ワシントンDC開発フォーラム

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PRSPプロセスの改善に向けて−本フォーラムでの議論を総括する−

 2002年7月31日、ワシントンDCにて、政府、実施機関、世銀グループ・米州開銀・IMF、企業、NGO、シンクタンク・大学、メディア等の経済協力関係者約25名が、PRSP(貧困削減戦略ペーパー)プロセスの改善について、昼食を交え個人の資格で意見交換を行ったところ、概要次の通り。

【ポイント】

  1.  PRSPとは「開発に向けたより良いアプローチの模索プロセス」であり、経験の蓄積や議論の進展に応じて発展していくプロセス(evolving process)である。我々(日本)は、狭義の貧困削減に囚われることなく、より良いアプローチの模索プロセスとしてPRSPと接し、そこから学び、可能であれば貢献していくことが重要である。
  2. 開発における貧困削減、経済成長の関係は十分に解明されていない。現時点では、低所得国の開発政策には、良好な投資環境の整備と、貧困層への投資・能力付与(エンパワメント)の2点が重要な要素となるというのが一般的な理解である。維持可能な貧困削減には持続的成長が不可欠であること、及び、成長の際には貧困層が成長に参加することが重要であることに異論はない。ただし、貧困層への投資・能力付与が成長に資するという点は実証されていない。
  3. 初期のPRSPはHIPCイニシアティブ適用国という特殊な条件下にある国が主体であったが、他のIDA融資適格国については、各国の置かれた状況に応じて、PRSPの果たす役割や、結果として得られる開発戦略は異なって当然である。対象国の発展段階毎にPRSPの役割・有効な開発戦略を整理してみるのは有益だろう。
  4. 低所得国が採り得る政策オプションを羅列しても開発戦略にはならない。当該国が直面する制約要件−ファイナンス上の制約、人的・制度的キャパシティの制約、貿易・投資環境の制約等−の範囲内で、優先順位に基づき政策を選択し、実施順番を決定していくことが重要である。国際社会には、この判断に必要な、政策のコスト分析や貧困・社会に与える影響の分析等の研究を早急に進める責任がある。


冒頭プレゼンテーション担当:緒方 健太郎(おがた・けんたろう)――――――――――――
1969年東京都生まれ。1992年東京大学法学部卒業、同年大蔵省入省。メリーランド大学MBA、主税局国際租税課、財務官室、国際局開発政策課(パリクラブ担当)を経て、現在IMF財政局勤務。(プレゼンテーション内容は発表者個人の見解であり、所属先、ワシントンDC開発フォーラムの立場を述べたものではない。)

【冒頭プレゼンテーション】

 本フォーラムの色々な局面において、PRSPに関し様々な視点から議論がなされてきたが、これについて私なりの視点でまとめてみた。この作業において私なりに疑問に感じた点や気付いた点について、若干の私見もお話したい。これらが、今後の本フォーラムの議論の活性化に資することとなれば幸いである。

1.総論:PRSPとは何か

  1. PRSPが何であったかは重要ではない

 PRSPを議論するに当たっては、まず、PRSPとは何であるかを考える必要がある。この際、もちろん、PRSPとはそもそも何であったのか、何を目的としていたのか、を究明することはそれ自体無意味ではない。しかしながら、本フォーラムでの議論、国際社会における他の多くの議論を観察してみると、PRSPの目的は何であると考えるかは、個々人、組織や国によって、さらには議論の進展に応じて時間とともに変化していると見るべきだと思われる。硬直的な運用等、多くの批判を受ける世銀自身ですら、PRSPをmoving targetであるとか、evolving processと呼んでいるとのことであり、経験の蓄積や議論の進展に応じて軌道修正するのは必至であろう。

 そう考えると、PRSPが何であったかは重要ではない。3年後に予定されている再レビューの段階で、現在までの2年余の経験及び今後3年の経験を踏まえ、PRSPが何になっているかを見据えていくことが重要であろう。そこで、PRSPとは「開発に向けたより良いアプローチの模索プロセス」であると捉え直してみてはどうだろうか。ただし、もちろん、PRSPは闇雲な模索を行うプロセスではなく、より良いアプローチが備えているであろう要素について、一定の作業仮説を置いて模索を行うプロセスである。すなわち、「より良いアプローチ」が何になるにせよ、貧困削減への適切な配慮、広範な参加プロセス、オーナーシップといった要素を含むであろうという作業仮説である。

(2)我々は何をすべきか

 若干結論の先取りにもなるが、PRSPに対して我々(日本)は何をすべきか、という点に関し、現在までに出されてきた意見を簡単にまとめてみたい。様々な視点から多くの意見が出されてきたが、概ね、(イ)防御的な対応、(ロ)自己改革的な対応、そして(ハ)攻撃的な対応(積極的関与)というモードに分類できると考える。

(イ)防御編

 防御的な対応としてまず挙げられるのが、「PRSPショック」やより直接的には「貧困削減ショック」に負けるべきではないという点である。開発問題にはsilver bulletは無く、被援助国や援助国・機関毎の多様性は維持されるべきである。そうであれば、PRSP(貧困削減)を画一的に適用しようとする潮流に流されてはいけない。一方、PRSPが「より良いアプローチの模索プロセス」だと漠然と理解されているとすれば、「我が国はPRSPとは別に独自に援助する」と言えば、「より良いアプローチの模索とは別枠で援助」と翻訳されてしまう。したがって、自らの軸足をしっかり定めつつ、我が国自身の開発援助にPRSPというラベルを貼るプレゼンテーション上の対応が重要であろう。

(ロ)自己改革編

 「防御」といっても、我が国の開発援助が絶対最良であるわけではない。PRSPが無くとも様々な改革が必要であったであろうし、たとえ実施時に最良であったとしても時代の変遷や状況の変化に応じて不断に見直されるべきものである。従って、PRSPという模索プロセスの過程で得られる様々な知見から学習し、不断の見直し・改善に資するという姿勢が重要である。例えば、貧困への理解や、社会改革とマクロ政策の関係、貧困削減と成長の関係等について蓄積された経験や集約された知見から学ぶものがあろう。また、PRSPの時代は前述のように「バイ援助は独自に」という姿勢が評価されにくい時代なのであるから、ドナー協調等についても改善していく必要があろう。

(ハ)攻撃編

 更に進んで、PRSPプロセスに一層積極的に関与し、貢献していくべきだという意見もある。これには、大きく分けてPRSPの枠組みへの貢献と、PRSPという枠組みに対応する中身への貢献があり得る。特に、枠組みへの貢献として、後述するように、我が国は、画一的な処方箋ではない各国の状況に応じた柔軟なテーラーメイドの処方箋への必要性を理解し、そのようなアプローチを(影響力を持って)支持できると考えられ、そのことをもってPRSPプロセスに貢献していくことが可能なのではないか。また、中身への貢献としては、東アジアの開発経験の共有が重要である。この点についても、後述のように様々な議論がなされている。

