ワシントンDC開発フォーラム

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「開発のための民間資金の活用の現状と課題」

 2002年3月18日、ワシントンDCにて、政府、実施機関、世銀グループ・米州開銀・IMF、企業、NGO、シンクタンク・大学、メディア等の経済協力関係者約20名が、開発のための民間資金の活用について昼食を交え個人の資格で意見交換を行ったところ、概要は次の通りです。

【ポイント】

  • 民間の資金フローはODAの6−7倍であり、約20か国程度の途上国に集中しているものの、小国ではGDPと比較しても大きな比重を占めており重要。
  • 先般発表された世銀の「民間部門開発戦略」は、市場カバーの拡大(投資環境の向上、パフォーマンスに応じた企業支援)、基本的サービスへのアクセス向上を重視し、「アウトプット本位の援助」方式を提示。
  • 他方、民間の開発資金にはダイナミズムがあり、(1)リスクに対する感受性(具体的にはリスクの明示化・細分化と最適配分)、(2)多様なアクターの認識と調整メカニズムの構築という2点が、この資金を活用するための鍵。これを踏まえ、政府や公的金融機関、国際機関等は、単に市場を機能させるのみならず、民間企業・資金が実際にリスクを取って参入するよう方向付けし開発目的に向けていくこと(誘動)が必要。その際、官が手を引くタイミング、公的資金の心証向上(アシュアランス)効果、途上国の地場産業の育成等にも配慮が重要。このような議論が世銀の戦略から抜け落ちている。
  • 日本としても、従来の官民パートナーシップのあり方を反省し、日本の構造調整への動きを積極的に活用して、中小企業の経営システム・技術ノウハウや地方自治体の公共サービス・ノウハウの途上国での活用研究所の独立法人化によるコンサルタント市場活性化等、創造的に取り組むべき。

 【本文】

  1. 開発のための民間資金の活用と現状と課題

    (国際金融公社 中小企業局 畑島宏之氏)

(1)はじめに

 私は約1年前より国際金融公社(IFC)の中小企業局で、途上国での中小企業にプロジェクト形成支援や、現地で中小企業を支援しているビジネスコンサルタントや金融機関向けの技術協力を行う現地事務所の活動を本部で統轄支援する業務を担当している。それ以前は、(外為取引仲介会社、外資系金融機関、FASIDを経て)アフリカ開発銀行(於コートジボワール・アビジャン)に6年間在籍していた。アフリカ開発銀行では、国別局東部カントリーエコノミストとして国別援助政策作成や構造調整融資などの世銀型の業務を担当した後、金融リスク管理担当シニアオフィサーとしてカントリーリスク管理、民間向け投融資審査、融資シーリングの策定などIFC型の業務を担当していた。以上の通り、私は世銀型、IFC型の双方の業務を自ら経験した観点から、民間資金と開発の関係についてのキックオフとして問題提起を行いたい。

 キックオフの構成は、まず途上国への資金フローの基礎的データをもとに民間資金の途上国における重要性を明らかにし、次に世銀の民間部門開発戦略ペーパーの概略を紹介する。更に民間資金と開発の課題について民間資金のダイナミズムに焦点を当てつつ公的機関の役割を考え、最後に日本にとっての挑戦(challenges)と機会(opportunities)について私見を述べて締めくくりたい。

(2)途上国への資金フロー

 まず最初に、基本的データに基づき民間資金の状況について概略を説明したい。

(イ)開発資金需要

 開発にはお金がかかる。2000年の国連サミットで、ミレニアム開発目標(MDG)の最重要課題として、貧困削減目標が世界の指導者達によって合意された。世銀の最近の推定では、2015年までに世界の最貧層を半減させるという目標達成のために、途上国への援助を更に毎年400億から600億ドル追加する必要があるとされている。

