感じてくるから来るという面もあると思う。


2.大学による国際協力に、フェーズ1(国内援助機関からの委嘱)、2(国内援助機関からのプロジェクト受託)、3(国際援助機関からのプロジェクト受託)とある中で、いかにフェーズ2・3を近づけるかが鍵である。国内援助機関からの契約をもらい、それを国際に結びつけるということだが、2で満足すると3まで広がらない。一種の独占力を持って、日本の国内プロジェクト市場で満足し、世銀や国連まで手が広がらない。開発コンサルタントにも同様の状況があるのではないか。2と3を分けることで溝を作る危険性がある。


3.国内のフェーズを経ることにより、コンサルタントはJICAやJBICに特化して、結果として世銀や国連に行かなかったということを重く受け止めて同じ過ちを踏まないようにした方が良い。コンサルタントの中には、JICAの仕事のやり方になれて、マルチに行く道を失ってしまった人もいる。

→(小山内)民間コンサルタント企業との関連について、東京でもソフト・コンサルタントと話す機会を持ったが、一部の人たちは、この狭い業界の小さなパイを食い合おうというのではないかという警戒感を持っている。そのようなつもりではなく、目標はその先であると言っている。また、大学の先生と組みやすくなったということで、むしろチャンスと捉えているコンサルタント企業も半分ほどある。実際、狭いパイを食い合うようなことはしてほしくない。国内から始める場合は多くなるとは思うが、例えば「提案型協力」については競争倍率が極めて高く、金額もたいして大きくないということなので、大学の体制を整えるという一里塚として意味があるが、終着点にはならないと思う。


4.世銀から見れば、日本の大学関係者がコンサルタントで雇われる例は少ない。これに対しては、(1)全体としての教員の人材育成、(2)、大学生の国際化への協力、(3)留学生の日本への受け入れによる知的支援の3つの点から取り組んでほしい。

第一の点について、大学の中で、コンサルタントとして仕事ができる人を増やしてほしい。特に大学の先生の中から、人材として世銀の仕事に協力してくれる人をどうやって探すかがポイントである。現段階では必ずしもそれを奨励するようなシステムになっていないが、改革を期待している。今のところ、大学での仕事のかたわら、2−3ヶ月世銀で仕事するような環境になっておらず、大学当局もそのような仕事を評価していない。また、国際機関での仕事にもなれていない。プレゼンテーションが出来るか、議論が英語でできるかといえば、実際には出来る人が少ない。技術論としてのコミュニケーション方法等について、センターとしてどのように支援するのか。

第三の点について、私は日本の大学院の開発関連コースで集中講義を持っており、学生の半分は海外からの留学生だが、非常にレベルが高く、学ぶ心が非常に強く、飲み込みが早い。これに対して、日本人の学生のほうが、修士の1年生ということで意識が低い。先生とも議論が出来ず、英語でやっているので議論に入ってこられない。基本的なレベルの向上が必要である。

なお、授業は双方向・インターアクティブで参加できるようにするなど、教育内容・手法は、大学生のニーズに合わせてよく考えていく必要がある。


5.社会科学の場合には、この大学による国際協力の仕組みはどのように動くのか。例えば、金融分野のコンサルタントについては、この人が優秀だからということで選んでいる。しかし、交渉するときには、有給休暇をどうとるかなど、都合をつけて一本釣り(ピンポイントで人を指名すること)などしている。今般、このセンターが立ち上げられたことにより、教員がより公認された大学プロジェクトとして仕立て上げられるのではないか。しかし、報酬の面では大学の先生個人だと一日数万円になるが、コンサルタントに頼むと月数百万円になる。大学が組織として受注した場合、同様のことが生じるのか。個人から大学に移行すれば、どのようなメリットが生じるのか。例えば、あるプロジェクトをサックス教授に委託するのは、ハーバード大学だからでなくサックス教授だからやっている。

→(小山内)これからも評価業務などは必ず残るので、公ベースの仕事のやり方は残る。しかし、大学として契約ベースでやるということを進めたい。また一本釣り方法は形として残す。他方、契約ベースにすると、間接経費、人件費など、競合する民間コンサルタントとの関係も考える必要がある。

一本釣りの場合、報酬は個人に払うが、大学の業務のサイドワークとしてやるので兼業で講義の合間を縫って大学に迷惑がかからないようにする。しかし、講義が優先するので制約される。しかし、大学が契約すると、特定の先生に指名は出来る。ただし、大学は得たお金で非常勤で代理講義をする教員を雇うことなどができる。もちろん、間接経費も必要だが。事務経費もかかる。まじめに計算すればそれなりに経費が必要だが、実際にどこまでチャージするかはわからない。(席上から、大学への支払いは個人への支払いの10倍が標準との発言あり。)


6.大学の国際協力のフェーズ毎の対応について、国外でのPR不足、情報不足が懸念として上げられているが、まさしくこのような問題は実際に発生するので、当初の計画立案の段階で十分に対策を考えるべきではないか。現時点でのマーケティング、PR戦略を聞きたい。


7.コンソーシアムを形成することについて、学際的・横断的なチームとして活動することに慣れていない教員も多いと思うが、日本がコンサルタントとして受注するのであれば、大学の教授もマルチセクターのアプローチの一端を担うという形もあり得るのではないか。

→(小山内)コンソーシアムについては、学会単位でしか動かない人たちもいるので、どうするかが課題である。ただし、今来年度ようやく国立大学が法人格をとり始めるという前向きな動きもあり、知恵を借りながら取り組んで生きたい。