(ニ)我々の憂鬱

 このような我々がなすべきこと、なし得ることに関連して留意すべき点や克服すべき点を3点指摘しておきたい。

 まず、本フォーラムでも多くの指摘がなされてきたように、我が国には開発援助政策・哲学が希薄で、動きの速い開発コミュニティの展開にうまく対応できないのではないかという点である。確かに、何を議論するにも、まず、「何がしたいのか」が分からずして「何をすべきか」は導けない。しかし、現実問題として、国としての大上段に振りかぶった援助政策や哲学を短期に醸成するのは至難であり、これが成されなければ他は議論できないとなれば前に進めない。

 次に、PRSPとMDGの微妙な関係がある。PRSPはMDGを達成するツールであり、個々のPRSPにはMDG達成に向けた視点が必要であると言われている。これ自体はその通りだが、対象国に違いがあることに留意しておく必要がある。すなわち、MDGは全世界を対象としている一方で、PRSPは譲許的融資を受ける国のみを対象としている。このようなMDGとPRSPの狭間に落ちるものに、対中所得国援助がある。たとえば、多数の貧困層を抱えるインドや中国の問題にどう対処するのか、また、我が国との関連で言えばODA上位国である中国・インドネシアへの開発戦略はどうあるべきか、といった問題はPRSPの切り口からは答えが出ない。

 最後に、前述の問題とも関連するが、アフリカにおける開発戦略とアジアでの開発経験との関係が挙げられる。後述するように、PRSPを含め開発戦略を議論する際には、どのような状況(段階)に置かれている国を対象として議論しているのかを明確にしておかないと、議論が噛み合わない。アジアの開発経験をアフリカに適用可能かどうかを議論する際には、この視点が欠かせない。

 

2.背景:どれだけ「開発」問題は解明されたか

 「より良いアプローチの模索」の本論に入る前に、開発問題の歴史について簡単に振り返ってみたい。

(1)「開発」とは何か

 そもそも「開発」が何を指すかは常に必ずしも明確ではないが、大雑把に捉えれば以下のような変遷を辿ってきている。まず、開発が、典型的には第二次大戦後の欧州・日本のような戦後復興を指す時代があった。現在も、ポスト・コンフリクト国の復興という形でこの型の開発が残っている。そして、第二次大戦後の戦後復興が一段落ついた頃から、開発が、開発途上国の「途上」状態からの脱却を指すようになる。当初は、開発途上国の定義が低GDPであったことから、GDPの増加を意味していたが、途上国の人口急増が顕著となると、per capita GDPの増加を指すようになった。さらに、実際にper capita GDPが増加し始めると、平均値ではなく所得格差が着目され、income poverty 状態にある者の数の減少を指すようになり、そして、現在の「貧困削減」へとつながってきている。この「貧困削減」は、貧困をwell-being ではない状態と捉え、貧困のあらゆる局面(income poverty, illiteracy, poor health, insecurity of income, powerlessness等)へ総合的に対応することを求めている。

(2)「開発」問題における哲学論争

 このように「開発」概念が変遷し、認識が深まっていく過程において、様々な興味深い議論が行われてきている。しかし、この中には、議論としては興味深いが、明確に割り切った答えが出し得ないという意味で実益に乏しい、哲学論争と言うべきものもある。私なりに「哲学論争」だと考える議論について2点触れておきたい。

(イ)「開発政策」のあるべき姿

 その典型と言えるものは、「開発政策のあるべき姿」に関する論争である。すなわち、50〜60年代に主流であった、国家統制と輸入代替があるべき開発政策だとする議論と、80〜90年代に主流となった、小さな政府と自由市場こそあるべき開発政策だとする議論の対立がある。これは、その後、いずれかの政策だけでは成功しないことが認識されるようになり、制度構築(教育制度、司法・裁判制度、効率的な官僚組織、強力かつ良く統制された金融システム、十分な競争等)の重要性に軸足が移されるようになった。

 そして、99年のPRSP登場以降は、PRSPこそが開発政策のあるべき姿であるとの見方が出てきている。しかし、良く指摘されるように、PRSPはプロセスであって開発政策そのものではない。そして、PRSPが、必要な政策(国家統制・輸入代替、小さな政府・自由市場、制度構築等)のベストミックスとなれば良いが、単なるshopping list となっては開発政策としての意味はない。

(ロ)開発、成長、貧困削減

 より哲学論争的なのは、開発、成長、貧困削減の3者の関係を巡る議論である。すなわち、「成長と貧困削減を併せて開発」とするか、「貧困削減が開発であり、成長は貧困削減の手段である」とするか、「成長が開発であり、貧困削減は成長の手段である」とするか、様々な考え方がある。もちろん、3者の関係につき恒等式が存在するわけもないし、極端に割り切った議論をする者も少ないが、成長と貧困削減への軸足の置き方には論争が絶えない。

 この論争に関し、国際社会(というより世銀・IMF)の現時点での解答は、(PRSP策定国の)開発にとって、「良好な投資環境」と「貧困層への投資・エンパワメント」の2点が重要な要素である、というものである。長期的な視点から見れば、維持可能な貧困削減には持続的成長が不可欠であるという点に反対する者はなく、持続的な成長には良好な投資環境(マクロ経済の安定、貿易自由化、ガバナンス、制度構築等)が重要であろう、というのが1点目。2点目は、成長する際に貧困層が取り残されないよう貧困層が成長に参加できるようツールを付与する、という考えと、貧困層への投資・能力付与により成長が達成できるという考えからきているが、後者の関係については未だ実証されてはいない。

 

3.本論:より良い開発へのアプローチに向けて

 以上のような議論を踏まえ、それでは結局、より良い開発へのアプローチに向けて何をすれば良いのか。現在、開発に効果があると思われる政策のメニューは十分に揃っている。しかし、実行したら良さそうな政策を全て並べてみたshopping listを策定したところで戦略とは言えない。確かに全部実行できれば開発は成功するのかも知れないが、それができないからこそ開発途上国、貧困国の問題があるのではないか。より良いアプローチとするためには、当該国が直面している様々な制約要件の下で、政策間の実施の順番(シーケンシング)を吟味し、政策をどう優先順位付けしていくのかが重要であり、この視点が、現在のPRSP策定には欠けがちなのではないか。

(1)Shopping List は戦略ではない

 あり得る政策を並べたshipping listから戦略に脱皮するには何が必要か。まずは、当該国が直面する制約要件を見極めることではないか。制約要件には、ファイナンス(予算)の制約、キャパシティ(人的・制度的)の制約、貿易・投資環境(物理的・制度的)の制約等が考えられる。これらの制約要件下で実施できる政策には限りがある。また、政策は実施する順番によって効果が異なり(例えば、金融セクター改革と市場開放はどちらを先にすべきか)、更に、政策には様々なトレード・オフがある。これらを見極め、必要な政策とその実施順番を決定するのが理想的であると思われる。

 しかし、政策間の優先順位付けやシーケンシングの判断をし、適格な戦略を描くほどの知識を国際社会は有するに至っていない。PSIA(政策の貧困・社会に与えるインパクトの分析)はまだ緒についたばかりだし、政策間のリンクやトレード・オフの研究もまだまだこれからである。更に、MDGを達成するためには年間500億ドルの追加的援助が必要、とした世銀のレポートのように、ファイナンスの制約要件が解放されれば良いとするアプローチに逃避しがちである。しかし、理論的には十分に資金があればほとんどの問題は解決されるとしても、非現実的なファイナンスを云々しても意味は乏しく、現実的なファイナンスの制約の下で何が可能かを議論しなければならない。いずれにしても、PSIA等この分野の研究は、国際社会側の課題として今後とも取り組んでいかなければならない。