(ロ)開発資金の状況

 他方、開発に使われるお金は年々厳しさを増しているODAについては、先般発表された世界開発金融2002年版は、今の援助額と最貧国とのニーズの格差は開いていく傾向にあると指摘している。途上国向けODAの推移を純額(ネット)ベースで見ると、冷戦直後の1990年代にODAは急減し、1997年の東アジア経済危機で少し持ち直したが、過去2年で再び下降に転じている。2001年のODA総額は、インフレ調整後のドルベースで、1990年の水準より約20%下回っている

 ODAの減少の半面、民間の資金フローは極めて重要になってきている。1980年代後半からの途上国への長期資金流入額は、直接投資を筆頭に、今やODAの6−7倍になっている。ただし、民間資金はアジア危機以降全体では収縮し、2001年推定値は2340億ドルで、1997年のピークより1000億ドル以上下回っている。

 民間資金フローの形態には、海外直接投資(FDI)、ポートフォリオ投資、民間融資(銀行貸出)がある。このうち、ポートフォリオ投資や民間融資は1990年代後半での一連の危機で見られたように変動が大きいが、このような変動はFDIでは見られず、安定的に推移している。

 民間資金は約20か国程度の途上国に集中しているのが特徴である。1970年から2000年までの長期のFDI統計を見ると、中国、ブラジル、メキシコ、アルゼンティン、シンガポール、マレーシアなど中所得国に集中している。しかし、それだからといって世界の多数の国々がFDIの恩恵に浴していないというわけではなく、世界の小国のいくつかにおいて、FDIはGDPと比較して非常に大きなウェイトを占めている。1997−99年のGDPに占めるFDIの割合を見ると、アゼルバイジャンとレソトではGDPの20%以上、ボリビアやアンゴラ等8か国ではGDPの10−20%、タイ、ベトナムやカンボディア等23か国ではGDPの5−10%を占めている。それぞれの国のGDPは概して少額で、FDIもそれに見合った形で少額ではあるが、FDIの与えるインパクトは決して小さくないと見るべきだろう。

(3)世銀「民間部門開発戦略」

 そのようなODAを遙かに上回る民間資金のフローを背景に、先月世銀グループ理事会で承認された「民間部門開発戦略」は、民間資金と開発のつながりについて重要な方向性を示した。この背景には、民間部門は成長エンジンとして極めて重要であり、民間は基礎サービスの提供において政府部門を補完するという認識がある。

(イ)市場カバーの拡大

 この戦略のポイントは2つある。第一のポイントは、市場のカバーの拡大(extending the reach of markets)である。これは、投資環境の整備・向上を目的とするということである。民間投資は投資環境が良好なところに集まることから、各種規制や制度不備の是正が必要である。具体的な提案として、世銀の国別援助戦略(CAS)の中で投資分析や投資環境サーベイを行うことにより、世銀の援助政策に反映させようというものである。

 それとともに、企業への直接公的支援を行う。中小企業や農村のインフォーマルセクターに対しては、市場との整合性に配慮の上で公的支援を行うことを支持している。具体的には、補助金を「束ねない(un-bundle)」というキーワードのもとで、補助金を明確かつ透明性のある形に区分して、パフォーマンスにのっとった配分をすべきだとした。

(ロ)基本的なサービスへのアクセスの向上

 第二のポイントは、基本的なサービスへのアクセスの向上である。これは、インフラ・社会部門への民間参入を促進することが考えられている。この民間参入はNGOを含んでいる。このように、民間の更なる参入と政府関与の限定を提言している。

(ハ)「アウトプット本位の援助」のパイロットプログラム

 この関連で「アウトプット本位の援助(output-based aid)」について説明したい。これは、水、教育や医療といったサービスの提供に対しては、貧困層のアクセスを維持させるために補助金をつけることを容認するものである。従来は、病院・学校建設やインフラ整備などのインプットに公的資金が投入された。これに対し、サービスの提供がいきわたるよう、サービスの提供を基準にして、裨益者にターゲティングされた形で補助金を提供する。即ち、補助金がターゲットグループへのサービスの提供をサポートするように使うのである。