8.サポートセンターは、国内に基盤は重要だがワシントンに出先を置くかという課題がある。欧米企業との競争力を考えれば、出遅れの原因はこちらで出入りしている人がいないということである。欧米のコンサルタントには、世銀のパスを持っていて、タスクマネージャーのデスクを回り、顔見知りになって、フォーマルな情報以外にも、秘密ではないが忙しくてたまたま出していない情報を入手している。日本の民間企業は、プロジェクトが受注できるかわからないので、先行投資はできないという判断で、そのようなことをやっていない。国として、そのような先行投資を担うことはできないのか。

→(小山内)ワシントンへの出先機関を作るということは是非考えたい。オハイオ州立大学に、中部のビッグテンの大学のプロポーザル書きをやるオフィスがあったが、ここにくる前にそこで働いていた人から話を聞いたところ、案件について公示される前に決着がついているとのことである。交流先の大学を使いながら、途上国政府にアプローチをかけて内諾をとった上で、楽勝でプロポーザルを書いている。そのようなことをやるには出先の営業活動が必要であろう。

9.出先がいても役立たないのではないか。やはり本当に受注をとる人に世界を駆け回ってもらうのが必要である。自らプロジェクト形成できる能力を持った人が仲介者になる必要がある。待っていては受注はできない。


10.留学生について、サポートセンターと留学生の関係強化も重要である。
政府のある程度以上の職員であれば、関係構築やプロジェクト受注のよいコンタクトポイントになる。


11.国立大学の中にいる人間からすると、大学当局から言われればやるが、大学では、ご存知と思うが強烈なゼロサムの世界で、人も部屋も増えない。金はあるがモノを買っておく場所はない。申請書を書けということになれば、先生の研究時間が減る。ゼロサムになるので、何を削ればよいか教えてほしいくらいである。

そのような中で、誰がこのような話に飛びつくかというと、国際競争力や国内競争力を失いつつある、例えば土木・建設・船舶・教育などの分野である。従って、国際協力を推進することは、現在の大学のリストラにマイナスにはたらく。リストラされるべきところに飛びつかれると、大学当局としては如何ともしがたくなるのではないか。自分の属する法律分野などでは、国際協力を進めることは難しいと思う。(これに対し、日本に言った際、法律分野でも、途上国の法律を書きたいという先生がおり、一般にはニーズがあるとの意見あり。)

→(小山内)例えば授業を大講座制にすると、全体として必ず1人くらいの余裕ができるので、なんとか人を回せる。また、東大の先端研や阪大のフロンティアセンターでは科学技術振興調整費をもらい、公務員の外で「特任教授」として1人2人雇っている。そのような形でゼロサムを超えるような工夫をしないと永続性がないと思っている。

例えば、特許権ビジネスに関係するところは人を増やしてやっている。それに関わらない分野は放っておいても肩身が狭くなる。ましてや教育は子供が減っているので頑張ってほしい。教育学部もこのままでは減るが、教育開発で頑張る人が増えればよい。

→(船守)事務負担が増えるが、来年度になると、自分たちで切り盛りできるというのがポイントなので、大学でも国際協力専門の人を雇うということが出来てくる。大体大学では一人月300万円で雇える。

また、今回のサポートセンターのプロジェクトは、各大学に国際協力に取り組むようお願いするものでなない。やりたい大学があればサポートするということである。ロースクールや技術マネジメント大学院(MOT)や特許など、「文部科学省のお達し」に対して大学としては余計なことをやらされているという不満は聞いているが、やりたくないところに無理やりやってもらうということではない。(これに対し、現場では、義務になって振ってくる。この10年で独立行政法人化などの改革で、教員の実力自体のレベルが下がっており、かつ伸ばす機会が与えられないと感じている。10年ほど休ませてほしいとの意見あり。)


12.現在の大学組織のマネジメント能力の不足を前提とすれば、大学組織を一から強化することと並行して、大学教員の「一本釣り」を如何にやりやすくするのかを考えることも重要である。大学が組織として受注しなくとも、一般の教員が、普段の業務から離れて協力に力に注げるよう、柔軟に対応できる制度を考えるべきではないか。

そのためには情報発信が大切である。ウェブサイトの立ち上げ(まだサポートセンターのウェブサイトが無い)、世銀とのネットワーキング(ウェブサイト上で情報共有しないとマーケティングできない)、成功例を見せるなどの工夫は有益である。単発の成功例を集めて本を作ったり、ウェブサイトで発信したりしてPRしてはどうか。


13.サポートセンターの意義は認めるが、日本の大学が世界的視野でどのような意味で魅力ある大学になるのか、世界の中でわれわれは何ができるのかという「夢」があって、そこに確たる有益なものがあれば、開発協力に特化した形でのサポートセンターのようなものは、ほとんど必要がないと思う。今回はそのような「開発協力」という「小宇宙」に特化した議論をしたが、枠を取り払った議論をした上で、この「小宇宙」の議論をしないと、器を作ったのはいいけど大丈夫かという話になる。大学の延命措置に寄与するだけでは元気の出る議論にならない。せめて、東京大学など世界のベストランキングに入ってほしいし、何をすべきか、それ以上にすべきでないのかを考えてほしい。

以上の諸点をはじめ、日本として取り組むべき課題や、議論を聞いての感想など、短いものでも結構ですのでinfo@developmentforum.orgまでご意見をいただければ幸いです。

Top