 とは言え、開発は現在存在する現実の問題であり、これらの研究が完成するまで待つわけにはいかない。したがって、有効性や波及効果がはっきりと分からなくとも、できるところからやるしかない。ただし、現在でも可能なこととして、まず、制約要件のアセスメントを出発点とするべきである。そして、最低限、制約要件が類似している国毎、すなわち発展段階毎の対応が整理されても良いのではないか。

(2)発展段階毎の整理

 発展段階毎の整理には様々な切り口があり得、本フォーラムでもいろいろと議論されてきていると思う。特に、朽木氏が(本年2月の「CDF・PRSPを越えて−開発戦略における日本の付加価値」で)提唱された、経済政策の優先順位付けのフローチャート(社会的生活水準の達成→安定化政策→ハードとソフトのインフラ整備→経済自由化(貿易・投資・金融)→成長戦略→所得格差の是正)は非常に参考になる。

 ここでは、私なりにファイナンスの制約要件を中心に発展段階を整理したものを、あくまで例示として提示したい。なお、このような議論を行う際には、具体的にどのような国々について議論しているのかを明確にしておくことが重要である。この観点から、PRSP対象国を世銀のマニュアルを下地に一覧表にまとめたので、これを参照しながら考えていただきたい。

 

段階1:「最低限の安定」確立期

 まず、紛争当事国やポスト・コンフリクト国といった、いかなる政策を実施する際にも最低限必要な安定すら確立されていない国。これらの国は、当然にして、紛争の終了・最低限の政治的安定の確保が優先課題である。そして、これらの国に対する援助は復興支援や人道的援助に限定され、したがって、PRSPの役割もNGO等の広範な参加の確保に限定されよう。

段階2:「対外信頼」回復期

 次に、HIPC適用国(DP到達国、CP到達国)が典型であるが、対外信頼が損なわれ、近い将来において対外資金、特に民間資金の流入が期待できない国。これらの国は、いわば破産宣告若しくは禁治産者宣告を受けたようなもので、民間資金・バイの資金の流入が再び可能となるよう対外信頼を回復することが優先課題である。

 表からも分かる通り、現在PRSPを策定している国のかなりの部分がHIPC適用を契機にPRSPを策定している。これらの国のファイナンス上の制約要件を考えれば、例えば民間資金を前提とした成長戦略をすぐに実施できるわけではなく、採り得る政策オプションも限られており、PRSPの内容が貧困削減に重点を置いたものとなることは自然である。しかし、これらの制約要件を共有しない国に対し、同様のPRSPが求められるとすれば、問題であろう。

段階3:「良好な貿易・投資環境」整備

 この段階と、次の適切な成長期は、かなりの部分がオーバーラップすると考えられるが、ここでは敢えて段階を分けてみた。最低限の安定が確保され、一定の対外的なファイナンスも期待できる国は、政策オプションが非常に広がるため、実施国自身の選択による政策の優先順位付け・シーケンシングが非常に重要になってくる。PRSPも、ドナー間の協調や個々のプロジェクトとマクロ政策との整合性確保といった、難しい問題に対処することが期待されるであろう。

段階4:適切な成長

 上記のような段階を経て、成長に可能な最低限の要素が揃ってきている国は、貧困層が参加する成長をいかに確保するかが優先課題となる。PRSPの役割としても、貧困層への投資・エンパワメント・参加が重要となろう。

(3)我が国が貢献できる可能性

 最後に、このようなPRSPプロセスに我が国が貢献できる可能性について考えてみたい。

 まずは、前述のような発展段階毎の対応や、個別国における対応において、画一的ではない、当該国の状況に応じた柔軟な対応が必要なことへの理解が挙げられる。我が国は、資本主義に対して柔軟に対応する素地があるし、ワシントンのように貿易自由化を無条件に良しとするドグマも無く、金融システム改革を常に最優先すべきであると考えているわけでもない。したがって、その国々に応じて政策をテーラーメイドする必要性への理解と実効性ある支持を与えることが、我が国の付加価値となり得るのではないか。

 また、東アジアの開発経験の共有を通じた貢献の可能性もある。この際、東アジアの開発経験をツール化・製品化して(アフリカ諸国等と)共有するのが良いという意見もあるが、個人的には、成功事例として参照し得る状態にしておくことが有効な共有ではないかと考える。前述のように、重要なのは、当該国の置かれた制約要件下において当該国自身がどのような政策を選択するかであるから、東アジア諸国の置かれていた制約要件と実施された政策及びその結果から、当該国が必要な事項を学び取るのが最良ではないか。

 

【席上及び直後に電子メールで出された意見】

  1. テーラーメイドの戦略
    1. 典型的なIMFエコノミスト的なコメントだとは思うが、各国個別のテーラーメイドの戦略への理解を促進すべしとの点は観念的には理解できるものの、これを「日本の」貢献の看板に掲げることは、俄かには賛同し難い。貿易自由化等の改革措置について、緩やかな改革を求める声は国内の単なる既得権益と結びついているに過ぎない場合がある。正当な声と単なる既得権益に基づく声を識別するには、相当の知識と分析力が必要。翻って、日本を見てみると、日本にはアジアの数カ国を除いて、比較において優位な知見を持った国は殆どないのではないか。こうした日本のような知的な優位のない国が、テーラーメードを看板に担ぐことは、長い目で見て危険であり、誰からも評価されないのではないか。単なるその時点における途上国政権への迎合に終わる危険がある。過去、日本はアフリカや中央アジアで累次の失敗を繰り返しているのではないか。
    2. 日本の融資政策の過去の経験に鑑みれば、確かに自信をもてるだけ充分の知識と理解があったかは問題であろうが、逆にPRSPを利用することにより、日本なりのテーラーメイドの開発協力政策が可能にもなろう。例えば所謂「対外信頼」回復期の国については、政府のガバナンス強化にPRSPをテコとして使いつつ、政府をバイパスし直接NGOに開発資金をチャネルすることでガバナンスの参加の裾野広げることができる。このようなテーラーメイドの協力形態をPRSPの傘下で行うことはできる。