 その背景に、資金の使われ方に対する厳しい見方がある。援助資源は長期的な発展の見込みがあるプロジェクトや貧困層のための基本的サービスに使うべきであって、そうでない使途、例えば都心の贅沢な病院など高所得者層が主に恩恵を受けるものに対して援助資金を使うべきでない。ターゲティングが厳しく言われ、そして補助金の使途についてはっきりさせるようにする圧力が存在している。

 「アウトプット本位の援助」に対する批判はある。成功した実例が乏しいのではないか、アウトプットの指標の選択をどうするのか、そして民間参入がそれによって本当に可能なのか、といった疑問がそれである。しかし、この援助手法がいわれた背景としてこれまでの援助に対する批判があることは見逃せない。学校や病院が援助で建てられ、水道などが援助で引かれても、実際には教員や医師の待遇の悪さやメンテナンス不備などから、実りある援助効果が上げられていなかったのではないかという批判である。特に、公共部門が腐敗し信頼性が全く置けないようなアフリカ諸国などにおいては批判が顕著であり、独立行政法人化(エージェント化)などで対応してきた。「アウトプット本位の援助」は、そのような前提条件での援助のあり方に一石を投ずる「野心的」なパイロットプログラムであろう。

(4)民間資金と開発の課題

 そのような世界銀行グループの民間部門戦略は、果たして民間資金を開発目的に活用していくという課題・要請に応え得るものであろうか。私は、民間資金と開発の課題として、ダイナミックな民間資金の状況に焦点を当て、世銀を含めた国際金融機関(IFIs)や開発コミュニティの問題を提示してみたい。すなわち、民間の開発資金はダイナミックであり、開発に関与する全ての関係者は、今まで以上にダイナミックに対応する必要がある。世銀の民間部門戦略は民間のダイナミズムを捕捉しているのであろうか。

(イ) 民間開発資金のダイナミズム

 ダイナミックな民間開発資金とは具体的にはどういうものなのか。これはマクロとミクロの双方を考えてみる必要があるのではないか。

(a)マクロの視点

 マクロの視点として、まずは外部環境の変化の早さがある。援助疲れと資金提供の限定化、そして援助の効果についての悲観的な見方が相当あり、公的支援の増加が困難な状況が存在する。また、途上国では債務増大から新たな債務を増やせない。その一方で、金融エンジニアリングやデリバティブ取引など新商品の開発や情報通信産業の発展といった技術革新がある。そして、NGOなどの多様なアクターがいろいろな形で参加を求めるようになり、政府の説明責任(accountability)を求める声も強くなった。

(b)ミクロの視点

 また同時に、ミクロの視点のダイナミズムもある。企業の投資行動は戦略的・現実的な判断であり、明示されにくいノウハウや経験知といったものに支えられている。それは不確実性を伴うものであり、例えば、企業行動は「投資環境に依存」しているとはいえ、どれだけの環境整備が実際の投資増に結びつくかは多様なファクターから決まっていくものである。特定の条件(conditionality)を満たせば投資が増えるといった単純なものではない。

 世銀のアプローチは、個別のアクターの動きをどう方向付けるかについて、一般的なモデルでは説明できない部分(残差residualといわれるような部分)への配慮が必要ではないかと思う。学問の最先端では前提条件の操作や仮説の実証などが厳密に行われているが、政策立案という難問の前ではそれらの制限・前提条件は忘れ去れて、「基礎法則」だけに則った単純で荒っぽいモデルが適用されがちである。

(ロ)ダイナミズムに対する対応の鍵

 それでは、このダイナミズムにどのように対応していくべきだろうか。それを考える際のキーワードは、一つは「リスクに対する感受性」であり、もう一つは「多様なアクターの調整」であると考える。

(a)リスクに対する感受性

 プロジェクトファイナンスは、民活インフラの重要な実施方法である。ある特定のプロジェクトを一つの経済単位と見倣して、そこに融資をするというのがプロジェクトファイナンスの考え方である。コーポレートファイナンス(企業への一般的な融資)の場合は、企業に融資をして、担保が必要な場合は企業が持つ資産が担保になる。融資するかどうかは企業の財力や経営状況を判断して決める。しかし、プロジェクトファイナンスの場合は、プロジェクトそのものに融資をして、融資するかどうかは当該プロジェクトの事業性を基準にして判断する。

