2003年1月9日BBL概要

途上国の金融市場整備の現状と課題
-持続可能な開発資金調達のために-


1月9日、ワシントンDC開発フォーラムBBL「途上国の金融市場整備の現状と課題:持続可能な開発資金調達のために」が、約25名の出席を得て行われました。

冒頭、遠藤格(ただし)氏より、「経済開発と資本市場育成:『開発』金融学はあるのか?」と題したパワーポイント資料を用いて、次の2点を中心にプレゼンテーションが行われました。
(1)開発途上国に資本市場は何故必要か?
→開発途上国の資本市場育成は、経済援助の完結を目指して、経済開発を持続させるため(一過性資金である援助から持続的資金である投資への移行)、そして銀行システムへの負担軽減・財政と金融システムの健全化のために重要である。
(2)先進国は開発途上国の手本か?
→開発途上国は資本市場育成に「小さすぎる、貧しすぎる」とは限らない。市場育成政策を開発途上国の実情に合わせればその効果は期待できる。国際資本市場が満たせない地場ニーズの充足や、地場選好心理(local preference, home country bias)への対応等に配慮した、内外資本の役割分担(外資は直接投資、国内資本は銀行預金、資本市場)や、投資単価引き下げ、市場育成のための幅広い費用負担等が考えられる。

これを受けて、次のような論点につき活発な議論が行われました。
(イ)途上国内の大きな所得格差が資本市場育成にどう影響するか。
(ロ)途上国における国債発行は一般の債券市場整備の基盤となるか。
(ハ)同族経営の銀行から企業への融資は資本市場育成にどう影響するか。
(ニ)資本市場という直接金融でなく、銀行による間接金融の整備という方途も有効ではないか。
(ホ)資本市場導入はどの国で成功したか。
   (→米国の考えを丸呑みせず、注意して受容することが重要。)
(ヘ)リジョナルな資本市場育成は成功するか。
   (→まずは通貨統合が必要。)
(ト)途上国からの「ベストなシステムを入れてほしい」との要望に対し、各途上国に合った制度の導入をどのように勧めるのか。

以上の諸点をはじめ、日本として取り組むべき課題や、議論を聞いての感想など、短いものでも結構ですのでinfo@developmentforum.orgまでご意見をいただければ幸いです。

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