  2. PRSPに対する日本の関与
    1. 貧困削減と経済成長の関連については、まだまだ理解がされているわけではないのであるが、貧困削減を金看板として使うことにより、開発資金を調達してこようという目論見がPRSPの裏にあろう。日本国内では、経済協力という言葉に表されるように、経済成長を支援するという視点が強いわけであるから、貧困削減という社会保障・社会福祉的なアプローチでは納税者の支持が得られるかは疑問である。結局、日本が outsider になるのを避けるための歩調合わせなのではないだろうか。
    2. PRSPがどうであったという議論しても意味のないことは分かるが、どうあるべきかの議論は進めるべきである。IDA適格、HIPCという枠組みで対処できそうなものを、何故更にPRSPという枠組みをはめようとするのか疑問が残る。日本としては、途上国のオーナーシップを充分引き出すようなシステムにすることを主張する等して、もっと現行の枠組みにチャレンジすべきである。
    3. PRSPがアフリカを主対象にした枠組みであることを意識して、日本のアジアへの関与、アフリカへの関与を整理して議論すべきではないだろうか。
    4. この場における議論と現場との温度差を感じざるを得ない。現場におけるドナー間の協調、国内社会と国際社会とのリンケージ等場合分けをした上で、PRSPへの関与を考えていく必要がある。
  3. ガバナンス
    1. 実際の対象国との協議においては、その時その時の政治的状況の要素を含めて考えなければならない。特に現場からの視点としては、国際機関は金を貸さねばならない相手として政府と接するわけであり、どの程度のガバナンスなら許せるのかは現実問題としては判断が難しい。
    2. 現政権に対して外からガバナンスやオーナ─シップをもたせようとすることは無理であるが、資金供与を通じて意識を啓発することは可能であるし、同時にNGOへの直接供与により参加型のガバナンス強化を助長することもできよう。
  4. 民間、インフラ整備
    1. アジア型の開発モデルを念頭に置くと、市場経済を活性化させるということで民間の貿易・投資環境を整備することが第一であり、日本もそれを主張していくであろう。しかし、今後のインフラ整備について、日本は理解は示しつつも果たして資金供与をすることになるかどうか、懐疑的である。
    2. どこにでもインフラ整備をしていくというアプローチは、日本においても意味がなくなっている。しかし、理解があれば資金は廻るであろう。
    3. 市場環境を整える上で、政府と民間の間で建設的な利益配分がなされるのであれば、癒着構造であろうと結果的に民間を誘導することになり、効果はあろう。他方、例えばアフリカにみられるように、すべて政府のポケットに入り込んでしまうような腐敗構造では成長への効果がない。
  5. 無条件貿易自由化ドグマ
     自由貿易政策は、安価な輸入品を買うことにより浮いたリソースを他のセクターに廻すことが伴っていなければ、経済成長には結び付かない。国内金融市場の自由化についても言えることであるが、安易な自由化政策により国内のバランスを悪化させることについては、国際機関としてもより注視すべきであろう。特に既存の共同体基盤を壊してしまう危険性を考慮しなければならない。
     
  6. 具体的方策
    1. 日本のPRSPへの取り組みについて、(イ)防御的な対応、(ロ)自己改革的な対応、そして(ハ)攻撃的(積極的関与)対応という3つのモードに分類できるという分析については心から同感する。更に、この3つのモードを(a)総論・理論面、(b)国別政策面という2つの戦線の双方で展開するとともに、2つの戦線を有機的にリンクすることが大事だと思う。

      具体的な方策としては次のものが重要と考えられる。既に政府として取り組んでいるものもあるが、政府部内にとどまらず幅広く関係者を巻き込んで議論し、認識を共有しつつ推進することが有効ではないかと思う。
    (イ)PRSPプロセスに対するオールジャパンの基本的スタンスの明確化と発信

     PRSPプロセスに対する我が国の知見(特に問題点や我が国の利害関係に関する情報)は、関係省庁・実施機関本部の他、途上国現地の公館・事務所に広く分散している。PRSPプロセスの問題点や我が国への影響に関する情報を幅広く聴取した上で、関係省庁・実施機関の知見も集約し、オールジャパンの基本スタンス(裏付けとなる開発理念(哲学・思想)を含む)を明確化して、今後の関係会議等でその立場を発信・表明していくことが適当と考える。単に日本語で作るのみならず、英語にしてウェブサイトに掲載することが効果的であろう。このような形で作成した基本スタンスは、今後PRSPの策定が進み、現地での実施の段階に次々に移行しつつあるこれから一層重要となろう。(また、この過程で関与した関係者をネットワーク化して今後ともスタンスの改善を図ることも有益である。)このワシントンDC開発フォーラムの議論が、一つのきっかけになるのではないか。

    (ロ)PRSPプロセスへの対応マニュアルの作成

     今後の対応の第一歩として、特に現地公館・事務所を念頭において(結局は個別国へのPRSPプロセスへの関与が実質的に重要)、PRSPに関する我が国の基本方針、特に氾濫する情報と限られたリソースの中で、如何なる利益を確保するために、如何なる情報を入手し、如何なる対処・主張をしていくべきか、そのため東京と現地、関係省庁と実施機関で如何に効果的かつ機動的に役割分担をしていくのかを盛り込んだ、アクションオリエンティッドな対応マニュアルを作成し、関係省庁・実施機関の関係者で広く共有することが適当ではないか。もちろん、省庁・実施機関毎に異なる視点や要請もあり、このマニュアルのみで全ての側面をカバーできるとは思わないが、少なくとも認識の共有に資すると思われる。

    (ハ)PRSP情報共有体制の確保と関係者間の連絡の円滑化

     PRSPに関する総論及び個別国の動きについて、東京の関係省庁と実施機関本部、途上国現地公館・事務所、そして当地(世銀・IMF理事室を含む)の情報を円滑に共有していくシステムを構築するとともに、その運用を常に改善していくことが重要と考える。特に、同システム上に関係省庁・実施機関の本部・途上国現地・当地の個別国担当者名と連絡先(メールアドレス)を掲載し、個別国について関係者が広く横の関係で連絡するルートを確保することにより、相互の連絡を円滑化すれば、今後の個別国対応に効果的であろう。

    (二)個別国PRSPに関する我が国の知見の集約と発信

     上記の情報共有システム・連絡ルートと関係するが、単なる情報の共有を超えて、我が国として、相手国のニーズや適切な支援方法等についての知見を集約し、メッセージにして発信していくためには、どこかで誰かがリーダーシップを取り、総論のみならず個別国についてそれぞれ関係者のネットワークを形成し、実質的な検討作業を行うことが重要である。本フォーラムで本年5月に取り上げた「バングラデシュ開発援助ネットワーク」は、同国PRSPに対する我が国のインプットを最終成果物の一つとしているが、まずはこのような形で可能なところから作業を進めることは実務者自身でできる話である。本問題については、ODA総合戦略会議というハイレベルで既に取り組みが始まっているが、そもそも数カ国を手当てすればよいものではなく、二、三年内にはかなりの国をカバーできるようなスピードで進めていくことが望ましい。中長期的には、途上国現地での情報収集・発信や恒常的な調整プロセスに対応するため、現地公館・事務所の体制強化及び実施機関への権限委譲、そして、現地の活動を十全に支援するための本部の体制・組織の整備が必要と考えられる。

    (ホ)貧困削減ないし広く開発に関して日本が提示し得る理念の検討緒方氏のプレゼンにある通り、世銀自身、PRSPは「行うことにより学ぶ(learning by doing)」という極めてオープンな姿勢を(少なくともタテマエでは)貫いている。我が国としても、自らの問題意識やアジアを中心とした経験を踏まえつつ、成功例の分析・理論化により、我が国の開発理念(哲学・思想)を明確化するとともに、相手国のニーズを勘案しつつ提示すれば、我が国のアプローチを宣伝できるのみならず、途上国の開発のための積極的な貢献となる。(個別国のPRSP対応に際しても、このような開発理念(哲学・思想)は立論のための重要な基盤となる。)まさに、IDEA(東アジア開発イニシアティブ)、WSSD、TICAD等に向けての我が国の作業は、このような理念(哲学・思想)及びそれを具体化する開発戦略を提示しようとするものだと思うが、これらを日本の一貫したメッセージとして提示することが大事だと思う。また、各種の開発関連研究機関・研究者を有機的に結びつけて活用していくことも有効だと思う。