 プロジェクトファイナンスでの重要なコンセプトは、リスクの明示化・細分化である。極めて多様なアクターが参入し、それぞれが自らが得意とする分野で明示化・細分化されたリスクを担いあい、それを構造化していく。これがプロジェクトファイナンスの基本である。

 例えば、建設会社が完工保証という形でプロジェクトの完工リスク(=完工の遅れによる損失のリスク)をカバーし、各種保険会社が損害保険により各種損害リスクをカバーし、販売契約などで市場リスクをカバーし、経営側のパフォーマンスのリスクをオペレーション契約でカバーするなどといったことで、プロジェクトの収益性を維持しようとする。更に、リーガルリスク(司法判断や訴訟によるリスク)、カントリーリスク(国の行為や状況によるリスク)あるいは環境や社会リスク(環境破壊や地域住民・NGOによる反対運動などによる事業に対するリスク)、そしてコマーシャルリスク(事業の収益性そのものに対するリスク)なども民活インフラでは考慮しなければならない重要なファクターである。

 そのようなリスクを明示化し、計測できるものは計測し、損失の可能性、ヘッジの可能性とそのコスト計算を行い、それぞれのリスクを担うのに適した主体が参加者に加わることによって、リスクが最適配分されプロジェクトのデザインが完結する。今後、民間資金の導入に際しては、このようなリスク配分が極めて重要である。公共政策や補助金政策といった政策行為は、誰がどのリスクをとるのかということを敏感に感じ取っていかなければならない。また同時に、民間の自己責任・自己努力(取るべきリスクは取る)ということについても、「モラルハザード」を避ける意味からも考えておく必要がある。官民で適正な負担分担(バーデンシェアリング)が出来るかどうかが課題である。

(b)多様なアクターの認識と調整メカニズム

 もう一つ強調しておきたいのが、多様なアクターと調整メカニズムに対する理解が必要であるということである。実際の政策決定メカニズムは政治的プロセスであり、アクターの力関係、置かれている外部環境、タイミングといった経緯からくる要因に左右される。これは、市場メカニズム重視と一般的に思われている米国においても、単純に市場にすべて委ねているわけではなく、いろいろな規制、基準などが作用して形成されている。

 特に開発については、それに関わるアクターの多様性(NGO、人権団体、企業等)を認識し、それをどのように調整していくかが課題ではないか。

(ハ)公的開発金融機関の役割と能力が問われる

 そこから考えると、世銀の民間部門戦略は、リスクに対する感受性、アクター調整に関する感受性を満たしているだろうか。政府の規制枠組み(regulatory framework)に関することをビジネス環境で強調しているが、それだけでは不十分ではないか。また、「アウトプット本位の援助」にあるように、民間の補助金受け取りがサービス提供以後になるようなプロジェクトのデザインでは、本当にリスクを取って参入・受注しようという民間業者が多数出てくるのかは疑問である。

 ここで、改めて現在の民間資金の流れが置かれている状況を考えてみたい。マクロ面では、リスクが増大している半面、リスクを積極的に取っていく能力や体力のあるアクター(具体的には企業)が減少している。先進国での不況による「大企業」の合併やリストラで、積極的に参加する企業は減少傾向にある。また、銀行についてはBIS規制案で「高リスク」の投融資活動をサポートするためには自己資本の更に充実させることが求められることとなり、途上国に向かう民間融資が慎重になる要因となっている。更に、9月11日テロ事件以降、保険業界における引き受けがなくなったり、保険金が異常に高騰したりする現象が見られ、リスクを肩代わりしようとする意欲の減退がある。