    (ヘ)実際の支
    援内容への反映
    国際会議で発信する開発理念(哲学・思想)や、個別国PRSPに関する我が国の知的貢献に説得力を持たせるものは、我が国のバイやマルチのODAを中心とする具体的な支援による裏付けである。昨今、ODAに対する見直しが強く求められているが、これを追い風にして、各種の支援スキームを機動的に活用できるよう一層改善していく必要があるのではないか。

    (ト)以上の作業に必要な要員と予算の確保
     以上の作業を推進するためには、本部・現地とも、片手間ではなくしっかりと対応するための要員と予算を確保する必要がある。PRSPに関する作業は従来の経済協力業務から見れば純増の部分であり、限られたリソースの中でこのような優先課題に対応するためには、大胆なリソース配分の見直しや外部リソースの活用も視野に入れた方が良いのではないか。(世銀も焦点を貧困削減に変更してから、大幅な組織改編と人員交代、資金の再配分が行われている。)

    2.私はタンザニアで経協の仕事をしているが、ご承知の通り、タンザニアではPRSPが援助協調とセットになって急進的に動いている。2000年6月の外務省経協局長タンザニア来訪以来、日本は積極的に参画していると申し上げたいところだが、それでいても周囲の『押し』に日本の援助の実施はますます困難になってきている。当地ではパリでのOECD開発援助委員会(DAC)やSPAの議論は翌週のドナー会合で具現化されるべく建設的に議論が始まることもあり、時として総論賛成・各論反対の政府の姿勢は現場を更に苦境に陥れることになる場合もある。

     現場として、今すぐに欲しいものは(ヘ)の「実際の支援内容への反映」である。それには殆どの場合、大きな改善を求めているのではない。今できる範囲内のことを着実に積み重ね、学識者の方々がそのlessonを丁寧に検証・評価すれば、おのずと日本が進むべき道が見えてくるのではないかと思う。

     今はまるで丸腰で「PRSP、セクタープログラム、援助協調は総論賛成、現場は対応せよ」と迫られているようで、具体的な「武器」を持たせてもらえなければ対応のしようがない。
     マニュアル作成は良いアイデアだと思う。PRSPにその熟度のポイント、ポイントで、各国PRSPで共通して日本が関与すべきと思われるものがあるように感じるので、実験的にいくつかの国でPRSP参画してみて成功したことをマニュアルに反映させ、一種日本のPRSP参画の標準化を図るというのは有意義と感じる。

     2年半タンザニアのPRSPに関わっていて、PRSPというものはもしかして「対応」すべきものではなくて、「参画」するものではないかと感じている。個人的な感覚とこの国の関係者間のムードなのだろうが、私の限られた経験からは、PRSPを介して貧困削減に関係者が共に参画して実施していくという印象のほうがしっくりくるようで、そのためには援助協調や手続共通化の議論も含まれるのだというように感じる。非常に重要なことは、いかに早く参画するかという点で、そのプロセスを通じて日本の主張が理解されたり組み込まれたりし、それによって最終的には政策策定関与ができたということになっているように思う。そしてその「最初のゼロ地点」そのものを起こすことや、動きを察知するには、日頃から他の関係者と密な情報・意見交換が不可欠で、そのためには十分な人材配置と個々人の高い意識が必要ということになると思う。

    3.
    特に、ワシントンにおけるブラウンバッグランチにおいて、しばし「現場との感覚のズレ」が指摘されたりすることから、メールでタンザニアより現場の声を聞くことができ嬉しい。PRSPのサブスタンスについてでなく、方法論としての日本の対応について述べたいと思う。

     「周囲の『押し』に日本の援助の実施はますます困難になってきている」「今はまるで丸腰で『PRSP、セクタープログラム援助協調は総論賛成、現場は対応せよ』と迫られているようで、具体的な『武器』を持たせてもらえなければ、対応のしようがない」という言葉は印象的である。同時に私自身が感じているのは、PRSP参画の総論についても、決して日本の経協関係者で一致団結した理解があるわけでもなく、特にPRSPに盛り込まれている要素、それを支配する現在のレジームに対する哲学的な面、理念的な面で、煮えきらないものがあると感じられる。

     勿論、日本の独自性を活かしたPRSPへの参画ということを考えれば、哲学面、理念面における日本の政策・戦略を打ち立て、PRSPを支配するレジーム(それが別に全体の整合性のとれたパラダイムというよりは、ブラウンバッグランチ・キックオフ担当の緒方氏曰く"shopping list"なのかもしれないが)と擦り合わせる必要はあろう。しかし、同時に援助協調というPRSPの方法論側面について、日本における参画戦略を早期に確立する必要があるのではないだろうか。理念的な問題は時間がかかり、また時間をかけて議論する意義もある。しかし、援助協調という側面については、実際の援助活動のサイクルの速度が直接的に絡んでくる話であろうし、それなりのスピード感をもっての対応がクルーシャルであると感じる。「非常に重要なことは、いかに早く参画するかという点で、そのプロセスを通じて日本の主張が理解されたり組み込まれたりし、それによって最終的には政策策定関与ができたということになる」といったタンザニアからの指摘は、サブスタンスとともにスピードという次元での対応の重要性を感じさせられる。

     援助協調について、あくまでも各論の技術的側面について、川下の部分でその場その場の判断で調和策に応じるのではなく、例えば、援助協調により日本のODA政策・活動が受ける相乗効果の分析、その分析を受けての協調相手・方法・分野/セクター毎の援助協調術の行動計画作り等、よりマクロ的な部分、川上の部分での戦略立てをすることの重要さを感じる。それが、先刻提起のあった「PRSPプロセスへの対応マニュアルの作成」という形態で、フィールドにチャネリングされれば、日本ODA政策として一貫性のある援助協調が現場レベルで可能になると思う。

     同時に、そのマクロ的な部分、川上の部分のアイディアというものは、フィールドからの知見が土台になっているべきだと思うし、また、「現場主義」の日本全般の政策文化に鑑みると、むしろ現場であるフィールドこそアイディアが湧く素地がある気がする。その際、(イ)現場で一体性のある意見に集約するパッケージ能力、(ロ)そのパッケージ化された意見を東京まで運ぶ公式運搬チャネルの確保の二つが必要条件だと思う。同じく問題提起のあった「PRSP情報共有体制の確保と関係者間の連絡の円滑化」、「個別国PRSPに関する我が国の知見の集約と発信」というところに対応すると思う。(ロ)については、組織事項だろうが、(イ)については組織事項であると同時に、生身の人間の話だと思う。タンザニアから「具体的な『武器』がもらえない」との指摘があったが、その武器としては、カネ、アイディア、に並んでヒトではないだろうか。「必要な要員と予算の確保」についても問題提起があったが、私は特にフィールドにおける必要な要員の確保を最優先にする必要性を強調したいと思う。フィールドにおける人員は、各国個別の状況、それに対する日本の対応、他援助機関との援助協調等々について、単に情報を収集し、東京に情報の横流しをするのではなく、情報・知見を集約させ、パッケージにし、現場事務所としての政策判断の提案といった意見具申的な付加価値を付けて東京に送るぐらいの充実した人的資源を確保すべきではないだろうか。

     なお、マクロ的な部分、川上の部分での戦略立てについては、東京のみでなく、ワシントン(およびパリ、ニューヨーク)に存在する(あるいは存在するであろう)日本の非公式「経協コーカス」からの発信も大きな意義がああろう。ワシントン開発フォーラムにおけるPRSP議論の一部として、サブスタンスとともに、援助協調枠組としての参画という側面から方法論的なところで議論を詰めていくことも、ワシントンならではの貢献ができる点であるかも知れない。


4. コメントを頂き、現場で働く者としてとても心強く思う。私の考えることはとても学問的には理論立ってないと承知しているが、日々援助協調の議論やPRSPの進捗に苦悩する個人としてもう少し聞いて頂きたい。以下は勤務先ではなくあくまで私個人の見方である。

 タンザニアには、東京の配慮により周辺国に比べてかなり優先的な人員配置や予算をつけてもらっていると感謝している。これを当地では「対アフリカの新型援助の実験的措置」と捉えており、そのために関係者はかなりのボリュームの通常業務をこなしつつ、贔屓目にも前のメールで申し上げたような他機関・政府との密な関係作り(具体的には会合への積極的な出席、できる限りの資金的・知的貢献)を属人的なベースで努力して行っていると思う。これはひとえに個々人の意識の高さに寄っていると思うし、当地の関係者の努力は評価に値すると思う。また同様に、一緒に頑張っている他のドナーの担当者も、タンザニアにより良い援助とは何なのかとの模索を共に続けている。

 PRSPがlearning by doingであるのは日本に限らず、私の知る限りどの現場のドナーにとっても同じである。私は他ドナーの担当に「なぜPRSPの下、貧困削減を進めるにあたってのモダリティとしてセクタープログラムや財政支援が最適だと言えるのか」と繰り返し聞き続けているが、彼等の答えは「これまでの援助を真摯に分析した結果、従来のやり方は少なくともアフリカにおいては間違っていたことだけは断言できる。だから従来のやり方を続ける限り、成功はあり得ない。失敗を繰り返さないためには新しいやり方を試す方がbetterだ」と言っている。要すれば彼等自身も今試している方法が最適である・グランドセオリーであるとは一度も言っていない。

 私が分からないのは、日本は真の意味で今までの日本の援助(これも全世界で包括的には言えないと思うので、政策研究大学院大学の大野健一教授が提示しているような分類を含むいくつかのカテゴリー分けが必要と思う)が分析され、評価・反省された上で継続されるべきか否かの判断をされたことがあるのだろうか(もしかすると今まさにそれに着手しているのかもしれない)。そして分析・評価の結果、問題点が浮かび上がっているとして、改善のために「実験的な行動」が取られたことがあるのだろうか。日本の援助の文脈では、国税を使って「実験」などということは許されないのだろうか。でタンザニア政府は(大蔵省などfinance関係の中央省庁の一部に限っては)財政支援・コモンファンドでPRSPを動かしたいことをTAS(タンザニア援助戦略書)で明確に表明している。

 現場にいて決定的に他ドナーと日本の援助姿勢が違うのではないかと感じるのは、この「実験性」の有無である。セクタープログラムや財政支援が本当に貧困削減に資するかどうかは、正直なところ試してみないと誰にも分からないというのが現実だと思う。全世界に通用するPRSP対応/参画を決めるのはもっと理論構築が必要で時期尚早だが、実験してみなければ「本当にうまくいくか?」と聞かれても分からないとしか答えようがない。事実、他のドナーもセクタープログラムなどでたくさん失敗をして、また振り出しに戻ったりしている。国民の血税を使っていてその曖昧さはなんだ!と怒られるかもしれないが、タンザニアでの関わりに関する限り、その試行錯誤のプロセスに個々人が属人的にチャレンジして関わる努力をしている結果、またいくつかの実験を行っている結果、少なくとも中央省庁、ドナー、現地研究者の間で日本のプレゼンスが向上したことは間違いない。これが顔の見える援助かと聞かれると、顔の見える援助の定義によるかと思うが、政策関与という点ではYesと答えられる。

 私が他の組織の関係者から言われたことを紹介したいと思う。彼曰く、「日本はここ数年で大きく変わった。以前は日本が何を考え、何に向かっているのか誰も分からなかった。日本の考え方は確かに他のドナーと大きく違っているかもしれない。しかし英国が世銀と違うように、どのドナーもそれぞれ違うのだ。日本の(政策への)関与は、これまでの議論にダイナミクスを与えた。そして(当地)世銀関係者でさえも、日本の参画には感謝している。」

 私はこれが単純に日本援助全体のプレゼンスが上がった賛辞とは受け止めるつもりはないが、前回メールで「丸腰」と書いたものの周辺国に比べれば優遇されつつも限られたスキームやリソースで、必死にプロセスに食いつこうとしている結果、日本の意見は(煙たく思うドナーもいるにせよ)少なくとも聞く機会をもたれるようになった。それには議論の途中や後半から突然現れて、「反対、反対」と言っても有効でなく、応分に痛みを持ってプロセスに当初から参画・貢献していくからこそ生まれるプレゼンスなのだと思う。

 私の話はPRSPと援助協調、援助モダリティをひとからげにしている面があるが、アジアは違うようだが、こと英語圏アフリカについてはPRSPを実施していくための具体的ツールとしてのこれら、それからPERやMTEFなどが一緒に急進的に動いているので、あえてそれぞれに分けないで説明させて頂いた。


5.バングラデシュでPRSPのプロセスにどう関わってきたかご紹介したい。
(イ)経緯
 バングラデシュでは昨年10月に総選挙があり、政権交代があった。どちらかというと前政権はPRSP作成に熱心ではなかったが、総選挙後に発足した新政権はPRSP作成のプロセスを加速させた。この背景には、当時、バングラデシュが外貨危機に見舞われ、IMFに支援を要請していたという事実があるが、とにかく漸くPRSPのプロセスが実質的に開始された。

(ロ)PRSPセミナー
 本年2月、IMFが主導する形で3日間の「PRSPセミナー」がバングラデシュの首都であるダッカで開催された。テーマはPRSPをどうやって作成するか。聴衆はバングラデシュ政府や政府機関の職員、NGOのスタッフ等であった。セミナーではPRSPのプロセスが先行している他の国々やドナーからリソース・パーソンが招かれたが、IMFの要請で日本からもリソース・パーソンとしてセミナーに参加し、「インフラと貧困削減」のセッションのスピーカーとラウンドテーブルのモデレーターを務めた。そして本セミナーでの議論を参考に、以降、バングラデシュ政府はI−PRSP作成のプロセスを加速させた。「バングラデシュ開発援助ネットワーク」では、立ち上げ時の目標の一つにPRSPへのインプットを掲げていたが、いずれオール・ジャパンでPRSPにコメントすることを念頭に、同じく本年2月に「PRSPとは何か?」といったテーマを取り上げ、さらに「PRSPセミナー」における議論の内容についてもセミナー参加者から報告する場を設けた。