 このような背景のもと、公的機関による最適リスク負担とは何かが問いかけられる。そして、国際的なリスクの調整メカニズム(破産メカニズムや調停メカニズムを含む)が必要となる。特に、アクターが多様に亘るプロジェクトファイナンスではなおさらのことである。中立的な世銀グループのような国際機関が中間で利害調整をするオネストブローカーとしてリーダーシップを発揮できるようにすべきである。

 ミクロ的な企業行動への影響の与え方として、政府や公的金融機関、国際機関などが、誘って何かをさせるという「誘動」という概念が大事であると考える。市場を機能させるだけでなく、市場がないもの、不完全なものに対して、民間資金をいかに誘って動機付けを行い、政策目標につなげるかが大事なのである。そのためには、民間のリアクションについての深い理解が必要である。この能力を、途上国政府などのアクターや、あるいは世銀グループ自体が持つことは可能なのであろうか。そういった議論がこの世銀民間部門戦略では抜け落ちているのである。

 具体的には、世銀グループ(IBRD/IDA/IFC/MIGA)、IMF、OECD、WTO、国連等の有機的連携が、民間のリスク・テーキングを調整し、方向付けし、ポジティブな方向に向かうようにするためのリーダーシップを発揮するようにすることが重要である。ただし、その際には個々の組織の強みを活かす必要がある。(例えば、IFCが重視する民間事業としての採算性を世銀の公共目的によって薄めたりすることがないようにしなければならない。)また、そのための能力(人的能力、組織のインセンティブ、資金力等)を高めていく努力が必要であろう。

(5)日本にとっての挑戦(challenges)と機会(opportunities)

 最後に、日本にとっての挑戦と機会について簡単に述べてみたい。日本の国際貢献において、民間資金の開発への活用は重要な課題であった。まず、これまでの官民協調を省みたいが、必ずしも良い状況ではなかった。

 第一に、JAIDO(日本国際協力機構)である。これは、途上国での民間のプロジェクトへの出資・融資、プロジェクト形成・推進支援を行うもので、個別の一企業単体ではリスクが高く投資できない途上国の事業に対して、日本企業や現地企業と共同で投融資をしてきた。経団連主導でJAIDOは89年に株式会社として資本金163億円(うちJBIC63億円)で設立されたが、101億円の累積損失を出して本年3月20日に解散することとなった。

 第二に、JAIC(日本アジア投資)である。これは、官民パートナーシップでのベンチャーキャピタルで、アジアを中心に投資を行い、OECFも一時期資本参加した。しかし、アジアでの投資は損失を生み、今では国内向けベンチャーキャピタルに事業の主軸を移していて、途上国に資金を向けるという当初の目的とは異なることとなった。

 以上の二例からも、途上国向け官民パートナーシップ事業のあり方について、なぜこうなったのか反省すべき点があるのではないかと思う。特に、民間ビジネスをどうとらえるか、リスクに対する感受性をどう高めるか、民間と公共政策とのバランスをどう取るか、両者のWin-Win関係をどう構築するかが課題である。日本の発展の経験から官民協調の必要性が言われてきたが、以上の通りパフォーマンスはお寒い状況であり、真剣に反省して新しいやり方を模索すべきである。

 その際、特に日本の構造調整を睨んだ新たな可能性を考える必要があろう。具体的には、地方自治体の公共サービスの「輸出」産業化各種研究所の独立法人化によるコンサルタント市場の活性化などが考えられる。

 方策としては、市場の有効活用も重要だが、そのために「誘動」するという戦略的思考が重要である。新規参入のためのリスク・テーキングをどのようにコントロールしながら、個々のアクターのリスク管理能力を高めていくことが出来るのか、創造的に考える必要がある。

 そして、改めて、現実的な対応と同時に理論的な武装(現場の環境の理解と有効に機能する解決策の提示、説得力のある理論的説明)が重要との点を強調したい。スキームを柔軟に対応させ、経験知を活用し、またその際に制限・前提条件の違いに十分留意しながら進めていくことが大事である。

(1)官民の役割分担について

(2)アップヒル国とダウンヒル国の区別について

(3)途上国のキャパシティ・ビルディングについて

(4)日本の方策について

(以上)