(ハ)I−PRSPドラフトの発表と我が国の対応
 こうしてネットワーク参加者間でPRSPに対する理解を深める努力を続けたわけであるが、本年6月になってバングラデシュ中銀のホームページにI−PRSPのドラフトが掲載されるに至った。JICA専門家の協力を得つつ、、@「バングラデシュ開発援助ネットワーク」参加メンバーに本文と抄訳を配布し、コメントを求める、A同じようにダッカでは日本大使館、JICA、本行、JICA専門家、日本のNGOに本文と抄訳を配布し、コメントを求める(ダッカでも日本での動きに呼応してダッカ版「バングラデシュ開発援助ネットワーク」が立ち上がっている)、という二段構えで取り組んだ。6月下旬にJICA専門家が一時帰国された際には先行していたダッカサイドの動き(A)を報告していただく場も設けました。このようなプロセスを経て、言わば、ネットワーク版コメントとダッカ版コメントが出来上がり、日本大使館が中心となってそれぞれの内容を吟味した上でコメントを一本化、さらに手分けして英訳してバングラデシュ政府に提出するというところに漕ぎ着けた。

(ニ)今後の課題
 以前、このフォーラムで世銀の日下部副総裁がプレゼンテーションを行った際の記録に、「日本がより積極的に知的支援を行っていくためには、総合的な知的支援システムが必要である。今の組織の枠を越えた、官庁、学界、NGO、コンサルティング産業の緩いネットワークを築くことが望ましい」と書かれていたが、現在、「バングラデシュ開発援助ネットワーク」には外務省、財務省、経済産業省、本行、JICA、NGO(10団体)、日本貿易振興会アジア経済研究所、国際機関(東京事務所)、民間企業(含む「日本・バングラデシュ合同経済委員会」)が参加している。勉強会やI−PRSPに対するコメント作成作業を通して、日本でバングラデシュに関心を持っている人達のプラットフォームを形成したいとの狙いは何とかワークするようになり、立ち上げ時の目標の一つであったPRSPへのインプットについては曲りなりにもコメントを作成してバングラデシュ政府に提出することができた。しかし問題はこれからである。コメントした以上、言いっ放しというわけにはいかない。日本としてPRSPの実施段階にどう関与していくか、あるいはネットワーク参加者間の連携を如何にして強化していくか、そしてPRSPに沿った援助をどうやって実施していくかといった課題に取り組む必要に迫られている。

 日本のNGOが積極的に活動しているバングラデシュとタンザニアとでは状況が全く異なっているだろうが、そのバングラデシュにおいても「バングラデシュ開発援助ネットワーク」を立ち上げたことによって関係者間の結びつきが強まったということは言えると思う。

6.今年1月から、政策研究大学院大学(GRIPS)にて「開発フォーラム」というODA・経協分野の政策研究プログラムを立ち上げている。ワシントンDC開発フォーラムの皆さんとも密接に連携しながら、進めさせて頂いている。なかでも、PRSPは我々の重要な研究テーマとしてフォローしている。タンザニアの現場からの問題提起は深く響くものがあり、我々も微力ながらも、現場での対応を支援するような仕組み・体制づくりへの協力が何とかできないか、という気持ちで取り組んでいる。以下、今までの意見と重複する部分もあるが、考えるところを共有させて頂ければ幸いである。

 PRSP対応は、これ自体が特別に扱われるのでなく、国別援助計画づくり・アップデートや援助協調への取り組みと一体で考えられるべきものである。従って、PRSP対応を契機に(あるいは、現在ODA総合戦略会議で検討が始まっている「国別援助計画」の見直しを契機でもよい)、日本が開発アプローチに対し、@戦略面、A体制面の取り組みを強化していけば、これら全てに対する取り組みの改善につながるはずである。

 また、タンザニアのメールにもあったが、開発アプローチは途上国、ドナーを含め関係者で考えていくもので、日本は主要ドナーとして、一緒に改善していく、関与していくという積極姿勢に切り替えることが必要と思う。

 そのためには、以下のような取り組みが必要と考える。全てを一度に実現することは難しくても、志をともにする者たちが何が必要かについて共通認識をもち、それぞれが可能なところから取り組み改善を蓄積していく、そしてその際にこういったネットワークを通じて情報共有していくことで重要な一歩になると思う。

 (イ)オールジャパン・中央での指令塔の役割:

  1. 国際的な議論、現場からの情報をふまえ、対応にあたっての基本的方針づくり
  2. 現場への提示(ただし大枠の方針のみ、具体的対応は現場と下記の国別の戦略チームに任す)。
  3. 本方針を現場が国別の事情に応じて対応する際に必要となる主な着眼点の整理・カテゴリーの提供:例えば、戦略の中身(緒方氏のいう「発展段階」の勘案)、および我々がWSSDでの発信も意図して作成中のペーパーで提起している貧困の原因、既存の計画システムとの関係、援助依存度などによる途上国のカテゴリー分けの試みなど。
  4. 発信チャネルの戦略的考察、および実践(紀谷氏のいう「開発外交」の視点)。

 (ロ)現場での体制・役割:

  1. 開発戦略チームの創設:「成長戦略」、「社会開発」、「対応のマルチ化」を担う、国別の戦略チームの創設。もちろん、オールジャパン体制。

 (ハ)(中央・現場の双方に対する)支援ツールの整備:

  1. マニュアル、国別戦略やPRSPの多様性を認めながらの着眼点整理、グッド・プラクティスの作成。
  2. マニュアルや着眼点整理は横断的になるので、中央での作業が必要だと思うが、グッドプラクティスは、現場・東京・海外を含め各担当者が知見・経験を共有、整理していくのが望ましいと思う。ただし、各担当者は皆忙しいので、インセンティブづくり、予算的な支援、そして作業にあたって研究者・NGOなどを活用するなどの工夫も必要かと思う。

 (ニ)(イ)〜(ハ)をサポートする研究体制、知的ネットワークの構築:

  1. ワシントン、パリなどからの情報発信。
  2. 内外の研究機関、関係者の知的ネットワークを活用した研究調査の実施、発信。


7. 現在、私は援助協調に関する業務を担当しているが、約3ヶ月前までいたスキーム別事業を主管する部署では、PRSPであるとか、現在援助協調で議論されていることについては、話では聞いていたものの、当時の私の業務には殆ど関係なく、遠い話と感じていた部分があった。また、最近でも関係機関の方々と話をさせていただいた際に出てくる意見としては、「援助協調は必要なのか?」と言った質問がかなり出てくることから、現在直接日本の援助の実施を行う関係者の多くは、PRSPや援助協調に対する「感覚」は同様だと思われる。

 過去3ヶ月強の間で、日本で援助協調に関係する方々と話をしていて感じたのは、PRSPは「策定段階」から「実施の段階」に移行してきているということと、「援助協調」に関する我が国の体制整備や方針が理論武装も含めて遅れているということである。つまり、日本のスタンスとして、「PRSPの画一的な適用には反対であるものの、当該国のオーナーシップの下で、各ドナーを含む関係者が共有する戦略の必要性に関しては同意する」と言った共通認識はあるものの、右認識を如何に実施に移していくかが必ずしも明確になっていないように感じられる。

 しかし、この理論武装や体制整備を単に議論で行っていくことは、容易なことではない。勿論「基本的な方針」や「国別・地域別の方針」は必要ではあるが、出来ることからやって行き、右経験を元に理論武装と必要な体制整備につなげていくという方向にならざるを得ないと感じている。また、この過程で、多くの援助に係わる関係者を巻き込んで、「認識の共有」を高めていくことが必要であると思われる。このような観点から、いままでに感じた、今後進めていくべき事項は以下のとおりである(なお、今回は財政支援やコモン・バスケット・ファンド、手続き調和化に関係する事項は除く)。

(イ)知的貢献を行っていく為の基盤の整備

 各国のPRSPは、定期的なモニタリングと計画修正が必要なものであり、広い関係者・機関の意見により内容も変わっていくものである。このために、日本としての方針や戦略を、ドナー会合等で明確に伝えることで、PRSPに影響を与えることになる。このための体制は単発では効果が薄く、継続して戦略を見ていく常設の体制が必要である。このような体制整備としては、(a)本邦における支援母体(援助関係機関、有識者、NGO等)と、(b)当該国における我が国援助関係者の組織化が考えられる(勿論、両者のリンケージも重要)。また、現地の専門家をベースとした、知的貢献のための体制整備は、我が国が行う様々なプロジェクトをケーススタディとして政策提言につなげて行くことで、プロジェクトの効果の増大にもつながる。なお、このような体制整備を行う際の参考事例としては、ベトナムやバングラデシュにて行われている。

(ロ)情報共有体制の整備  

 1999年のPRSPや「援助協調」が各国で進む中、各途上国にある日本の在外公館やJICA・JBIC事務所では、様々な取組がなされている。しかし、このような各途上国における日本のプラクティスは、他の途上国の日本側関係者との共有がされていないと言う問題がある。他の途上国における様々な取組は、現在の制約条件の中での実施可能な取組事例であり、各途上国により条件は異なるものの、非常に参考になる筈である。さらに、本邦における関係機関でも、様々な研究・考察が行われているが、これらの情報についても、必ずしも広く効果的に共有されていない状況であり、現在、行われている研究・考察として如何なるものがあるかを明確にすることは、各機関において非常に重要である。

(ハ)各途上国の現場と本部・本省との意志疎通の強化

 各途上国の現場でPRSPや援助協調を担当している方は、日々苦労されている。また、日本サイドでも、可能なかぎり現場での活動をバックアップしていきたいと考えている人は多いと感じられる。しかし、現場での大まかな情報は一部入ってくるものの、具体的な活動プランとしてはなかなか入ってきていないのが現状である。このような具体的なプランは物事を動かしていく際には重要で、関係する部署の担当者にも具体的に話しやすいと言った側面がある。また、現場の生の声が本省・本部・関係(者)機関に届くことは非常に重要である。このような現場から本部・本省までの意志疎通、さらには異なる国の現場で働く方々の情報交換のためのメーリングリストの設置等は、円滑な意志疎通に役立つと思われる。

(ニ)PRSP及び援助協調に関する協議の機会の増加

 これは、異なった関係機関における「意志疎通」と言った面もあるが、その他にも様々な方途が考えられる。これらを羅列すれば、(a)異なる関係機関間の意志疎通と情報共有、(b)個別機関内での意志疎通と情報共有、(c)個別案件の形成における、PRSPやセクタープログラムとの整合性等の事項の事前評価の拡充。なお、これらの事項は本邦及び在外の両方にあてはまる。さらに、(d)一般のセミナーやオープンな協議の機会の拡充等がある。

(ホ)関係機関及び民間人材(主にコンサルタント)の育成と活用

 現在、PRSPや援助協調に関する調査が徐々に増加しているが、各機関においてコンサルタント傭上の公示を行った際の、応札が少ないといった印象がある。また、非常に当該分野に習熟された方もいられるものの、このような方は希な状況である。コンサルタント会社に勤める友人に、このような状況につき話した際に、上がった問題点としては以下のような事項がある。(a)援助協調やPRSPに関係した日本の市場は小さい、(b)個別案件形成で、PRSPやセクタープログラムとの整合性等が調査項目として入る場合があるが、PRSPやセクタープログラムは非常に大きな話であり、具体的に何を調査してほしいかが明確ではないケースが多い。(c)発注者側担当者自体が良く解っていないので、調査結果に高いレベルが求められない。

 主にこのような理由から、コンサルタントとしても、PRSPや援助協調に関することを専門性として加えるインセンティブが生じないのではとの意見であった。右は、少数の友人から聞いた内容であり、一般化はすべきではないが、かなりの部分で当たっているのではないかと思われる。この対応方法としては、(a)PRSP策定に関係した活動の増加、(b)案件形成におけるPRSPや他のドナーの活動との整合性の重視、等による市場の拡大、(c)関係機関の担当者の、PRSPやセクタープログラムに関する研修機会の増大と対応マニュアルの整備(マニュアル整備と書くと簡単だが、実際は困難な作業であり、ここでも実際の経験を通して深めていくことが必要)。

(ヘ)PRSP・援助協調担当人員の増員と在外への権限移譲

 PRSPや援助協調を行っていく際には、やはりそれを対応する人員が必要である。しかし、現状としては予算の制約等があり、しっかりとした体制構築には、他の方が述べられたように、大胆なリソースの配分の見直しや、外部リソースの活用が必要との意見には全く同意見である。右を念頭におきつつ、現状の中でやりくりしつつ、その結果どの程度のリソースの配分の見直しが必要かを考えていくことが重要と思われる。また、人員を有効に活用すると共に、現地におけるニーズにタイムリーに対応していくためにも、特に在外への権限移譲が重要と思われる。

 また、現場で活躍される企画調査員の方がおっしゃるとおり、日頃からの他ドナーの関係者との意見交換やつきあいが重要である。これは、PRSPや援助協調を担当する人員に限ったことではなく、セクタープログラムに沿ったプロジェクトといった観点からは、個別専門家やプロジェクト専門家についても言えることだと思われる。

(ト)最後に

 上記までで、幾つかの考えを述べさせて頂いたが、このような改善策(一部は動き出している)を実施に移していくとともに、各国の状況に基づくテーラーメイドの意見を発出していく際に、幾つかの制約条件があるように感じられる。例えば、各国でテーラーメイドの処方箋を作っていくにはそれだけ手間がかかるわけで、調整に関してだけでもそれに見合う人員を配置していく必要がある。しかし、日本がODAの実施に直接携わる人員が他のドナー国に比して少ないのは明白な事実であるし、現在の日本の情勢から大幅な人員増が簡単に見込まれるものでもない。また、席上で出された意見にもあったとおり、我が国はアジアにおいては他ドナーより知的優位を有する国はあるが、アフリカや中南米等において他のドナーより比較優位があるわけではないと思われる。さらに、この他にも制約条件はかなりある。

 様々なアイデアはあるにせよ、数々の制約条件があり、一気にすべてを実施に移せるわけではないが、様々な関係者や外部の方のお力を借り、着実にできることから実施していくべきと感じられる。 

(以上)